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★4 | ヤクザと家族 The Family(2021/日) | ナルシストというヤクザの一類型を形態模写する舘ひろしの声から気品が抜けず、挙措がヤクザというよりホストに準じるために、平成編の彼は、オリヴェイラ映画のマルコヴィッチのように画面に佇むだけで爆笑を誘う稀有な事態をもたらす。 [review] | けにろん | [投票(1)] |
★3 | そして父になる(2013/日) | これは、よほどフランキー側に問題がなければ現状維持が妥当で、そもそも観察に値する現象とは思えない。それを無理に物語の形に落とし込むため、福山の造形が紋切型になる。 [review] | ジェリー, ペンクロフ, moot, ぽんしゅうほか5 名 | [投票(5)] |
★3 | レスラー(2008/米=仏) | 総菜屋の過密な情報量を縫って、エプロン着装のロークが体を駆り立てる。嫌がりながらも習熟は進み経過観察のエンタメが出てくる。こんなものが面白くないわけがないのだが、ここまで器用な彼が窮地に陥る不可解に思い至ると、映画の作為が気になり始める。 [review] | ペンクロフ, 3819695, DSCH, ExproZombiCreatorほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | 透明人間(2020/米=豪) | キャスティングがよくわからない。なぜエリザベス・モスなのか。そこまで彼女に執着するこの男の趣味は何なのか。中盤の手前でモス自身「なぜわたしなの?」とメタ発言をやってしまうほどである。 [review] | ゑぎ | [投票(1)] |
★4 | つぐみ(1990/日) | 牧瀬理穂の屹立とした顔面は、光源によって趣を変えて行く表情筋の地誌である。90年代前半型デューク真田がそこに投じる不穏な影の往来が、われわれの欲望を、条例違反のボーダーライン上で縦揺させる。 | ペンクロフ | [投票(1)] |
★4 | クライ・マッチョ(2021/米) | 他人どころか当人すら所作の統制はもはや野放しである。にもかかわらず、メキシコの女性連だけは統制される終わらない性欲。筋は向こうから勝手に飛んできて、老人に実体を詰め込む。 [review] | けにろん, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★4 | わたしを離さないで(2010/英=米) | 男に寄せられる斟酌なき好意が、キャリーの恋愛を母性愛として装わせる(なぜこの男に惚れるのか?)。男に潜む知慮が見出された時、同情を愛へと構成すべく、キャリーのタヌキのように愛らしい体躯が、蒼白な太陽の下、回顧的に転がり始める。
[review] | ゑぎ, 3819695 | [投票(2)] |
★3 | 赤い影(1973/英=伊) | オカルト体質でありながらそれを全く認知しない体質は、認知できないものを説明する営為を目指しながらも啓蒙主義的となり、表層にとどまろうとする世俗化のいじらしさを訴え始める。ただ、不穏の説明を拒絶するこの精神は事件をサザーランドの自家中毒にしてしまう。 | けにろん | [投票(1)] |
★4 | おとなのけんか(2011/仏=独=ポーランド) | たとえばハムスターに反応するケイト・ウィンスレットである。最初は行為が理念的だった。酒が入ると性格が理念に近づいてくる。 [review] | ぽんしゅう, けにろん | [投票(2)] |
★4 | 十九歳の地図(1979/日) | 美術にせよ蟹江敬三にせよ、作り込みが場末を侘び寂びのスノビズムに解消してしまう。発声ができてない本間優二の天然がこれを救うかというと、頭から声が出てる感じが、やはり人を理屈に走らせてしまう。 [review] | けにろん, 寒山拾得 | [投票(2)] |
★4 | 恋人たち(2015/日) | 不条理をどう受け入れるのか。言い換えれば、事を人災ではなく災害として認知する方法とは何か。社会の広がりに組み込まれろと作者は推奨する。人災は点だが災害は広がりである。巨視的な何かで包摂せねば認知できないからだ。 [review] | ぽんしゅう, けにろん | [投票(2)] |
★4 | 1987、ある闘いの真実(2017/韓国) | 既に見えいている勝敗が、どこまで平静を保てるか、キム・ユンソクの根性を試しにかかるのだが、そこにキム・テリの80年代ノスタルジー爆発のアイドル映画が闖入して、何の映画なのかわからなくなる。 [review] | pori, 寒山拾得, けにろん | [投票(3)] |
★4 | 冷たい熱帯魚(2010/日) | 人間解体の徒労感が、頑張りには内容が問われないと訴える。オスの成長という強迫観念にとって、内容や結果が問われないことは救いになるはずだが、一人前になった男が内容のなさに憑依されることで、物語は無内容を非難する。ところが、 [review] | pori, 寒山拾得, DSCH | [投票(3)] |
★4 | へレディタリー 継承(2018/米) | トニ・コレットの被害妄想と思わせるから、降霊会以降、とつぜんオカルトが始まると格調が消失し、コリン・ステットソンの劇伴の物々しさも手伝い面白家族逆噴射というべき滑稽劇へ。 [review] | はしぼそがらす, DSCH, ゑぎ | [投票(3)] |
★4 | ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019/米) | 二人を失恋させる手際。性格の造形をロケーションで物体化する手管。単体のイベントが多様な効果を引き出す筋の効率性とは事態の同時性である。それは惜別と悲恋の混線させ、一夜の徘徊に空間を分解させず、むしろ事は凝集する。 [review] | けにろん, ゑぎ | [投票(2)] |
★4 | ヒーローショー(2010/日) | 愚者ならぬ語り手には愚者の処遇がわからない。社会化する私闘の加速感は、愚者を扱いかねるゆえに頓挫する。勝ち組の後ろめたさが、愚者に対する決定的な行為をためらわせる。愚者はその配慮に負の意味で聖別された自分を見出し高揚する。 | 緑雨 | [投票(1)] |
★4 | リンダ リンダ リンダ(2005/日) | 青春の最大瞬間風速がゼロ年代の景物の中に呈示されるノスタルジーの混線。どこにもないこの世界の異様な文化的集積度が筋を郷愁の呪いから解放する。序盤で軽音部の部室として具現したそれは、前座の喜劇のような歌唱力へと飛躍し体育館を異空間とする。
[review] | ぽんしゅう, けにろん, DSCH | [投票(3)] |
★4 | ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019/米) | メリルからローラ・ダン、 シアーシャ・ローナンへと世代を経るごとに伸展する馬面。爆縮レンズのように、馬面に四方から圧されたローレンス・ピューの丸顔はその球形を際立たせ、馬面一家の不穏を引き受ける。 [review] | ぽんしゅう, jollyjoker, けにろん, ゑぎ | [投票(4)] |
★3 | 愛のむきだし(2008/日) | 70年代ポップカルチャーの解像度が社会時評を扱いかねる。昭和のラブコメが始まるように筋が記号に振り回され、その遠心力に耐えきれず内容が脱落する。罪を作らねばならぬほど男には罪の実体がなく、コリントを引用して糾弾されても非難の謂れがわからない [review] | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★4 | 劇場版 鬼滅の刃 無限列車編(2020/日) | モブが事態を傍観している。感情はすべて講述される。これは演出の不在である。前半と後半の筋が関連を持たない。これは脚本の不在である。台詞の間が小津映画のような几帳面さで12コマずつ区切られている。これは編集の不在である。 [review] | samurai, DSCH | [投票(2)] |