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袋のうさぎさんのお気に入りコメント(22/23)

ウンベルト・D(1952/伊)★3 この「プライドを捨てないこと」という矜持が、最早、資本主義も末期症状を呈し始め貧困が日常のなかに潜在化してしまった現在、ここまで気高いことなのかどうかは甚だ疑問だが、やせがまんが美徳でなくなった今だからこそ、逆説的に「面白い」と言えなくもない。 (ぽんしゅう)[投票(4)]
沈黙 -サイレンス-(2016/米)★4 この一徹さはミゾグチが想起させられる。窪塚洋介のウラジミール/エストラゴンがいい。 [review] (寒山拾得)[投票(5)]
ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015/米)★5 くたびれてきたとは言え一人の男優が主役張り続けているこのシリーズはやはりえらい。前作の落下の主題を中心に据えたアクションに対して、今回は狙撃や催眠ガスや水中侵入など、多くのシーンが「息を止める」という生理的に困難な状態で主題化されていて、違いを作ろうとしている努力もえらい。さらに⇒ [review] (ジェリー)[投票(4)]
わたしの願い(1953/米)★3 ダグラス・サークの演出力のすごさが、重要な舞台であるマードック家の居間に集約的に顕れる。緻密な撮影プランのもとに居間セットが巧みに構想されている周到さに感動せずにはいられない。一見不自然な中二階構造が屋内撮影の画角をとても多彩にした。 [review] (ジェリー)[投票(2)]
淵に立つ(2016/日=仏)★4 舐めてると牙を剥いてくる悪意の奔流は遍く我々のすぐ隣に内在する。残念ながらそれに抗する術は無いのだという諦念に於いて優れてイ・チャンドン的だ。カメレオン作家深田の新たな鉱脈で男優2人に四つで対峙する筒井も良い。ただカメラが弱い。 (けにろん)[投票(4)]
三姉妹〜雲南の子(2012/香港=仏)★4 確かに凄まじい貧困ぶりだが子供たちに暗さはない。ボロボロの布団や底の抜けた長靴に愚痴をこぼしながらも現実を現実としてやり過ごし、泥にまみれながら豚や山羊を追う姿はまるで「命」と戯れているようにさえ見える。ただし、それは決して強さなどではない。 [review] (ぽんしゅう)[投票(3)]
アギーレ 神の怒り(1972/独)★4 下流を虚ろな目で見つめ、ぼんやり、ゆっくり、確実に死んでいく人間たちと対照的に、アギーレは流れの先ではなく、むしろギラついた目で上流を睨み続ける。帰りたい人間たちが上流へ、アギーレが下流へ意識を向けるのが自然だろうが、この逆転こそがミソ。静寂の中、「流れ」と「視線」の方向性が、「神への叛逆」を饒舌に物語る。 [review] (DSCH)[投票(5)]
レイクサイドマーダーケース(2004/日)★2 あー、もったいない、もったいない。もったいないお化けが出るぞ。 [review] (ペペロンチーノ)[投票(4)]
イノセント(1975/伊)★4 巨匠の遺作だか何だか知らねえが、ぼくにとってはラウラ・アントネッリをネタにする、ただそれだけのための作品だ。 (黒魔羅)[投票(1)]
ビッグ・コンボ(1954/米)★4 冒頭からジョン・アルトンの光の扱いには目が釘付けになる。リー・ヴァン・クリーフアール・ホリマンのコンビと、ヒロイン=ジーン・ウォーレスがオープニングから登場、というのが嬉しい。これら人物の動かし方もカッコいいのだ。そういう意味で、絶好調のジョセフ・H・ルイスだと云えるだろう。 [review] (ゑぎ)[投票(1)]
幸福の設計(1947/仏)★5 掛け値なしの傑作。なんと豊かな運動の映画。特に前半と終盤が恐るべき運動量だ。画面の縦横に様々な人物が入り込み、画面内で動き回る、その量も速度も全く常軌を逸している。 [review] (ゑぎ)[投票(5)]
