寒山拾得さんのコメント: 投票数順
古都(1980/日) | 途中までは覚束ないが、収束はとてもいい。制作側が本作を大歌手の引退興行の一貫として捉えているのは明らかだが、そんな思惑を超えた秀作と思う。 [review] | [投票(1)] | |
フル・モンティ(1997/英) | 収束はちょっといいのだけど、そこへ至るためのご都合主義を涙で誤魔化そうとするのがいけない。そこは笑いで誤魔化してくれないと。キートンなら裸と実存について大いに考察しただろうに。 [review] | [投票(1)] | |
櫻の園(1990/日) | 一線を嘘のように超えてしまうエロスな空気感が剣呑、共犯関係は夢の向こうに至る。例えば革命とはこんな場所から始まるのではないだろうか。職員室など敵方を描写しないのが巧みで閉鎖的な空間は濃密に自転し続ける。懐に隠した「暴動起こそうよ」。 [review] | [投票(1)] | |
人間魚雷回天(1955/日) | 『世界大戦争』と並び称されるべき松林の傑作。これを観た者は一度死ぬ。これじゃ突撃しなきゃしょうがない、と思わせる同調圧力の空気感が半端ないのだ。津島恵子と加藤嘉が忘れ難い。 [review] | [投票(1)] | |
リリイ・シュシュのすべて(2001/日) | ちゃらちゃらした映像と癒し系の音楽は緩衝材のつもりなら効き過ぎで腰の据わらぬこと夥しい。鬱度不足だし、そもそも加害者の視点が欠落している。 [review] | [投票(1)] | |
8 1/2(1963/伊) | 湯治治療に行き、愛人を抱き、回想とハーレムで二度ワイン風呂につかり、最後も素っ裸になる映画。この秀逸な入れ子構造の時間差の感覚は二度と再現不能だろう。 [review] | [投票(1)] | |
夢売るふたり(2012/日) | コメディとシリアスの中間地帯を目指すのはいいのだが、何も出てこず鴎と共に空中分解したのは登場人物への悪意が欠落しているからだ。燃やす札束や鼠などの盛り上げ方が昔の名画っぽく、勉強して撮った感が漂い白ける。 | [投票(1)] | |
家族はつらいよ(2016/日) | 引用される傑作群に比べればどうしようもなく薄味だが、目指されたのがタイトルバックの回顧趣味に見合った気持ちの良い軽喜劇なのだとすれば、これはこれでいいのだろう。 [review] | [投票(1)] | |
AKIRA(1988/日) | この作者予言者か。東京崩壊を原発事故と解せば随分ずれたが的中。学生運動はゲバ棒は持たないが起きている。凄いのは1年違いの東京オリンピック。 [review] | [投票(1)] | |
おとうと(2009/日) | 漱石「道草」系の迷惑話で通すか、矜持ある寅さんの後日談にするか、笑福亭鶴瓶の造形はいずれにも振れず中途半端で印象に欠ける。いっそ民間ホスピスの話にしたほうが興味深かったろうに。プロポーズの件と池乃めだかの大家は好き。 | [投票(1)] | |
冬の小鳥(2009/韓国=仏) | 天才子役にはかなわない。子供目線の傑作。大人が腰から下しか映らないローアングルがここぞと云う時に繰り出され、とても効果を上げている。 [review] | [投票(1)] | |
妻への家路(2014/中国) | 虚仮の一心を描き続けて四半世紀、チャン・イーモウはついに超然とした世界を物した。見事な老境の作品。 [review] | [投票(1)] | |
風と共に散る(1956/米) | 冒頭と酒場のアクションは生気溢れるがその他は平凡なハーレクイン・ロマンス。サークの傑作とは思われず。没個性な三人との比較でドロシー・マローンが輝いている。アカデミーも納得の悪女振り。 [review] | [投票(1)] | |
アジョシ(2010/韓国) | 『ブルース・ブラザーズ』を想起させる動機の純朴さがチャーミングでいい。撮影も面白く、窓から飛び降りる際の上品なCG処理に二度はっとさせられた。 [review] | [投票(1)] | |
グレン・ミラー物語(1954/米) | ムーンライト・セレナーデのダンス・バージョンが抜群にいい。これをばっさり否定する処がジャズを限りなくイージー・リスニングに近づけたグレン・ミラーの面目躍如、丁寧に記録されている。趣味じゃないけど。ジューン・アリスン魅力的。 [review] | [投票(1)] | |
眼には眼を(1957/仏=伊) | アルジェリア戦争中の作品で、作者の姿勢は真摯なものがあるが、それでもエドワード・サイード以前の旧弊なオリエンタリズム観に毒されているように見える。 [review] | [投票(1)] | |
キツツキと雨(2011/日) | 『アメリカの夜』から三十余年、深夜の駅舎の件辺りで、ついに映画愛を自己否定するパンキッシュな映画が生まれたのかと猛烈に期待したのだが。 [review] | [投票(1)] | |
ピアニストを撃て(1960/仏) | 途中でメロウになるハチャメチャとは何とも古色蒼然。いいのは道路を横切る人や車のスピード感、胸を出す娼婦、マリー・デュボワの可愛さと「私は貧乏育ちだから挫けない」、雪の銃撃戦。 | [投票(1)] | |
自由学校(1951/日) | 喜劇的に混乱した世相を喜劇的に生きる喜劇俳優に囲まれて、佐分利信の心を映すものは何処にもなかった。 [review] | [投票(1)] | |
戦火の馬(2011/米) | アフラックな家鴨も馬もどこからがCGなのか判別がつかず、この技術が報道で政治利用されたら恐ろしいなと思う。動物映画がサーカスの延長だった時代は終わっている。『ハタリ!』をリメイクしてもハラハラ感など皆無だろう。 [review] | [投票(1)] |