寒山拾得さんのコメント: 投票数順
若き魂の記録 七つボタン(1955/日) | 感化院出の不良練習生市村博と頬に傷ある先輩三國でもって本作の予科練は学級崩壊しており、戦中PR映画の記憶を転覆させてとてもサスペンスフル。特攻隊志願者に向かって「死なないで」と過激なこという女学生芦川いづみが反則級に可愛い。 [review] | [投票] | |
リンゴ園の少女(1952/日) | 『そよかぜ』のおもいっきり二番煎じ企画だが、「りんご追分」のヒットで有名になった。本筋はこの頃の邦画にやたら多い歌手志望話で平凡、しかし見明、三井の出鱈目選挙は面白い。 [review] | [投票] | |
街の天使(1928/米) | 全体通じてシリアスなメロドラマだが、コミックから始めて徐々にヘヴィーに進む古典的演出で、さらにホラーにまで足を延ばすのがサイレントらしい。ジャネット・ゲイナー第1回アカデミー受賞3作のひとつで『サンライズ』『第七天国』と並べても遜色ない秀作。 [review] | [投票] | |
愛の花(1920/米) | 『男性と女性』(1919)タイプの波乱万丈の孤島ものだが、物語も撮影もデミルのような切迫感はなく淡泊。映画史的には初の水中撮影で記憶されるとのこと。 [review] | [投票] | |
幸運の星(1929/米) | 幼いゲイナーと大人のファレルの自宅デートがとても可愛くて美しい佳品。精神主義は煙たいが、童話だと思えば気にならず。 [review] | [投票] | |
妖雲渦巻く(1923/米) | 正義のアメリカを描いて阿呆らしい中国進出正当化映画。いわゆる西部劇の領土拡大物語の海外版だ。有名なアンナ・メイ・ウォンを拝めるが政治利用されている感漂うばかり。こういうのもトッド・ブラウニングの新東宝的切り口なんだろうか。 [review] | [投票] | |
生恋死恋(1918/スウェーデン) | 「18世紀アイスランド山岳地帯は無法地帯」の設定は眉唾なんだろうが、この休火山らしい山岳の風物は珍しく、ワイルドな撮影で愉しめる。話はフツー。 [review] | [投票] | |
インゲボルグ・ホルム(1913/スウェーデン) | キャメラは徹底してフィックスで、リュミエール兄弟なら50秒で終わる処を本作はこれで腰を据えて長回しをする。この呼吸が面白く、ある種前衛の極み(『立ち去った女』が想起される)、そして本作の主題に相応しかった。忘れ難いショットがいくつもある社会派告発作。タイトルは主人公の名前。 [review] | [投票] | |
黄色の部屋(1930/仏) | 「黄色い部屋の秘密」の映画化だが、密室の謎解きは解かれてみるとなあんだとガッカリさせられる類。小説(未読)は同じ筋だろうに、なんであんなに有名なのだろう。そちらのほうが謎になった。 [review] | [投票] | |
スージーの真心(1919/米) | ロバート・ハロンはなぜあれほどリリアンを避けるのか。 [review] | [投票] | |
關東大震大火實況(1923/日) | モノホンの迫力溢れる第一級資料。キャメラマンの「決死的撮影」で知られる由。センシティブな映像が続き、遺体も映る。行方知らせる貼紙に覆われた西郷さん、浅草凌雲閣の爆破撤去など見処多数。やたら皇族を敬うのが当時らしい。 [review] | [投票] | |
エノケンの青春酔虎伝(1934/日) | ♪ボクラは嬉しいサラリーマン、いつもいつも上機嫌、机の前で居眠りしてりゃ、サラリーは天から降ってくる。エノケンはチークボーイ(とは何だ)、社長の倅、昼から退社してデート。戦前ですでに植木等である。 [review] | [投票] | |
エノケンの近藤勇(1935/日) | ノンセンスの傑作。「タケちゃんマン」はそのまんまだ。最高に強力なのがエノケンが伊藤薫と親子で踊る「蛙(かわず)の夜回り」で破壊的に下らない。史実を追う処は弱いがどうでもいい。 [review] | [投票] | |
エノケンの千萬長者・続篇エノケンの千萬長者(1936/日) | キートンを想起させるブルジョアのドラ息子もの。柳田貞一のブルジョア指南がもの凄い。肯定的な価値観などまるでなく、ただ単に怠け者の理想像を並べ続けてある種の迫力がある。 [review] | [投票] | |
悲しき口笛(1949/日) | 松竹時代のひばり映画ではこれがピカイチだろう。ラストのショーで名高いが津島恵子のダンスも素敵。ヤサグレる菅井一郎も素敵。 [review] | [投票] | |
憧れのハワイ航路(1950/日) | 主題歌のようにカラッとした喜劇と思いきや寅次郎らしからぬ湿気充満の新派劇で驚き。こんなによく泣く清川玉枝は珍しいだろう。『ハワイ・マレー沖海戦』から10年足らずでこんな映画つくって悦んでいる邦画の無節操もどうかと思うし。 [review] | [投票] | |
東京キッド(1950/日) | ひばりにアチャコにエノケンに坂本武まで登場する豪華版。寅次郎は淡々と泣かせ芝居を撮っているが、ときどき炸裂するコメディのほうがやはり冴えている。エノケンに一点加点。 [review] | [投票] | |
陽気な渡り鳥(1952/日) | 美空ひばりと同じぐらい淡島千景の見せ場があるのが麗しい処。ベストショットはアワシマの男装剣劇で、当たり前だが宝塚のように格好いいし手品も面白い。 [review] | [投票] | |
喜劇 急行列車(1967/日) | 1作目。あっちこっち流離う気まぐれな喜劇だが、渥美清のお似合いはやっぱり佐久間良子じゃなくて楠トシエだよねという処で一本筋が通っているのが好感。この大物ふたりが寅さんに登場しないのがオモシロイ。大原麗子とは『真実一路』前段の運命の遭遇の趣。 [review] | [投票] | |
喜劇 団体列車(1967/日) | 2作目は瀬川喜劇の傑作。人情過剰に陥らず最後までコメディを忘れないのが素晴らしく、とりわけ夜の埠頭のギャグがすごい。そして人間万事塞翁が馬の感慨がもたらされるのだった。城野ゆきは本作が代表作だろうか。 [review] | [投票] |