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★4 | 野菊の如き君なりき(1955/日) | 弾けるようなカットバックと流麗な移動ショットの積み重ねが、二人の想いの強さと清廉さを醸し出し、政夫(田中晋二)と民子(有田紀子)の幼い思慕が思春期の戸惑いを経て互いの想いに気付き激しくも静かな恋心へと変わっていくさまが実に切ない。 | ジェリー | [投票(1)] |
★4 | 学校の怪談4(1999/日) | 妖怪オンパレードに終始した前作までとは、趣を異にしたファンタジー作品。奇抜な展開やトリックがあるわけではないが、シリーズ中では群を抜いた面白さ。仕掛けも気負いも無く淡々と描きつつ、最後まであきさせない平山秀幸監督の力量は本物。
| t3b, 水那岐, あき♪, ぱーこほか8 名 | [投票(8)] |
★3 | 神は見返りを求める(2022/日) | 何ごとも断らない男(ムロツヨシ)の自意識は他者に開かれているようで世界には閉じられている。表現の意味をはき違えている女(岸井ゆきの)の向上心は世間の暇消費に媚びているだけだ。主体性なき者の空回り。きっと吉田恵輔はこんな人たちが嫌いなのだ。 [review] | クワドラAS, けにろん | [投票(2)] |
★4 | そばかす(2022/日) | どこにでもいそうな地味め三十路の三浦透子と、いまだアイドル仕込みの押しの強さが滲む前田敦子。対照的な二人が、世間との相容れなさに諦めの境地にこもる佳純(三浦)と、鬱憤を推力にツッパりと居直りで世の中の矛盾に耐えている真帆(前田)をリアに視覚化。 [review] | ゑぎ | [投票(1)] |
★4 | 毒薬(1952/仏) | リアルを振り切って漫画的な夫婦の容姿と行動の醜悪さが殺人という不道徳を戯画化して、神父や弁護士の正義の正統性を形骸化してしまう。逆に事件をきっかけに町おこしを企む集団や、不倫や裁判を“ごっこ化”する子供たちの滑稽さが殺人という悪事を俗化してしまう。 [review] | ゑぎ | [投票(1)] |
★5 | 窓辺にて(2022/日) | 人物たちの当意を得た言葉が充分かつ最適な間(ま)で交わされるようすを、適度な緊張を保った視線で際立たせる会話空間の演出が絶妙。彼、彼女らはみんな自分に正直で他者に優しく、何も否定せず争わない。それゆえ生まれる"思い”のギャップが微笑や苦笑を誘う。 [review] | けにろん, セント, ゑぎ | [投票(3)] |
★3 | 死刑にいたる病(2022/日) | 優しく語りかける顔から徐々に感情が抜け落ちて、大きな泣き袋だけが浮かび上がる阿部サダヲの能面の不気味。獄中から指示を出す例の羊印の傑作を思い出す二番煎じの設定ながら、サイコパスのキャラは準備万端。でもそれだけじゃスリラーにはならない見本。 [review] | disjunctive, 死ぬまでシネマ | [投票(2)] |
★4 | 快楽(1952/仏) | 人の情(じょう)と性(さが)という確かに存在するが「無形」の煩悩を、カメラワークと編集テクニックで“有形”のエンターテインメントに仕立て上げる試み。 [review] | ゑぎ, KEI | [投票(2)] |
★3 | フレンチ・カンカン(1955/仏) | ダンスと歌がメインのMGMのミュージカルみたいな映画を想像していたら全然ちがった。ラストは物語に絡んできた銀行家や投資家にやきもち焼きの有閑マダム、ヒロインにフラれた王子やパン職人、洗濯女にスリまでが、踊り子取り囲んでやんややんやの大団円。 [review] | KEI | [投票(1)] |
★5 | 水俣曼荼羅(2020/日) | 不快な事件や非常識な出来事も、政治行政の性懲りもない不始末や些末で陳腐な芸能界の不祥事も、スキャンダルというコロモに包んであっというまに消費して、とっとと忘れる我々の貪欲な性癖に乗じて、終わっていないのに終わったことにしたい奴らがいるわけで・・ [review] | ペンクロフ | [投票(1)] |
★5 | ある男(2021/日) | 未読だが原作が思慮深く優れたエンターテインメントなのだろう。必要最小限しか語らない向井康介脚本と感情過多を避ける石川慶演出による俳優陣の力まざる力演が常軌を逸した人生の選択に説得力を与えて"ルビコン川の先の幸福"を、さもありなんと肯定する。 [review] | ゑぎ | [投票(1)] |
