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jollyjokerさんのお気に入りコメント(5/65)

波止場(1954/米)★3 船と堤防の遠景。このエスタブリッシング・ショットはいい。ビルの屋上と鳩小屋、後景に港が見える公園や空き地の風景に人物が小さくとらえられるショットなんかには、ネオレアリズモのような突き放した感覚があり、画面に名作然とした風情を与えている。 [review] (ゑぎ)[投票(2)]
怪物(2023/日)★4 こうなると、中村獅童や学校のクラスメートたちの目には物事がどのような見え方をしていたのか、そこまでも思いを馳せたくなる。それくらい心をざわつかせるものが、自分にはあった。 [review] (緑雨)[投票(5)]
aftersun アフターサン(2022/英=米)★4 溶明する前に、デジタルビデオカメラの操作音が聞こえる。オープニングは、お父さん−ポール・メスカルを逆光気味(アンダー気味)で撮ったブレ映像。撮影しながらお父さんにインタビューするソフィ−フランキー・コリオ。Panasonic製のカメラだ。 [review] (ゑぎ)[投票(1)]
aftersun アフターサン(2022/英=米)★5 何ひとつ詳らかにされぬが11歳の見る世界は奥行きは浅く視界は狭い。父娘のバカンスツアーに差し込む陽光下の不協和音は歳を経た今鮮烈なイメージとして彼女を捕らえ続ける。何者にもなれず何者かを解放できない苦胆。その父の記憶を刻印しようとする試み。 (けにろん)[投票(3)]
aftersun アフターサン(2022/英=米)★4 20年前のビデオ映像を起点に蘇る11歳の記憶と思い至る30歳の感慨。その夏、祝福される娘の「11歳の誕生日」と、忘れられていたさらに20年前の父の「11歳の誕生日」。未来の歌を歌わない父と、終焉のダンスを踊らない娘。接点でありながらもすれ違う二人の思いと行動。 [review] (ぽんしゅう)[投票(3)]
怪物(2023/日)★3 明確ではないが、三部構成のように思える作りになっている。是枝裕和らしい暗転でパートを分ける。三部構成というのは、最初が、お母さん−安藤サクラ中心のパート。二部が担任の先生−永山瑛太中心のパート。 [review] (ゑぎ)[投票(6)]
怪物(2023/日)★3 人のために良かれと思いつつ、人は自分が見たいものを見たいように見てしまうという素直さの罠。プライド。愛情。嫉妬。防御。個人にしろ組織にしろ、人は守ろうとするものがあるから嘘をつくという優しさと紙一重の弱さ。登場人物ほぼ全員が誤解をし、嘘をついている。 [review] (ぽんしゅう)[投票(5)]
怪物(2023/日)★4 「怪物」とはいつだってその時の社会が生み出す異形のもの。「怪物もの」を描くことはそれが生まれたその社会を描くことである。で、やはり是枝作品は社会論となる。 [review] (おーい粗茶)[投票(5)]
ひいくんのあるく町(2017/日)★3 これはひいくんがヤベーやつではないことを同じ街で三十数年見てきた皆さんが寄せる尊き信用であって、全国各地には信用されず蔑まれ疑われ虐げられる、たくさんの気の毒なひいくんがいるのではないか。 (ペンクロフ)[投票(1)]
ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022/米)★3 やや異色の会話劇だが、最後のナレーションの一言には、衝撃に近い感慨を覚えた。 [review] (シーチキン)[投票(1)]
聖地には蜘蛛が巣を張る(2022/デンマーク=独=スウェーデン=仏)★3 絞殺とその死に顔の映画。絞殺される人は4人出て来る。3人は女性で1人は男性。いずれも、首を絞められる最中と死後の顔面がしっかりと映される。 [review] (ゑぎ)[投票(4)]
EO イーオー(2022/ポーランド=伊)★4 赤い光が明滅する。全編に亘って赤い光に覆われるシーンが頻出する。冒頭シーンは、ロバの運命の象徴のようでもある。赤い照明は不穏さの予感に思える。 [review] (ゑぎ)[投票(3)]
EO イーオー(2022/ポーランド=伊)★3 視覚に映る事象の主体と客体が判然としない。統一性を拒否しているような映像コラージュの連鎖は、美しさのなかに猛るようなパッションがたぎり総体として実を結ばないことを目指しているように不穏だ。これがスコリモフスキの自然界と人間界の境界認識なのだろう。 (ぽんしゅう)[投票(1)]
EO イーオー(2022/ポーランド=伊)★5 擬人化や愚かな人間の営為との対置といった常套ではなく、おとなしい生物としての無為なる存在EO。その徹底した物語の即物性の一方での暴力と叙情を漲らせた描写の連鎖。フーリガン乱入以降の件は佳境をアニメに託す安易へのスコリモフスキーの返歌だ。 (けにろん)[投票(3)]
マルサの女(1987/日)★4 憑き物が落ちたような安堵感、もしくは呆けたような虚脱感を漂わせる山崎努の背中に「呪い」としての「欲」の本質を見る。祓えぬままに膨らむ呪いと深化する手口のデフレスパイラル。憑かれていても苦しいが、「呪い」なしにも生きられない業を茶化しながらも突き放さない主題曲やブラックユーモアの温度感がいい。演出が多少安いのは気にならない。何よりこのにぎやかないかがわしさだ。 [review] (DSCH)[投票(7)]
早乙女家の娘たち(1962/日)★4 これは良い映画だ。久松静児作品をもっと見なくてはと思わせる。冒頭は、画面奥にガスタンクの見える風景。手前に原っぱと林。林の中を、左から右へトラック横移動する。ラストカットも同じ場所を反対の(右から左への)移動ショット、という円環処理。 [review] (ゑぎ)[投票(1)]
我が家の楽園(1938/米)★4 理想主義の陽気な自由賛歌に見えますが、作中でもライオネル・バリモアにイデオロギー原理主義をさらりと批判させているあたり、根底に流れるのはリバタリアニズムでしょう。するとあの一家の破天荒ぶりは自虐ジョーク。これは確信犯的プロパガンダ映画では。 [review] (ぽんしゅう)[投票(1)]
我が家の楽園(1938/米)★4 なんとこの80余年前の作品には、反グローバリズムのためのピースが並んでいる。 [review] (寒山拾得)[投票(3)]
聖地には蜘蛛が巣を張る(2022/デンマーク=独=スウェーデン=仏)★4 罪そのものよりそれを産み出し呑んで融解させるイスラム原理主義の価値観を撃つのが建前だとすれば、半素人な殺しの連鎖が到達する諧謔味が不如意に現れる。妻の帰宅や豊満女性の件は佳境。そのブラックな反転視線はあるべき顛末を嘲笑うかのように結実する。 (けにろん)[投票(3)]
アナザーラウンド(2020/デンマーク=スウェーデン=オランダ)★4 最後のマッツ・ミケルセンのダンス・シーンは見もの。そしてそこに凝縮されているように、本作は色々あっても、いや、あるからこそ、喜びも幸せもあるという、少しほろ苦い人生賛歌なのだろう。 [review] (シーチキン)[投票(2)]