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★4 | この世界の片隅に(2016/日) | いつもボォーとした夢想少女すずの、半径数メートルで起きる「世界の片隅」の細部を描き連ねることで、戦時下という特殊な状況に過剰に感情移入することなく私たち鑑賞者も、いつしか彼女とともに日常という「あたりまえ」が生み出す幸福へと導かれ同化していく。 [review] | DSCH, pinkblue, AgentF, けにろんほか9 名 | [投票(9)] |
★5 | ゼロ・グラビティ(2013/米) | リュミエール兄弟以来、現時点の3DとCG技術を結集して見世物映画の到達点をカタチにすること。枝葉を切り落とし虚無からの復活という一点に集中し純度の高い「生命の物語」を語ること。この二つの目的を達成するために「冷たくも美しい」宇宙空間が必要だった。 [review] | ロープブレーク, Myrath, イリューダ, KEIほか8 名 | [投票(8)] |
★5 | 白いリボン(2009/独=オーストリア=仏=伊) | 日常に透る邪気。不快な映画だ。遥か天上で生じた抑圧は歪みを生みながら弱者から弱者へと下降する。下へ行くにつれ歪みは圧縮され見えにくくなるがその濃度は増し「圧」は高まる。厄介なことに弱者ほど「圧」に対して本能的、つまり非理性的に反発するものだ。 [review] | KEI, 週一本, まー, フェデラーほか10 名 | [投票(10)] |
★4 | ぼくのエリ 200歳の少女(2008/スウェーデン) | 少年オスカーが抱いた恋心に、はたしてエリはいかなる心情で応えたのだろうか。いや、そもそもエリに心など見い出そうとすること自体が、エリを理解していないということだろうか。恐怖のその先にある悲しみまでをも見すえた、実に切ないヴァンパイア映画だ。 [review] | Myrath, 淑, セント | [投票(3)] |
★3 | 女王陛下のお気に入り(2018/アイルランド=英=米) | 3人の女優さん(特にオリヴィア・コールマン)と美術と衣装を褒めて、撮影のロビー・ライアンの仕事の広がりを期待し、さてここまで変わった(我慢した?)ヨルゴス・ランティモスは、次はどうするのだろうか、とその身の振り方ばかりが気になっています。 [review] | プロキオン14 | [投票(1)] |
★4 | 3時10分、決断のとき(2007/米) | ダン(クリスチャン・ベール)とウィエド(ラッセル・クロウ)の表裏を織り成す2焦点に加え、チャーリー(ベン・フォスター)の狂信的一途さまでもが心地好い。今の時代、こんな男どもに心ほだされて良いのか自嘲するも、いやそれが今の気分なのだと思い直した。 [review] | jollyjoker, Orpheus, DSCH, ハムほか10 名 | [投票(10)] |
★5 | ジャンゴ 繋がれざる者(2012/米) | 容赦なき暴力の遂行が生む快感。誤解を恐れずに書けば、正当な恨みに裏付けれた暴力は美しい。そんな、現代社会では封印されてしまった人間の本性を久しぶりに呼び覚ます快作。有無を言わさず、弱きを助け悪事を抹殺する暴力の具現は、映画に許された特権なのだ。 [review] | たろ, カルヤ, まー, ゑぎほか10 名 | [投票(10)] |
★4 | 岬の兄妹(2018/日) | 二人が選んだ意図せざる生活は、世間の見えざる「圧」が生み出す不本意な“引きこもり”のようにみえた。本人たちが不本意であるぶん、二人はなりふりかまわず本能を金銭に替えて世間と関わりを持つ。真里子は普通ならざる生活を通して普通を実感したのだろう。 [review] | 水那岐 | [投票(1)] |
★2 | 隠し砦の三悪人(1958/日) | さして中身の無い間延びした話が最後まで延々と続く。やっと関所を越えたころ多少の見せ場はあるものの、のびきったラーメンのチャーシュー程度の救い。 | 寒山拾得, けにろん, ジェリー | [投票(3)] |
★3 | 天国でまた会おう(2017/仏) | 状況は過酷かつ反逆的で、どのシーンもシビアかつパワフルに描かれるのだが、全体は飄々として実に軽やか。登場人物の心情や背景(未読だが原作は膨大なのだろう)が過不足なく伝わってくる脚本も的確なのでしょう。心情を多弁に語る“仮面”の造形も美しく楽しい。 | けにろん | [投票(1)] |