★4 | かぞくのくに(2012/日) | 劇映画としての演出はいささか未熟で粗削りだが、逆に作者のむき出しの私念がヒリヒリとストレートに伝わってくる。国家と制度のまえに、戸惑い苦悩する者たちの「寡黙」と「絶句」と「沈黙」。その奥に秘められた絶望的悲しみ。まさに私小説ならぬ私(噴)映画。 [review] | jollyjoker, IN4MATION, るぱぱ, セントほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | 息もできない(2008/韓国) | いったい人は、なぜ人を殴るのか。それが本能であるかのように、男は人を殴り続ける。男を駆り立てるものは、むろん理屈ではなく言いしれぬ怒りだ。その怒りに純粋な「人」の魂を感じ取る者たちがいる。そして唯一、「人」であることの自覚が暴力の歯止めとなる。 [review] | jollyjoker, アブサン, ふかひれ, 水那岐ほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | リコリス・ピザ(2021/米) | 大きな造作の顔に長い手足がくっついた痩身のアラナ・ハイムはマリオネット人形のようで、ずんぐり体形で短めの首の上に丸顔をのせたクーパー・ホフマンは着ぐるみみたいだ。嫌味なき非美形キャラが実景のなかで現実の恋情をほどよく茶化してコント化する。 [review] | 緑雨, ペンクロフ, ゑぎ, 太陽と戦慄 | [投票(4)] |
★4 | 教育と愛国(2022/日) | 「愛国心」が盛り込まれた2006年の教育基本法改正。政府の統一見解重視を求めた2014年の教科書検定基準の導入。2020年の日本学術会議会員の任命拒否。安倍・菅政権による教育分野への介入戦略の実践と背景、あるいはこんな映画を作らなければならない国の不幸の記録。 [review] | 寒山拾得, jollyjoker, ペンクロフ | [投票(3)] |
★4 | ドライブ・マイ・カー(2021/日) | 感情によって人の行動と言葉が規定され、その言葉と行動によって人の感情が縛られる。ならば「感情」と「行動」と「言葉」を解体することで、妻との距離を見失った家福(西島秀俊)と、自分の存在を消去したみさき(三浦透子)の再生を物語たる、という試み。 [review] | ペンクロフ, 煽尼采, もがみがわ, おーい粗茶ほか5 名 | [投票(5)] |
★5 | 鶴八鶴次郎(1938/日) | 通俗と崇高の差は紙一重であり、物語の中に真の悲劇と喜劇を同時進行で成立さることが可能なことを成瀬は証明している。しかし、これはただごとではないのだが。終幕、向き合った鶴次郎(長谷川一夫)と佐平(藤原釜足)の表情は感情を越えている。
[review] | ジェリー, 3819695, Aさの, セント | [投票(4)] |
★4 | 新 極道の妻たち(1991/日) | ただの甘ったれガキにしか見えない高嶋政宏が、最後にはいっぱしの極道に見えてくる血筋の恐ろしさ。組の存続と母親の間で揺れる岩下ママのポジティブな多重人格さが凄いです。・・・本田博太郎とかたせ梨乃は得してます。 | disjunctive, peacefullife | [投票(2)] |
★4 | 勝手にしやがれ!!黄金計画(1996/日) | 70年代なら浮遊する挑発者。80年代は実利的リアリスト。この藤谷美紀が体現する自覚無きお馬鹿こそが90年代を象徴するヒロイン像だ。終盤の文字通りの右往左往の反復が「物語」の意味を希薄化し、観客は「映る」ものにただ酔い始める。黒沢清の真骨頂。 | 3819695, 太陽と戦慄 | [投票(2)] |
★4 | 暖流(1957/日) | それぞれ1.5倍づつアクを強調したような人物の性格が物語の推進力となって突き進み、大した事件も起きないのにまるでコメディ風味のサスペンスのように目が離せなくなる。これは、今の時代のコミックに通じる面白さ。公開当時は、さぞヘンな映画だっただろう。
| ゑぎ | [投票(1)] |