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けにろんさんのコメント: 投票数順

★3女神の見えざる手(2016/仏=米)脅しと買収という古式床しい手法しかフィーチャーされぬのではクソどもが世界の潮流を左右する矛盾に些かも迫れないし、肝であるフェミニストの大物を籠絡する経緯は蔑ろ。ジェシカの暗い相貌が支配するアリソンの喰えなさググの喰い易さが良い。[投票]
★4嘘を愛する女(2018/日)なんだかダルい中盤の捜索行を辛うじてまさみ鋼太郎の適度の連帯と 反目が牽引するのだが、終盤の帰結を見れば意味を為したのだと納得する。意外性の無い無難さはサイコパス全盛の作劇へのアンチテーゼだ。そして、炸裂する予想外の耳フェチズム。[投票]
★4ルージュの手紙(2016/仏)価値観反目の融解というテーマは今更だが助産師への限りない敬意とドヌーヴの巨躯の存在感が相俟って出涸らし感は相殺される。フロの疲弊も好ましい。佇む湖畔の視点がパンアップする衝撃はラストとシンクロ。稀に見るハードボイルドヒロインの降臨。[投票]
★4エルネスト(2017/日=キューバ)日系人のアイデンティティや革命家との歴史上のシンクロに意味は無いとばかりに只管に真面目に生き真摯に人を思い遣り挙句犬死にした若い命に寄せる共感。さすれば冒頭のゲバラ訪日は幾千万もの同魂に捧げる思いとなり映画を静謐に敷衍する。何の阿りもない。[投票]
★4伊藤くん A to E(2018/日)アラサー女の再生譚として身に纏った虚栄を脱ぎ捨てよという普遍メッセージが心に響くがカウンターパート伊藤くんの一筋縄でないキャラ付けはニヤけたイタい男→ヘタレ野郎→メフィストフェレスと変幻。2人の対峙の長回しの果ての岡田の異相の魔は戦慄。[投票]
★38年越しの花嫁(2017/日)涙腺が緩んだのは放逐した男が翌日も病室にやって来たときの薬師丸の演技。感情を抑えきれず嗚咽する母に胸が痛む。小骨が喉に引っ掛かったような帰結なのだが、実話ならしゃあないというヒネた思いは太鳳の満面の笑顔で済し崩しに納得させられる。[投票]
★4チキン(1965/仏)ありがち掌編だが少年可愛いやのベタ視線でなく一見したとこ好人物には見えぬ両親役2人が生温さを冷ます。少年、大丈夫かって思わせるあたりで予定調和を逸脱。でも2人は息子が可愛いくってしゃあないんですなあ。エッジの効いたクロケのモノクロが粋。[投票]
★3光(2017/日)3人の子供時代を描いた島の部分が不可思議なほどに手抜きだ。そのために彼らを呪縛するトラウマが生半可にしか伝わらない。というか珍紛漢紛。なのに、勿体ないくらいの力演を皆が競って大層な熱量だ。下手すりゃ見る者は抗っても強引さに蹂躙される。怪作。[投票]
★3オリエント急行殺人事件(2017/米)物語を端折りCGで全体を彩色する安直なブラナー演出だが、悦に入り演じる立役者ぶりに何を言っても始まらぬ。取敢えずデップの表出する根源悪とファイファーの捨て身の曝け出しは前作に拮抗。欠如するのはオリエンタリズムとロマンティシズム。[投票]
★1全員死刑(2017/日)クソ家族を描くに糞モラルをもってすればマイナス二乗でサバけた視界が広がりそうなものだが半端ない低脳感が化学反応を減殺しクソ溜めな荒野しか現れない。芯となるモチーフは家族の為の自己犠牲らしいがバタバタ人殺しつつ片手間感横溢。誠実じゃないのよ。[投票]
★3周遊する蒸気船(1935/米)甥っ子の彼女と嬉し恥ずかしな同船生活は亡妻の服を着せての漫ろ歩きでピークアウトする。それ以上やるとフォードじゃない蟠りを打ち消す男騒ぎもない。川を行く蒸気船のロマンティシズムは実景乖離なスクリーンプロセスで蔑ろ。蝋人形の末路は笑えたが。[投票]
★4ジュリーと恋と靴工場(2016/仏)映画の尺もあり岐路に立った彼女の決断は明快で早い。突っ慳貪だがエッチ障壁が低いのもおフランス。儘ならぬ就活で疲弊しパートから正社員へ渇望が十全に描かれてるのでラストが効く。一見緩〜いミュージカルに見えるがおばさんたちのダンススキルは堅牢だ。[投票]
★5KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016/米)既視感ある設定の寄せ集めを取り敢えず手法と舞台の新奇さで糊塗。そういう醒めた感情に風穴を開けるセロンの慈愛。俄かにローリングし始めた物語は顔無しシスターズ登場で佳境へ、そして失速。が、欠落した家族再生という強靭な思いは映画を支え続ける。[投票]
★3密偵(2016/韓国)腹探り合いの一夜を発端とする王道展開かと思えば、敵に与する男の心情の揺れはクローズアップされず済し崩しに状況に流されてゆく。強固なエモーション欠落下で感情の寄せ処がない。ただ、演出は随所でキレがある。特に冒頭の急襲と中盤の列車シークェンス。[投票]
★2コンクリート作業(1958/スイス)見たところ相当大規模なダム工事で映像のスペキュタリティを追及するに過不足ないのにチマチマ小屋内のコンクリ練り機械なぞに執着することでゴダールが見世物的ハッタリに無関心なのはわかる。こういう建機フェチなフェリーニの対極であることも。[投票]
★4ミックス。(2017/日)演出の迎合的マニュアル感は救い難いが古沢脚本の古を知り押し出す強度が恋愛映画としての芯を付与する一応。脇キャラの背景を溜めて吐く終盤の一気な作劇もベタだが買い。何よりガッキーの切なくも狂おしい貧乳が世界を統御。隠し玉蒼井も絶品。[投票]
★4霧の旗(1965/日)非道とも言えぬ滝沢への彼女の仕打ちに妥当を付与する論旨の捻じ曲げは当然無い。代わりにプロ意識に根差した男の推理が牽引する論理的中盤。そして偶発の事件を契機に叙述から舞台劇調に一転する語り口。2人きりの世界で怨念は一気に物語に包括される。[投票]
★3牢獄(1949/スウェーデン)3層の入れ子構造で2・3層目がシンクロする脚本の映画イズム。カメラワークや編集にも全き活動屋魂が漲る。だがペシミスティック&サディスティックなのは徹底し神の不在とリンクせぬので尚生々しい。その中スラプスティック8ミリの哀切なまでの可笑しさ。[投票]
★3男の子の名前はみんなパトリックっていうの(1957/仏)何と言うこともないスケコマシ野郎の掌話なのだが未だイジケてないゴダールは軽やかに撮っている。と言うかロメールに乗っかている。このあと『女は女である』で素直路線は頂点を迎え、その後2度とこういう世界には戻れなかった。そう思うと切ない。[投票]
★3オン・ザ・ミルキー・ロード(2016/セルビア=英=米)生きとし生ける生業と無常を炸裂させた動物大集合のエナジーは無機物に遡及し大時計をも狂わせる圧倒的カオスだがクストリッツァ様のご登場と共に霧消する。ロマンチック道行には愛の質量が哀しい位に不足なのだ。挙句に世捨て人のように悟られたってさ。[投票]