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★3 | 女囚さそり 701号怨み節(1973/日) | マザコン革命挫折野郎田村正和の未練がましい抵抗など、松島ナミ(梶芽衣子)の眼光に秘められた底知れぬ怨念と所詮対峙しうる分けが無いのだ。70年代が生んだ最も悲しく美しい負のヒロイン。 | 3WA.C, けにろん, Myurakz, sawa:38 | [投票(4)] |
★4 | 春との旅(2009/日) | ずるずると引きずられる忠男(仲代達矢)の不自由な足が頑固さの果ての甘えを正当化する代替物なら、ずかずかと突進するような春(徳永えり)のモンキーウォークは、自らの身に降りかかった数々の理不尽さを振り切ろうとする抵抗の証しのように見える。 [review] | 煽尼采, プロデューサーX, 水那岐, けにろんほか6 名 | [投票(6)] |
★3 | 英国王のスピーチ(2010/英=豪) | 始めから結末が分っている話なのだから、役者の配置と芝居がカギになることは必然で、ジョージ6世にとって治療士が高く硬い壁なら、王妃は跳ね返されて戻ってくる彼を優しく受け止めるクッション。3人の演者のついたり離れたりを楽しむ平民視線のお上品な佳作。 [review] | kazya-f, ダリア, ぱーこ, 緑雨ほか6 名 | [投票(6)] |
★4 | 灰とダイヤモンド(1958/ポーランド) | 弛緩が緊張に一遍する襲撃シーンの非情さの真相が、仲間への思い、戦いへの焦燥、そして恐怖心とともに語られる炎が揺らぐウォッカグラスのシーンのなんと切ないこと。クリスティナの出現で、制御不能となるマチェックの一途な情熱を誰も未熟とは呼べない。 | ジェリー | [投票(1)] |
★4 | ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985/日) | 黒沢清のほぼ原型。黒沢がいかに“意味”を嫌う監督であるかが良くわかる。そして洞口依子が室井滋みたいにならなっかったわけも、なんとなくわかる。 | 3819695, にゃんこ | [投票(2)] |
★3 | アンストッパブル(2010/米) | 意志もなく動く物が、まさに動物へと変貌し疾走し始める序盤から中盤の不気味さに心躍るも、実話がもとだなどと言ってしまったばかりに結末の選択肢は狭まり自らの首を絞める。止まらないものは止まらない!という居直りもまた、今どきの見世物の気分なのだが。
| サイモン64, けにろん, 赤い戦車, セント | [投票(4)] |
★5 | キートンのセブンチャンス(1925/米) | 前半のメアリーや7人の女とのロマンスコメディ的助走から、地から湧いて出る花嫁群にモブパニックの予感を漂わせ飽和点に達するや、一気に映画が疾走し始めるダイナミズムの妙。キートンの活劇力の比類なさは言わずもがな。あえて時代へのアイロニーに注目する。 [review] | DSCH, 3819695 | [投票(2)] |
★4 | グラン・トリノ(2008/米) | 殺戮の歴史が育んだ幻想としての誇りは、今や亡霊のようにコワルスキー(クリント・イーストウッド)、すなわちアメリカを苦しめる。次のステージに向けて、この歴史と文化価値の飽和を脱するために、何を受け入れ、何を排除するかという選別と決意の映画である。 [review] | DSCH, おーい粗茶, TM, 動物園のクマほか9 名 | [投票(9)] |
★3 | バットマン ビギンズ(2005/米) | 恐怖だ、正義だ、復讐だと大仰に唱えられるわりに、嬉々として戯れる悪党どもはどれもこけおどしの小者ばかりで話しの底の浅さが露見する。透けて見えるのはSFXだのみの自己満足的から騒ぎ。見習うべきは、一心不乱に道具を自作する微笑ましきブルースの律儀ぶり。 | ロープブレーク, DSCH | [投票(2)] |
★5 | ブロードウェイと銃弾(1994/米) | 劇中劇の俳優たちの、したたかさに翻弄される新進劇作家デビッドの、無邪気で根拠のない自信とプライドを、一瞬にして叩き壊すチーチ(チャズ・パルミンテリ)の生き様が痛快で、そして泣かせる。創作活動とは本来、粗野で無心、無骨で一途なものだ。 | picolax | [投票(1)] |
