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けにろんさんのコメント: 投票数順

★4バベル(2006/仏=米=メキシコ)日本とモロッコの挿話が数枚の写真でしかリンクしない等、構成の強度は脆いし新味も乏しい。しかし、一見今更の喪失や鎮魂の中から最終的に抽出されるのは子供に対する大人達の思いと次世代への希望に思える。予想外の真っ当さに撃たれた。[投票(4)]
★3頑張れ!グムスン(2005/韓国)1晩中、赤ん坊をおぶって走らされ続けるペ・ドゥナにかなり感動した。コンセプトは明快で肉付け次第では傑作に成り得ただろう。コメディリリーフはドゥナ1人に負わせて他は極マジで行ってくれりゃ良かったのに。そうすれば彼女の涙も報われたろう。[投票(4)]
★3父親たちの星条旗(2006/米)捏造された英雄神話に拘る余りにあっけないまでに単視眼的であり、ベトナム経由の出し遅れ感が横溢する。2部作になんか分けずに日米が対峙する戦略をパノラミックに錯綜する視点で描いてこそのものだろう。又、上陸作戦はスピルバーグの全き自己模倣だ。[投票(4)]
★4フラガール(2006/日)健康ランドでフラダンサーになったからって…と思うが、それさえ叶わぬ親友のことを思えば涙も出る。状況描写に説得力があり、そこしかないから的唯一の社交場の安食堂の鄙びた場末感が良い。ただ終盤が安易に予定調和。『リトル・ダンサー』との酷似も損。[投票(4)]
★4解散式(1967/日)任侠世界から仁義のなき世界へと移ろいゆく時代の境界という言葉が文字通り湾岸に並び立つ石油コンビナートで示現される。そして、「創造社」の2人の役者が旧き侠道の破壊者として登場するのも象徴的。的確な作法で深作は風穴を開けた。[投票(4)]
★3ブラック・ダリア(2006/米=独)あの近写から360度のパンニングを交えて大俯瞰に至る件りに尽きる。刑事たちの三画関係を交えた物語の流れの軸を強引に猟奇事件へと転換させていく手法。それのみがデ・パルマであって後は稚拙なヒッチコッキアン振りを単発的に見せられても今更。[投票(4)]
★3グエムル 漢江の怪物(2006/韓国)平穏な日常に生々しいまでのリアル感で異物が投入される序盤の漢江河畔のシーンは傑作なのだが、中盤以降の政府・米軍の対応のカリカチュアがやり過ぎというより稚拙。それでも、図太いまでの拘りで描かれた家族の絆の再構築はかなり心打つ。[投票(4)]
★2アンジェラ(2005/仏)人は一旗揚げて万能感に支配されると、こういう妄想を思い描いてしまうのであろうか…。苦節の時代の自分を投影し天与の恩恵に授かり幸福を得る。人生はそんなに甘いもんじゃないってのはベッソン以外の全員が知っている。[投票(4)]
★4M:i:III(2006/米)釣瓶打ちの見せ場の連鎖は近年の常套とも思うが、冒頭のシーンが山葵の如くに効いてくる構成は端折るという意味が入念に考慮されてると思う。バチカンと上海のシークェンスに流れる濃厚な『カリオストロ』臭や「マクガフィン」等一々喜ばせてくれる。[投票(4)]
★3ブラザーズ・グリム(2005/米=チェコ)敢えて「グリム兄弟」と題したのにエッセンスとしてさえ介在ざれぬ「童話」。その時点で遣る気の無さが匂いたち退く。成功作『スリーピー・ホロウ』の記憶冷めやらぬ時期の同工異曲2番煎じゴシックホラー。唯一、高所感の表現には目を瞠った。[投票(4)]
★4スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐(2005/米)悪への転向過程があの程度の物語じゃ納得できぬし、元々予定調和に欠落した円環を補完するのみの物語に殊更の感興も覚えないが、全編ゴテゴテと画面の隅から隅まで遣りすぎ位に何かを飛ばし填め込み大概ウンザリする筈がそうでもなかった統制力には参った。[投票(4)]
★4リベリオン(2002/米)設定が恥ずかしいまでに稚拙なのが幸いし物語の強度を増幅させる。終盤では不覚にも目が潤んでしまった。親が思うほど馬鹿じゃないってことだね。そうあって欲しいよ。統計的推学「ガンカタ」も嘘だろうと思う間もない位決まってた。[投票(4)]
★4ぼくんち(2002/日)少年は故郷を棄て女は故郷に回帰する。寺山的或いは黒澤どですかでん』的邑社会に纏わる出入りの物語は多分に形骸的だが特筆すべきは観月ありさ。生なピンサロ嬢も神々しき慈母性も同時に存在そのものが体現。これが要となって物語を担保した。[投票(4)]
★3火火〈ひび〉(2004/日)演技を超え「生き方のポリシー」とでもいうようなムキ身をさらけ出す田中裕子視点1本被りでゴリ押せばメッセージ臭は払拭され稀代の女傑映画として屹立するものに成り得た筈。息子の死に直面した母親としての煩悶をもっと徹底して描き込むべきだった。[投票(4)]
★4レディ・ジョーカー(2004/日)何が何だかさっぱり解んねえ…のは確かだが仕方なかったのだろう。原作者の思惑との狭間で悩んだ挙句に確信的に総仕込みして破綻させたと見る。ドン詰まりのやるせなさだけは過剰な程に全編を被い、どいつもこいつも目一杯に行き詰まり感を漂わす。泣ける。[投票(4)]
★5永遠の語らい(2003/ポルトガル=仏=伊)モノトーンな母娘の地中海クルーズ遺跡巡りの合間に順次登場する欧州3大年増が、いきなり主旋律に転換する作劇に面食らうも、その圧倒的迫力とマルコヴィッチの腹芸に参る。しかも、急転直下な終盤のいい加減さに確かに喰えん爺いだと納得。[投票(4)]
★4赤目四十八瀧心中未遂(2003/日)無骨とも言える骨太な話法に惹かれる。文学崩れの青年の厭世観がそのフィルターを通して構築された異世界「尼」から拒絶される前半は痛い位に納得性があるが、寺島しのぶに絞っていく後半ではそのフィルターが邪魔。取っ払ってのめり込んで欲しかった。[投票(4)]
★4きょうのできごと(2003/日)魅力的な構成だが神の視座を謳うのであれば挿話がもう幾つか欲しかった。断罪も救済もしない田中麗奈の主人公に対する作り手のスタンスを図りかねるので肝心の鯨が浮いた。しかし、ダラな1夜の顛末の空気には痛いくらいの既視感を覚える。[投票(4)]
★4リクルート(2003/米)万座を圧するパチーノの話術が醸すカリスマと、高慢の中に精緻に織り込まれたファレルの純情が文字通り正面激突する新旧の演技合戦の醍醐味。新味が無いとは言え裏の裏のその又裏へと3転4転する脚本も良ければドナルドソン演出は舵取りで充分。[投票(4)]
★4ごめん(2002/日)ああ…俺も今一度小六に戻り中学生のお姉さんに恋したい。少年が異性を意識し始める極めてヴィヴィッドな瞬間を最強の設定ですくいあげた佳篇。やむにやまれぬ気持ちで走り続ける彼には誰もが重ね合わせる自分を持っているだろう。[投票(4)]