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けにろんさんのコメント: 投票数順

★3王妃の紋章(2006/香港=中国)過剰な装置と原色の氾濫の中で男と女と親と子が繰り広げる骨肉の相克がイーモウの極北かと思わせる前半は傑作だが、後半、狂気にまで至る越境ぶりも劇画チックな殺陣に埋没し廉価な茶番に堕す。惜しいとしか言えない。程小東との決別をこそ望みたい。[投票(2)]
★3バンテージ・ポイント(2008/米)反復される時間軸が徐々に伸延される様には快感がある。ただテロリズムの本質を私利に堕させる浅薄な展開や権力への従順な盲信や場違いな親爺の勘違いヒロイズム等又かとうんざり。手法には茫漠とした混沌の時代に訴求し得る可能性を感じただけに惜しい。[投票(2)]
★4ロンリーハート(2006/米=独)しょたれたトラヴォルタダーンの老いらくコンビの風情が素晴らしい一方、ロンリーハーツコンビのボニー&クライドめいて止め処なく墜ちゆく様も過不足無い。抑制がある演出だが深淵まで踏み込んだとも言いかねる。役者のコラボがクールで魅せる。[投票(2)]
★3パッチギ! LOVE&PEACE(2007/日)禁じ手の筋ジスやベタなフォークに流されまいとしても暮雨だの如く流れる涙は止まらず、今更の史観を声高に論じて憚らぬ臆面の無さは嘗ての木下恵介にも匹敵。コミュニティの孤絶に見出す居心地良さは最高級だが、矢張り構成のバランス欠如は致命的。[投票(2)]
★3サラエボの花(2006/オーストリア=ボスニア・ヘルツェゴビナ=独=クロアチア)疲弊を刻んだ母エスマの表情が多くを語るにせよ、やはり母娘の内面史に迫るには安易であってもトラウマの源泉を見せる必要があったんじゃなかろうか。いずれにせよ、男運無さそうな母を背に娘サラはやがて頚木から解き放たれるだろう。そこが救いだ。[投票(2)]
★4プラネット・テラー in グラインドハウス(2007/米)腐った牛乳がやがてヨーグルトになる様に不快な下司も半端を通り越して一周すると爽快になる。人体が砕けて飛び散る様を繰り返し見せられオモロイなあ。賢い人がアホなフリしてるとしても。『デス・プルーフ』とは本当に良いマッチング。[投票(2)]
★3修羅雪姫(1973/日)即席培養された「怨み」は過剰なまでの激烈さで消化されなければ矮小化する一方だから仕方ないのだろう。昭和の暗部の残酷見世物小屋の如き「ブッタ斬り」ショーが一種マゾヒスティックな悲哀をもたらすのが唯一の見所。[投票(2)]
★3プレスリーVSミイラ男(2002/米)ブルース・キャンベルの枯淡とも言うべき老人演技が味わい深く、エルビスネタのシケた頃合いもナイスなだけに、ヘタレなホラーへの拘りは要らんとも言える。ただ、ヘタレなのも又可愛いとさえ思えてくるから困ったもんだ。[投票(2)]
★4現代インチキ物語 騙し屋(1964/日)身も蓋もないセコくショボい騙しのプロットの連鎖に終始するが、増村節絶好調のハイテンション演技で曲者たちが笑っちまうほどに威風堂々と弁舌まくしたてる。最後は遂に真性ハードボイルドに近似していく世界観の転倒。小林撮影が大きく寄与してる。[投票(2)]
★4喜劇 女売出します(1972/日)バイタリティとかそういうのではなく露骨にSEXが日常に介在する世界で松竹イズムを穿ちつつ一方ベタな人情話を踏襲した森崎イズムに改めて感銘した。夏純子の目力、森繁市原の情、西村小沢の芸を俺は愛する。[投票(2)]
★3危いことなら銭になる(1962/日)安藤の色彩設計に姫田の撮影というビジュアル面は過不足あろう筈なく中平演出もポイントを押さえるケレンがあるが、バディムービーを志向したと思しき人物配置はルリ子を除いて役不足。土台脚本がショボすぎるのだ。[投票(2)]
★4龍が如く 劇場版(2007/日)相変わらずの過剰とテキトーの喧噪の中を駆け抜ける1夜限りのワンナイトショー。脇挿話も冴えたアラベスクだが、結局、肉体的対決に的を絞る…しかなかっただろう。主役2人はこれ以上はないケレンとハッタリで見ててこんなにオモロイもんもそう無い。[投票(2)]
★4シリアナ(2005/米)少なくとも西欧原理主義的立脚点から脱しアラブの視座を挿入しようとするあたり成程『トラフィック』の脚本家らしい。9・11の本質的意味を考えさせられる。米帝国主義を撃つ侠気にこそ涙しよう。余りにソダバーグそっくりとしても…。[投票(2)]
★3松ヶ根乱射事件(2006/日)皆それなりに状況に埋没し閉塞が閉塞のまま終わるというのは、らしいしラストは正味笑った。だが、川越美和の張っ倒したくなる偏執キャラを始めとする世界の不均衡な歪みが断片的で互いに相関し合わず喰い足りない。コンセプトは買うが力量不足と思う。[投票(2)]
★4魂萌え!(2006/日)カプセルホテルや鄙びた映画館やデパ屋といった選択された舞台があざとくなる臨界で物語に馴染んでいる。向田邦子の焼き直し感バリバリだが堪能した。斜め俯瞰の構図を要所で使う演出の醒めた視線の妙。女優は全て良いが役を作りこんだ三田は出色。[投票(2)]
★3ジャケット(2005/米=独)独り善がりな設定は独善的なまでのオリジナリティで担保しないと見るに忍びない。この映画は時空を横断する前提・手段をイメージできていない。ただ、終盤の畳みかけるような展開に若干心揺さぶられるが、所詮は既存文脈のエピゴーネンに過ぎない。[投票(2)]
★3SHINOBI(2005/日)取り敢えずは胡散臭い術を使う忍者がやたら出てきて体面を保ってはいるが、悲恋を描きたいならとことんやったれやと思う。木偶の坊が演じるそれはゴミに等しい。デジカメの甘いフォーカスと毛唐文字を交えたハッタリ字幕が粋だと思ってるのなら悲しいことだ。[投票(2)]
★5にあんちゃん(1959/日)少年は自我と親愛の狭間で悩んだりしない。前進あるのみで真摯であり、しかも当たり前の如く情愛も持ち合わせている。こういう自立し行く世代の芽生えは何時の間に摘み取られてしまったのだろうか。後の今村一家総出の脇役陣も充実。[投票(2)]
★4グッドナイト&グッドラック(2005/日=仏=英=米)規定の事実という前提なのだろうが、マッカーシーのサディスティックをもっと前面に出した方が劇的であったと思う一方、実験的とまで言える抑制を選んだクルーニーが嫌らしくも男前とも思う。とにかく技術であってモノクロの粋とも言える撮影。[投票(2)]
★4ど根性物語 銭の踊り(1964/日)なんじゃこりゃの支離滅裂と微妙な変態味。文芸の鎧を外された市川崑の本質は案外こういうところにあるのではなかろうか。モダンジャズとスタイリッシュな宮川カメラが世界観を補填する中、勝新だけが我を通している。アンビバレントで好みだ。[投票(2)]