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★4 | 枯れ葉(2023/フィンランド=独) | 解雇、怪我、紛失。身から出た錆か男の不運が続く。解雇、倒産、アル中嫌い。立ち直れそうでいて女の不運も続く。そんな二人の不器用な「出会い」もまた奇跡のように続く。富で愛は買えないが境遇は愛を育むのだ。カウリスマキのささやかで上品なプロレタリア映画。 | 淑, jollyjoker | [投票(2)] |
★3 | スパルタカス(1960/米) | 60年前後に頻出した他のハッタリ・スペクタクル映画に比べ、主人公が決して超人ではないという負のヒロイズムに共感できて好きだ。ローマ軍のマスゲームのような隊列の美しさと不気味さや、議会シーンの斬新な美術は印象深く、やはりキューブリックならでは。 | モノリス砥石, りかちゅ | [投票(2)] |
★2 | 大人は判ってくれない(1959/仏) | ヌーベルバーグとはよく言ったもので、確かにその映画群が束ねられたときに起こった「うねり」の価値は映画史上認めざるを得ない。しかしその一本一本の評価となると、無邪気で素人的な傲慢さと表現上の確信犯的美しさの欠如が鼻につきどうしても疑問が残る。 | 緑雨, sawa:38 | [投票(2)] |
★4 | 青い山脈(1963/日) | 初作から14年を経てテーマがいささかも古びていないところに、かえって日本社会の封建性の根深さを感じてまうのだが、それはさておき、さすが60年代日活映画。圧倒的なスピード感と娯楽性で49年版を圧倒する面白さ。理事会シーンの名優達の楽しい共演は圧巻。 | disjunctive, りかちゅ | [投票(2)] |
★4 | 上海から来た女(1947/米) | 見えているものが何かではなく、どう見えているかに気をとられたとき人は真実を見失う。むさ苦しい男達の中で輝くリタ・ヘイワースに目を奪われ、次々に繰り出されるバランスを欠いたショット群に幻惑され、いつしか心地良い虚構の中にいる自分に気付く。 | ジェリー | [投票(1)] |
★3 | PERFECT DAYS(2023/日=独) | 孤独を「強さ」に変えてしまった男を描いて秀逸なのに何も心に響いてこない。あの変な形や色をした公共トイレのせいだろうか。視覚的に主人公と対等に扱われる日常の中の「非日常的異物」は物語からリアルさを奪ったうえファンタジーとしての昇華も妨げていないか。 [review] | けにろん, 緑雨 | [投票(2)] |
★4 | ほかげ(2023/日) | ブラックホールの底から絞り出されるような女(趣里)の声音は希望を絶たれた怨念の響きのようだ。飽和点に達した怒りを抱えた男(森山未來)の呆けた彷徨は虚無と紙一重。澄んだ瞳でそんな惨状を見つめる少年(塚尾桜雅)の心には何が映っているのだろう。
[review] | けにろん | [投票(1)] |
★4 | トラック野郎 故郷特急便(1979/日) | どこか日活アクションのムードを漂わせる中島丈博脚本を得て、森下、石川のツインマドンナがさえる。特に、文太を相手に石川さゆりが見せる葛藤と哀惜が素晴らしく、何故女優も続けなかったのか惜しまれる。それに比べて男どもが今ひとつなのが残念。 | ひゅうちゃん, 寒山拾得 | [投票(2)] |
★4 | BAD LANDS バッド・ランズ(2023/日) | 巷の悪行を嘆いたり、権力の横暴を告発したり、貧困や孤独を恨んだりなど一切せず、ネリという四の五の言わない“吹っ切れた女”を軸に物語がひたすら疾走する。良い意味でこの空っぽ感が心地よい。消えるべくして消える奴はみんな消える。理屈じゃねえんだよ。 [review] | ひゅうちゃん, けにろん | [投票(2)] |
★3 | NO選挙,NO LIFE(2023/日) | 畠山氏の人物ドキュメンタリーでありつつ、その肩越しに見える泡沫候補者を通して選挙の「常習性」に迫るという二重構造を持ちながら、登場する候補者の人数も時間も限定的にならざるを得ない参院選東京選挙区パートは、やはり焦点が定まらないもどかしさを感じた。
[review] | jollyjoker | [投票(1)] |