★3 | バットマン・リターンズ(1992/米) | 異形の者ペンギンが背負う運命の歪みと悲しみや、自分でも抑えきれない悪の噴出をかかえた憑依者たるネコ女の苦悩。これに比べればコウモリ男など所詮は人間のハイテクコスプレでしかない「ごっこ」なのだというティム・バートンの達観が舞台造形の随所に滲む。
| DSCH | [投票(1)] |
★3 | キートンの強盗騒動(1921/米) | 上下をカットしてワイド画面比率で左右の距離感を描写したり、シルエットで暗闇の中の逃走を見せるなど旺盛な実験的表現に驚いた。車や列車とからむ追っかけのスピードとタイミングは、さすがキートン。 | 3819695 | [投票(1)] |
★3 | 夫婦善哉(1955/日) | 責任という計算をしなければならない今の時代には、古き良きファンタージーに見えてしまう蝶子(淡島千景)の素直さは貴重。時代が平成と名を変えて以降、豊田四郎の手堅さと大胆さが創りだす純粋で軽妙な男女関係に夢を見る余裕が益々減っている。 | けにろん | [投票(1)] |
★2 | 八甲田山(1977/日) | 風雪と組織と人間の話のはずだが、人間の話はすっぽり抜け落ちて、風雪の中をただ彷徨うだけの可哀そうな兵隊さんの話に終始する。雪はいくら撮っても雪でしかない。雪中行軍隊よりも先に、監督筆頭に撮影隊が冬の八甲田ではしゃぎ過ぎて行く手を見失ったようだ。 | ハム, おーい粗茶, けにろん | [投票(3)] |
★3 | ウディ・アレンの夢と犯罪(2007/米=英=仏) | 良質の悲劇とは結末のいかんに係わらず、そこへ至らざるを得ない「のっぴきならなさ」の強度に依拠するもので、その点において兄弟をとりまく伯父や恋人、さらには階級社会の縛りの構築に甘さを感じる。よく言えば普遍的、難を呈せば何を今さらな擬似古典悲劇。 | 煽尼采, disjunctive | [投票(2)] |
★3 | 君と歩こう(2009/日) | 用いられる語彙の可笑し味を帯びた同時代的日常感。感情過多に陥らない画面フレーム設定とカッティングのシビアさ。冷静沈着で節度を保った喜劇性と悲劇性の混在。そこに石井裕也のセンスを感じる。欲しいのは、破綻承知の個々の総和としての作品パワー。
| 3819695 | [投票(1)] |
★4 | 緋牡丹博徒 お竜参上(1970/日) | シリーズのなかでも加藤泰が描くお竜(藤純子)には独特の気品が漂う。他の演出家はお竜の感情を引き出そうとするが、逆に加藤は感情の流出を最小限に止めようとするからだ。青山(菅原文太)や、お君との再会シーンの抑制など、その最たるものだろう。 [review] | sawa:38 | [投票(1)] |
★4 | インビクタス 負けざる者たち(2009/米) | 優れて計算高い男マンデラが、ラグビーW杯と自国チームを政治的に利用して、白黒一触即発の国民を一方向(対外敵)へと洗脳していくさまが、硬軟とり混ぜ巧みに描かれているわけだが、その権謀術数ぶりをセーフにしてしまうイーストウッドのバランス感覚のよさ。 [review] | うちわ, tkcrows, サイモン64, 甘崎庵ほか10 名 | [投票(10)] |
★3 | ノルウェイの森(2010/日) | 傷そのものである直子と対置され、傷つけられる身から不器用かつ懸命に逃れようとあがく緑のあやうい切なさは、まだ演技者の域に達していない水原希子の無粋さの賜物。ワタナベの「何もなさ」の悲壮が突き抜けないのは、空疎をビジュアルとして描くことの限界か。 [review] | ジェリー, ピタゴラペンギン, りかちゅ, 24ほか6 名 | [投票(6)] |
★5 | 空気人形(2009/日) | 人形が心を持ち人間になる話しだど思っていた。違っていた。人形は人間のような「もの」になるだけだ。そして、人間のような「者」たちの狭間で嬉々として、生に憧れ、愛を模索する。「されること」と「してあげること」。燃えないゴミと、燃えるゴミの交歓が切ない。 [review] | DSCH, ジェリー, りかちゅ, Masterほか13 名 | [投票(13)] |