遠い国(1954/米)★4 「雪」の、と云うよりもアンソニー・マンらしい「山岳」の西部劇。雪崩のカットには心底ビビる。ここでも映画の良心はウォルター・ブレナンであり、彼と少女コリンヌ・カルヴェが中盤までの楽しげなムードを支えている。悪役ジョン・マッキンタイアも紳士的な極悪人といった感じで魅力的だ。 [review] (3819695)[投票(2)]
ぼくのエリ 200歳の少女(2008/スウェーデン)★4 およそ説明のつかない、あらゆる意味付けや価値観・倫理感を超越して他者の理解を寄せ付けない排他的な「理解」こそ「愛」と呼びうる局面があるのであって、その観察の的確な実践と言える。字義通りの空腹のみならず、殺意、孤独、あらゆる「飢え」が表出する。それを「みたす」ことへの二律背反する感情。作品内で展開される「行為」の全てが深く、見応えがある。 [review] (DSCH)[投票(5)]
リパルジョン・反撥(1965/英)★4 性にとどまらない生への嫌悪と吐き気の映画だが、嫌悪は果たされない願望の裏返しとしてある。ドヌーヴの目は、閉じるわけではなく、何かを探すようにぎこちなく宙をさまよう。このオープニングからして、ポランスキーの観察と実践は嫌らしいほど精緻で説得力がある。ポランスキーの作家性の本質は五感のレイプ、「侵(犯)すこと」なのだと思う。この技巧のいけにえが、切実な「青春映画」を浮かび上がらせる。 [review] (DSCH)[投票(7)]
殺人の追憶(2003/韓国)★5 ポン・ジュノのテーマは明確だ。信念と怒りが別の不条理(時代や怪物)に阻まれて思い描いた威力を持って届かない悲劇や、あるいは結果や信念自体が変質してしまうといった「運命の不条理」と、抵抗の人間臭いもがきの力強さ、そして滑稽さだ。 [review] (DSCH)[投票(5)]
ウィンチェスター銃’73(1950/米)★4 傑作!と云ってもよいのではないでしょうか。見応えのある充実した画面の連続に興奮しっぱなし。炎や太陽といったオン・スクリーンの光源を活かした照明設計のすばらしさも特筆もの。 [review] (3819695)[投票(2)]
四十挺の拳銃(1957/米)★5 ジョセフ・バイロック! 構図や光の加減が非の打ち所なく完璧というわけではないが、しかし黒白のシネスコにおいてこれを超えるのは難しいと感じさせる力感溢れる画面群だ。驚愕の長回し。最高に壮観な風景撮影。竜巻のシーンなんてどうやって撮ったのだろう! 演出家の無茶に応えるのが撮影者の仕事だ。 [review] (3819695)[投票(2)]
四十挺の拳銃(1957/米)★5 傑作。聞きしに勝る素晴らしいオープニング。大俯瞰の馬車。右手に雲の影。馬車を御するのは主人公バリー・サリヴァン。停止する馬車の前から40頭の騎馬が走り抜けていく。一番前は女主人のバーバラ・スタンウィックだ。何が良いって馬車の馬の驚いて慌てる様がいい。ここまでがアヴァン・タイトル。 [review] (ゑぎ)[投票(2)]
罪の手ざわり(2013/中国=日)★5 僕にとって危険な映画です。最初の2つの挿話。何気なく人を殺戮するその小気味よさ。ほとんどの人間が現代を我慢してかろうじて生きながらえている中、スクリーンでは幻想よろしく、大物小物問わない悪人たちが拳銃の弾に、ばったばったと倒れて行く、、。 [review] (セント)[投票(2)]
アデル、ブルーは熱い色(2013/仏=ベルギー=スペイン)★5 出会いと別れに纏わるザ・シンプルな内容で、物語的なギミックは皆無。同性愛をめぐる周囲との軋轢が後半放逐されるあたり寧ろ興味がないのだろう。ひたすら2人の射抜き射抜かれる視線の交錯と最深部まで味わい尽くす肉体の連結をカメラは凝視する。圧倒的。 (けにろん)[投票(2)]