★4 | グッドナイト&グッドラック(2005/日=仏=英=米) | 規定の事実という前提なのだろうが、マッカーシーのサディスティックをもっと前面に出した方が劇的であったと思う一方、実験的とまで言える抑制を選んだクルーニーが嫌らしくも男前とも思う。とにかく技術であってモノクロの粋とも言える撮影。 | [投票(2)] |
★4 | ど根性物語 銭の踊り(1964/日) | なんじゃこりゃの支離滅裂と微妙な変態味。文芸の鎧を外された市川崑の本質は案外こういうところにあるのではなかろうか。モダンジャズとスタイリッシュな宮川カメラが世界観を補填する中、勝新だけが我を通している。アンビバレントで好みだ。 | [投票(2)] |
★3 | フライトプラン(2005/米) | 安定感のあるオーソドックスな画面構成には好感を持ったが、心理サスペンスの趣で開始された物語は謎が解き明かされる後半になるにつれ脚本の在りえない穴が露見されドッチラケ感が漂う。『フォーガットン』との類似も本作には酷であった。 | [投票(2)] |
★3 | 小さき勇者たち 〜GAMERA〜(2006/日) | 「子供の味方」であるガメラというコンセプトを突き詰めた挙句に現出された神憑り的霊感リレーに良い意味での開き直りの境地を感じた。前半の鳥羽の風情の細緻で叙情性に富む描写も良く、怪獣バトルも実景との融合が精緻。ただガメラ可愛いすぎ。 | [投票(2)] |
★3 | ロード・オブ・ウォー 史上最強の武器商人と呼ばれた男(2005/仏=米) | 殺戮の加担者たることと家族を思う良識人であることのアンビバレンツを突き詰めるににしては踏み込みが浅く表層に流れ過ぎ軽い。もっと悪魔的にブラックにデフォルメしたジョークとして撮られるべき題材と思う。 | [投票(2)] |
★2 | TAKESHIS’(2005/日) | 下手で下世話な『ドッペルゲンガー』な『8 1/2』。しかも、無防備に自己陶酔した廉価な自己模倣で彩られて尚更救われない。登り詰め得た処から落ちることへの怯えは傍目に恥ずかしくとも真摯に直視すべきでスカした笑いで誤魔化す位なら晒すべきでない。 | [投票(2)] |
★3 | 亡国のイージス(2005/日) | ぶれない思想軸を持つのは北鮮工作員(中井)とダイス工作員(勝地涼)のみであり、ポーズにせよ日本国体の現状を撃つと言うのなら、グダグダ言わずに東京都内にミザイルをブチ込め!2人のインサートされる背景描写だけはそれなりに切実味があった。 | [投票(2)] |
★4 | リンダ リンダ リンダ(2005/日) | シラケ感が抑制を与えガールズバンド的一生懸命的ダサさを相殺した点は買うが、仮初めにも、それは熱い思いと化学反応を起こし何かに転化するべきで、こうも並列配置に終わったのでは限界を感じたりもする。尚、ベースの関根史織ちゃんはええですな。 | [投票(2)] |
★4 | メリンダとメリンダ(2004/米) | 「Life is Comedy」そう言い切る者は実は人の一生なんて苦の連続だってわかってるのさ。明快に提示されたかに見えた悲喜劇論が、やがて境界を失い融合する相変わらずの闊達な語り口。熟達人のみが老成を許される。アレンはそういう1人。 | [投票(2)] |
★4 | ミリオンダラー・ベイビー(2004/米) | 他者のシナリオを律儀になぞるが、本質的には「物語」としてのロマンティシズムと同志愛とも言える役者達との共闘空間があれば良い。多分それがイーストウッドの純粋さであり限界でもある。それを映画と断言する輩は軽蔑するが哀しいかな俺も好きなのだ。 | [投票(2)] |
★3 | オペレッタ狸御殿(2004/日) | 清順的趣向抜きで見せられたら稚戯に過ぎると思えたろう。懐旧趣味溢れるマイケル・パウェルばりの書き割り世界のロック歌謡ショーに戸惑うオダギリと一生懸命なツイィーちゃんが微笑ましい。薬師丸と高橋の歌唱力にも魅せられた。 | [投票(2)] |
★4 | カンフーハッスル(2004/中国=香港) | 目を惹かれたのは縦横に移動する長回し内での過剰なまでの天こ盛りの創意。真にリスペクトするものには誤魔化しは無礼と言わんばかりのシンチーの引きのスタンスが図らずも親爺リスペクトに連鎖した。とは言え覚醒への布石がもう1つあれば完璧だった。 | [投票(2)] |
★2 | ICHIGEKI 一撃(2004/米) | 哀感や悲愴美と無縁のセガールだから物語を追って脳内で孤独性を追補せねばならぬのは愛嬌で許せる。人身売買という時代性ある題材をチョイスしたのもいいが、1対1の古典的対決で決めポーズされたって…。肝心の組織を潰せよ!あかんわ…。 | [投票(2)] |
★4 | ハウルの動く城(2004/日) | ハウルが何故に孤軍奮闘我が身を賭して闘うのか解らないのに出自等はけっこう描かれ、その辺が論理的世界観の構築から逃げムーディに媚びてるようにも感じたが、細密画の如き「動く城」が動く様には矢張り興奮せずにはおれなかった。 | [投票(2)] |
★4 | 男はつらいよ 寅次郎物語(1987/日) | 疑似家族形成の過程が性急で少し嘘臭いが、子供の親探しとマドンナとの絡みが巧みに配置された展開が極めてバランス良い。刺身の端に甘んじた秋吉ではあるが正面から寅に迫る女っぷりには山葵が利いている。受けた渥美も微妙な距離感を出して出色。 | [投票(2)] |
★5 | オアシス(2002/韓国) | この世には圧倒的に美しいものと小汚いものがある。越境を恐れ同一地平でたゆたう者は美しいものの価値に永久に気付くことはない。そして、それに気付けば、決して適わぬ想いも「心の温もり」が適えてくれるかも知れない。切ないまでの真ラブストーリー。 | [投票(2)] |
★3 | 約三十の嘘(2004/日) | 揃いも揃った大の大人が中学生みたいな好いた惚れたをようもまあマジな顔してやっとるわと萎える気もあるが余りに馬鹿丁寧に撮られてるのでクサすのも気の毒に思える。北上し南下するという旅の情緒感の欠如と場違いな甘臭い音楽は致命的。 | [投票(2)] |
★3 | 箪笥(2003/韓国) | 少女の生理とも言うべき匂いが横溢する前半が終盤に収束され行くのは女同士の骨肉合い咬む憎悪心であったという骨太さには惹かれる。散りばめたネタがロジカルに整合されずとも構わないがJホラーな幽霊や2番煎じな世界観の転倒が惜しすぎた。 | [投票(2)] |
★4 | 血と骨(2004/日) | 現場のポテンシャルがビシビシ伝わる気の入った演技のオンパレードと堂に入った美術には心底惚れたが、後半のクロニクルに並列的なエピソードの配置からは意外なほど何も見る者に訴求して来ない。かなわん親爺やっただけじゃ戯れ言にしかならない。 | [投票(2)] |
★3 | コラテラル(2004/米) | プロ中のプロが心許してしまうにしては、タク運ちゃんは単なる夢見野郎に過ぎず、それをトムに看破される件が実は最も物語ヴォルテージが昂揚するのに構造をも破綻させるというパラドックス。設計図の描き方が甘い。垂れ流され続ける音楽も安い。 | [投票(2)] |