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★4 | 天使のはらわた 赤い教室(1979/日) | 女の幸福を願いたくなるのは、薄幸が正しく実効しているからだ。相思相愛の破綻は偶然に委ねられ、男の未練を温存させるように。人生の敗残と失恋が相互に傷心を参照し合っていく。 [review] | けにろん, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★3 | 異端の鳥(2018/チェコスロバキア=ウクライナ) | たとえば、生計の手段が絶えず疑義に晒されるような生活感のなさが、生活の物証を追及するゆえに、景物の質感は高い解像で捕捉される。これがモノクロと齟齬を起こしてますます作りごとめいてくる。 [review] | DSCH | [投票(1)] |
★4 | 人間狩り(1962/日) | 長門裕之の顔パーツはその中心に吸い寄せられるように配置され、自らが自らに陥没する勢いがある。渡辺美佐子はこれを嫌がり、顔を見るとつらいという。長門が事件を放り出し美佐子の尻を追うと伊藤孝雄が勝手にやってくる。陥没が陥没を引き寄せるように。 [review] | ぽんしゅう | [投票(1)] |
★4 | 大魔神(1966/日) | 本編が本当に本編として機能してるというか、大映ガチ時代劇の強度が特撮を包摂して、円谷とはまるで違うリアリズムに達している。その割に魔神が初心で高田美和にいいようにされてしまう。 [review] | DSCH, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★4 | 佐々木、イン、マイマイン(2020/日) | 佐々木が芸の肥やしにされた。この印象は視点整理の失敗に起因すると思う。佐々木が独りだけの場面が方々にあり、彼の内面が暴露している。これは話の趣意からすれば叙述エラーだろう。被害者面の競い合いになりかねないからだ。 [review] | おーい粗茶, 緑雨, けにろん | [投票(3)] |
★3 | 家庭(1970/仏=伊) | ルームメイトとやり取りするキョーコの芝居が強烈なのは、演出の統制が及ぶべくもないからだ。あの不穏さは、感情のマグマ溜まりとして働き、語彙の制約でそれを直截に表現できないほど、官能のほてりは匂うように、大気に拡散する。 [review] | けにろん | [投票(1)] |
★4 | ブルータル・ジャスティス(2018/米=カナダ) | ナトリウム灯のモノクローム映画に彩色をもたらすのは抽出された臓腑。ロングで人体を破損していく距離感を刷り込まれると、遠景が緊張を強いるようになる。かくして老眼になったメルギブの倒錯した遠近感は実体化する。 [review] | ゑぎ, DSCH | [投票(2)] |
★4 | ある脅迫(1960/日) | 金子が長考する不思議な間が受け手を彼の内面から引き剝がしてしまう。後世の類型からずれる、苦悩する金子の造形は把握しがたい。曖昧な人間像はだからこそ西村と飲んで白木マリと寝て浜村純を襲う夜の工程をこなし、精力が狭い直江津の地誌と化す。 [review] | ゑぎ | [投票(1)] |
★4 | ギャングース(2018/日) | 話がでかくなると序盤のタタキの精度を維持できなくなり、半グレの三下の情態を細密に叙述する演出家の資質は、階層を上るにつれて人物の細部を取りこぼし、マクロスケールの敵を見失う。が... [review] | ぽんしゅう, けにろん, 水那岐 | [投票(3)] |
★4 | ハウス・オブ・グッチ(2021/米) | 遠近感を狂わせるアダム・ドライバーの怪相はたちどころに時代感を克服し、80年代を知覚させない。ツーブリッジの広漠なフレームがかろうじてアダムの顔面をまとめ上げるが、 [review] | けにろん | [投票(1)] |
★4 | かもめ食堂(2005/日) | まともな映画の質感がこの時期の邦画としては珍しく、むしろその質感で小林聡美が延々と調理している様を活写するだけでいいと、貧乏性を煽られた途端、シナモンロールに客が引っかかる。こういうメタな応答性の良さがある。 [review] | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★4 | ヤクザと家族 The Family(2021/日) | ナルシストというヤクザの一類型を形態模写する舘ひろしの声から気品が抜けず、挙措がヤクザというよりホストに準じるために、平成編の彼は、オリヴェイラ映画のマルコヴィッチのように画面に佇むだけで爆笑を誘う稀有な事態をもたらす。 [review] | けにろん | [投票(1)] |
★3 | そして父になる(2013/日) | これは、よほどフランキー側に問題がなければ現状維持が妥当で、そもそも観察に値する現象とは思えない。それを無理に物語の形に落とし込むため、福山の造形が紋切型になる。 [review] | ジェリー, ペンクロフ, moot, ぽんしゅうほか5 名 | [投票(5)] |
★3 | レスラー(2008/米=仏) | 総菜屋の過密な情報量を縫って、エプロン着装のロークが体を駆り立てる。嫌がりながらも習熟は進み経過観察のエンタメが出てくる。こんなものが面白くないわけがないのだが、ここまで器用な彼が窮地に陥る不可解に思い至ると、映画の作為が気になり始める。 [review] | ペンクロフ, 3819695, DSCH, ExproZombiCreatorほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | 透明人間(2020/米=豪) | キャスティングがよくわからない。なぜエリザベス・モスなのか。そこまで彼女に執着するこの男の趣味は何なのか。中盤の手前でモス自身「なぜわたしなの?」とメタ発言をやってしまうほどである。 [review] | ゑぎ | [投票(1)] |
★4 | つぐみ(1990/日) | 牧瀬理穂の屹立とした顔面は、光源によって趣を変えて行く表情筋の地誌である。90年代前半型デューク真田がそこに投じる不穏な影の往来が、われわれの欲望を、条例違反のボーダーライン上で縦揺させる。 | ペンクロフ | [投票(1)] |
★4 | クライ・マッチョ(2021/米) | 他人どころか当人すら所作の統制はもはや野放しである。にもかかわらず、メキシコの女性連だけは統制される終わらない性欲。筋は向こうから勝手に飛んできて、老人に実体を詰め込む。 [review] | けにろん, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★4 | わたしを離さないで(2010/英=米) | 男に寄せられる斟酌なき好意が、キャリーの恋愛を母性愛として装わせる(なぜこの男に惚れるのか?)。男に潜む知慮が見出された時、同情を愛へと構成すべく、キャリーのタヌキのように愛らしい体躯が、蒼白な太陽の下、回顧的に転がり始める。
[review] | ゑぎ, 3819695 | [投票(2)] |
★3 | 赤い影(1973/英=伊) | オカルト体質でありながらそれを全く認知しない体質は、認知できないものを説明する営為を目指しながらも啓蒙主義的となり、表層にとどまろうとする世俗化のいじらしさを訴え始める。ただ、不穏の説明を拒絶するこの精神は事件をサザーランドの自家中毒にしてしまう。 | けにろん | [投票(1)] |
★4 | おとなのけんか(2011/仏=独=ポーランド) | たとえばハムスターに反応するケイト・ウィンスレットである。最初は行為が理念的だった。酒が入ると性格が理念に近づいてくる。 [review] | ぽんしゅう, けにろん | [投票(2)] |