★2 | 若おかみは小学生!(2018/日) | 大きいだけで生気のない“人形目”のキャラクターデザインに感情移入できないのは、女児向けだと知らずに観た私が悪いのだと、そこは大人の対応でやり過ごそうとしたのですが・・・世の中には安易に受け入れられることで、なおさら痛みが深まることだってあるんです。 [review] | モノリス砥石, なつめ, KEI, 寒山拾得ほか5 名 | [投票(5)] |
★3 | ロング・ライダーズ(1980/米) | 兄弟俳優の競演というある意味で役者を小馬鹿にした反則ギリギリの奇手と、ハイスピード撮影による殺戮描写から意味を消去することで、これこそが死の美的表現だと勘違いさせ、どうにか生き延びようと試みた遅れて来た賞味期限切れアメリカン・ニューシネマ。 | disjunctive | [投票(1)] |
★4 | フィールド・オブ・ドリームス(1989/米) | 幻影の二重構造。元来、映画とは幻影を実在することのように見る行為であり、我々はその幻影に向かって思いを馳せる。それは心の鏡でもある。だから、トウモロコシ畑の球場に集うヒーローたちに、嬉々として心躍らせるこの家族の興奮が素直に我々に伝播するのだ。 | モノリス砥石, 山ちゃん | [投票(2)] |
★4 | アステロイド・シティ(2023/米) | 科学信奉と希望の象徴としての若き天才たち。その一方、幼い姉妹の死と復活への呪術的こだわり。背景で繰り返される原爆実験は共産主義化への脅威の証し。理念先行の女教師を魅了するカントリー野郎のニヤケ顔。異星人の到来を隠ぺいする政府と軍による垂直統制。
[review] | disjunctive, けにろん | [投票(2)] |
★4 | ストーリー・オブ・マイ・ワイフ(2021/ハンガリー=独=仏=伊) | たいていの男がそうであるように、この男(ハイス・ナバー)も、その女を“自らの世界”の内側に所有し支配し制御しようとする。一方、女(レア・セイドゥー)にとってこの男は、自分の存在を確認するための“まわりの世界”を構成する一部(パーツ)なのだろう。 [review] | ひゅうちゃん, ペペロンチーノ | [投票(2)] |
★5 | ケイコ 目を澄ませて(2022/日) | この映画には物語を語るうえで常套とされる三つの要素が存在しない。人間関係の衝突や軋轢。予想を超えるサプライズ。そして主人公の声。逆に強調されるのは、普段は聞き流している環境音。身体と身体の寡黙なコミュニケーション。暖色が強調された画調の日常風景。 [review] | jollyjoker, 緑雨, disjunctive, ふかひれほか7 名 | [投票(7)] |
★2 | #マンホール(2023/日) | 一気にBPMがアップするSNSを使ったやり取りは面白い。きっとこのアイディアが先で、後から穴落ちシチュエーションをくっ付けたのだろうが、その脚本の細部が雑で展開も陳腐。落下男(中島裕翔)の行動に必然性や合理性がなく、なんて頭の悪い男だろうと思った。 [review] | クワドラAS, ひゅうちゃん | [投票(2)] |
★4 | TAR/ター(2022/米) | 彼女を尊敬し理解しようと近づく者たちにとって彼女はあまりにも不遜で不快な存在だ。同じように、この映画に共感を見いだし楽しもうとする者にとって本作の語り口は徹底して傲慢で不親切だ。よくもまあハリウッドの商業映画でこんな大胆な実験をしたものだ。
[review] | DSCH, けにろん | [投票(2)] |
★4 | 聖地には蜘蛛が巣を張る(2022/デンマーク=独=スウェーデン=仏) | 因習への反抗心を誇示するようにヘジャブから前髪をのぞかせて、男たちが作り上げた強固なカラをこじ開けるように「夜の聖地」の裏側を奔走するライミ(ザーラ・アミール・エブラヒミ)のなんと凛々しいこと。てっきりイラン映画だと思い込んで観始めたので・・・ [review] | ひゅうちゃん, プロキオン14, けにろん, ペンクロフほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | アマデウス(1984/米) | サリエリは、天才に嫉妬できるほどの才能を持っていながら、同時に神に無条件の忠誠を誓うほど凡庸でもあった。「凡庸なる者達よ、私が救おう」と喝破する彼の悲劇とは、人生において主体的な身の置き場を見出せず、凡庸さの頂点に立たざるを得なかったことだ。 [review] | ダリア, たかひこ | [投票(2)] |