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けにろんさんのコメント: 投票数順

★3オール・アバウト・マイ・マザー(1999/仏=スペイン)傍系人物の特殊な設定ばかりに目が行き肝心の息子を喪失した母の自己再生の物語から瞬く間にズレていく展開。違和感を覚えるし当然感銘も無い。博覧会のように並べられた性志向が本来の人間としてのドラマトゥルギーに準じてない。アルモドバルの極私論。[投票]
★4スリーピー・ホロウ(1999/米)趣味的嗜好に走りすぎて逸脱するバートン作中で最大の抑制を見せた作だと思うし、多分コッポラの陰での統制があったのではなかろうか。今更の題材なのだがゴシックとポップの理想的ブレンドで画を確立するに迷いがない。キャストのアンサンブルも良。[投票]
★3トイ・ストーリー2(1999/米)Part1以上にテクニカル面では巧妙で文句のつけようもないが驚きも無い。どれほど斬新なものでも続篇は規定の範囲内に収まった世界観では収縮感を補えないということ。ハートを打つ真情ってのはもっとプリミティヴでいい。冒険心の欠如は陳腐化を早める。[投票]
★2バレット・バレエ(1999/日)モノクロ撮影が塚本初期のテイストを匂わすが、やってることもまんま同じで、うんざり感も弥増す。何より抗チンピラ戦が女ごときにコロッときて、いつしか抗井川ヤクザにすり代わってしまうのでは勃ったもんも萎む。破綻を描く自らが破綻した帰結。[投票]
★3リング0・バースデイ(2000/日)底知れぬ悪意の権化で何十年かに1度のジャパニーズホラー稀代のキャラ「貞子」の起源を安易な恋愛悲劇で絵解きされては困る。手堅い演出には好感を覚えるが、根っこでマーケットの希求と完全乖離してる。理に落ちる共感は真の恐怖を希釈し遠ざけてしまう。[投票]
★4愛の嵐(1973/伊)接写中心の収容所描写は扇情的に過ぎ一歩間違えれば陳腐に堕する臨界だと思うし、被嗜虐の逆転から心中へと至る男と女の描写も曖昧で食い足りない。にしてもナチの亡霊達が裏側で徘徊する古都ウィーンの退廃ムードが出色であり、終末的風情が画面を横溢する。[投票]
★4白痴(1999/日)長屋を取りまく環境描写のリアリズムが秀でており、その基盤の上でスーパーポップでサディスティックにカリカチュアしたTV局の虚妄か辛うじて成立している。清順寺山的に空襲に仮託されたバブル崩壊の残滓の中から生きる意味を問おうという試み。[投票]
★4シンプル・プラン(1998/米)ライミらしからぬ抑制されたノーブルな語り口。欲望に絡めとられた類型的な破滅譚が何時しか同心円を描くように設定された兄弟愛の話へと中心軸が移行して行くのが秀逸でありキャスティングも計算し尽くされている。役の作り込みのアンサンブルが極上だ。[投票]
★3仇討崇禅寺馬場(1957/日)折り重なる悪い偶然に翻弄されて心ならずも堕ちていく主人公の自責に苦悩し不条理に煩悶する様が今ひとつ淡泊に過ぎる。一筋縄でない物語を語るに流麗で正確だがケレンとハッタリと過剰を良しとせぬマキノ演出向きの題材ではなかったのではなかろうか。[投票]
★2メイド・イン・U.S.A.(1966/仏)政治的であらんとする真性ロマンティストゴダールが、その歪んだ断層を埋められずに諧謔に逃れようとしたが自己崩壊した愚作。カリーナとのコンビネーションも黄昏感濃厚で、60年代ポップアートの最良具現化と言えるクタール撮影が勿体ない。[投票]
★4シックス・センス(1999/米)第六感を持つ少年の遭遇する幽霊の超常現象描写が相当に陳腐な表現に終始するのがどうにも甘いが、全篇を遍く横溢する哀感を帯びた寂寥が夫と妻の二者二様の孤独へと急転直下に連結するラスト。ここまで尾を引く余韻は滅多になく映画の相貌さえも変わるのだ。[投票]
★4ディープ・ブルー(1999/米)冒頭で一応の敬意を表した後、笑いに至る間際の寸止め的な地点まで極まった容赦無さの徹底ぶりで『JAWS』とは違う地平に立ち得ている。ゲスもゴアも臨界線上で高度なパランス感覚を見せ、キャリア停滞の狭間で一瞬ハーリンの達観を感じさせた復活作。[投票]
★4ラブゴーゴー(1997/台湾)暑苦しい連中のコテコテ話かと思いきや予想を裏切るスマートなポップ。人物が錯綜する多重構造は流行追随かと思わせるが本質は驚くほどに純なのだ。尚かつ全篇寸止め的な刹那感に支配されている。そして、泣き笑いが残す強烈なる余韻。[投票]
★3菊次郎の夏(1999/日)極私的であることに異論はないが、普遍のフィルターを濾過しようと皆苦労する。ナマに投げ出された感情を受け入れろと言う姿勢は甘え。しけた風景の中でしけた連中がしけた話を展開するが音楽だけがやたらオーバー。岸本加世子の役作りだけがプロっぽい。[投票]
★4ペイバック(1999/米)殺したいほど憎くったって最後には神の如き寛容さを見せる伝統ヒーローよ糞喰らえとばかりのギブソンの呵責も容赦もないキャラが一級の出来で、ヘヴィな撮影がハードボイルド世界を全うしている。『ポイント・ブランク』は見てないが、これはこれで傑作。[投票]
★5アイス・ストーム(1997/米)エゴヤン的退いたアプローチが転じて終盤のカサヴェテス的に肉を切る展開に迫るあたりで醍醐味は充足されるが、更にラストで反転されるうっちゃり展開には世界が変じて全てが許容可能となる。前作に続き連チャンされるアン・リーの珠玉のラスト。[投票]
★2エヴァの匂い(1962/英=仏)魔性の女というにはモローカルダンの衣装づくしでキザなだけでビルナ・リージの方が余程いいと思えてしまう。役者のカリスマを信頼し過ぎて心理の綾が蔑ろにされている。ロージーお得意の鏡テクも何かの意味を形成するわけでもなく虚ろだ。[投票]
★1英二(1999/日)TV「とんぼ」には垣間見えた寡黙な男の任侠美学の残照は映画前半ではまだしもあるかに見えた。しかし、終盤には驚天動地の次元に映画は突入する。それにしても凄い…凄すぎる。怒りを通り越し笑うしかないという境地に達せられる思いこみ野郎の大独演会。[投票]
★2共犯者(1999/日)題材と竹中主演でどうしたって石井隆映画の文脈延長上で見られる宿命に対して無自覚だと思う。エロティシズムを廃しバイオレンスに新境地を見出そうとしたが垢抜けしないこと甚だしい。唯一キョンキョンが勿体ないくらいの哀感を表出している。[投票]
★3影の軍隊(1969/仏)淡々と進む話の流れを断ち切ってでもいいから得意の陶酔型描写を見せて欲しかった。ムーディな叙情描写を旨とする人が見せた転向とも言える叙事的語り口を評価する向きがあったにせよ俺には平板としか感じられなかった。シニョレの圧巻の存在感は見物。[投票]