★4 | ビール・ストリートの恋人たち(2018/米) | 映画のなかで確実に進行するのは、あふれんばかりの恋心を瞳いっぱいにたたえた19歳の娘ティッシュ(キキ・レイン)の初々しい“過去”の恋愛物語だ。その思いを断ち切るようにおとずれた理不尽な“現在”は、誰がどう手を尽くそうが止まったまま一向に動かない。 [review] | 3819695 | [投票(1)] |
★3 | search/サーチ(2018/米) | 観ている最中は意外と面白かった。説明台詞と同じぐらいPC画面のポインターやウィンドウの動きが饒舌なので、ふと気づくと考えたり感じたりせず「画面」を受け身で見ている自分に気づく。単調で限定的な画づらに慣れてしまうのだ。慣れとは麻痺とも言い換えられる。 [review] | ペンクロフ, irodori, ゑぎ | [投票(3)] |
★3 | タロットカード殺人事件(2006/英=米) | アレンとヒロインが丁々発止を繰り広げる定番パターンは大好きだ。そこには、役者アレンの十八番である男の身勝手さ、意固地さ、ひ弱さの噴出の裏に、自分でもコントロール不能に陥った「愛情」という情を前にした男の戸惑いがいつもあったからだ。 [review] | ゑぎ, DSCH, 牛乳瓶, づん | [投票(4)] |
★5 | 二階堂家物語(2018/日) | なんと情感豊かな画面だろう。ことさら状況や感情が誇張されるわけではないのに画に不思議な吸引力があるのだ。ひとつひとつ事情(抱えた思い)を説いていくような語り口(脚本)の上手さと相まって、のっぴきならない“呪縛の物語”にどんどん引き込まれてしまう。 [review] | 鷂 | [投票(1)] |
★4 | 地獄でなぜ悪い(2013/日) | 文字通り血の雨を降らせ、血の海を出現させる友近の過剰さに感嘆し、「言葉」の具現化にかける園子温の執着と遊び心に喝采を贈る。圧倒的な過剰さで善も悪も蹴散らし秩序を無に帰す平田(長谷川博己)に、真性の紊乱者としての園の本性が覗く快作。 [review] | ロープブレーク, 水那岐, ジョニー・でぶ, おーい粗茶ほか7 名 | [投票(7)] |
★4 | バルカン超特急(1938/英) | 制作された1938年という時代を考えるとシビアできわどい筋立てなのだが、全編に溢れるユーモアで暗い世相を娯楽に仕立てしまうしたたかさ。風刺や笑いの対象が敵対する相手国ではなく自国イギリスという点に、品の良さと現代では希薄になった「ゆとり」を感じる。 | 袋のうさぎ | [投票(1)] |
★3 | ちぎれた愛の殺人(1993/日) | 極端で形式的な色調演出がちょっと鬱陶しくストーリーも見え見えなのだが、池田敏春監督は感情の過不足なく快調なテンポで最後まで厭きさせずに見せてくれる。横山めぐみがもう少し華と陰のある女優だったら、もっと映画に凄みが出ていただろう。 | けにろん | [投票(1)] |
★4 | 新学期 操行ゼロ(1933/仏) | さすが、バスティーユ襲撃やレ・ミゼラブルのデモと革命の国の子供たち。連帯と結束はイデオロギーではなく自然発生的アナーキズムに宿るのだ。同じころ日本では小津安二郎や清水宏の庇護のもと突貫小僧が憎めない悪戯で大人を笑わせるのが関の山だった。 [review] | 3819695, 寒山拾得 | [投票(2)] |
★3 | アタラント号(1934/仏) | 船乗りなんかと結婚した変り者、と式の参列者に陰口されるプチ漂泊癖の娘が、河川を労働と定住の場とするウブで勤勉な船長と、ネコとモノに埋もれた怪人副長と、何ごとにも一心な若き助手によって、己の居場所を知るまでの“あぶない嫁さん”のラブ・アクション。 [review] | 3819695 | [投票(1)] |
★4 | プレイス・イン・ザ・ハート(1984/米) | 黒人、盲人、未亡人という弱者モデルが自助と共助で自立する“あるべきアメリカ”の美しき進歩的保守賛歌(公開時の大統領はレーガンだ)。だからダメとは言わないが、神はすべての罪を赦す、みたいな終幕の“根拠なき良心”が彼らとの付き合いづらさの原因でもある。 | jollyjoker, 寒山拾得 | [投票(2)] |