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[コメント] 香港国際警察 NEW POLICE STORY(2004/香港=中国)

ジャッキーが香港に帰って自身が最高傑作と認める『香港国際警察』の続編を撮った!これだけでもうワクワクするなって方が無理だ。レビューは劇場で笑いが起きたシーンと、ラストシーンについてバス並に暴走気味のコメント。
ごう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ラスト前、レゴのブースで相手のカンフー使いの若者と対決する前にジャッキーは相手と銃の奪い合いをしながら、このままでは近くで怯えている子供達に被害が及ぶと思い「銃を捨てろ!また拳で勝負だ!」と言う。そしてそれを素直に受け入れる犯人の若造。そして二人の肉弾戦が 始まる…。

と、ここで劇場から複数の失笑的笑い。どうやら素直に銃を捨てた若者を見て「まージャッキー映画だもんな。カンフー入れたいんだね」的な強引な流れと判断をしたらしい。笑った奴等謝れ!今すぐジャッキーに謝れ!ていうかオレは本当に久しぶりに気分を害した。 危うく大声で説教したくなるほどに。

お前等今まで劇場で何見てきたんだと。動物園の妻夫木君かと。犯人の若造共は主犯以外甘ちゃんだって前フリがしつこくあったじゃないか!前のシーンでも「一般人も沢山いるぞ。それでも警官撃つのか?」と狼狽してたじゃないか!おまけにあの若者は過去に一度ジャッキーに勝ってるんだ。ジャッキーの提案を呑む事に何の違和感があるんだ?全然呑めるシチュエーションじゃないか。要はあれだろ。ジャッキーの映画なんてカンフーとアクションだけが見所だとそう 思ってるんだろ。まあ確かにそれは間違ってはいない。が決してそれだけじゃ無いんだよ!

ジャッキーの身体を張ったアクションを楽しみに見る、それはそれで構わないし、それでも見応えはあると思うがそれだけじゃ勿体無いよ。ちなみにこのシーンでジャッキーと格闘していた 若いあんちゃん(アンディ・オン)ってユエン・ウーピンの弟子なのね。道理でキれてると思った。でもそれに互角に渡り合うジャッキーはやはり尋常じゃない。

今回ジャッキーは驚くほど脇に徹しており、画面も近年の香港映画(『インファナル・アフェア』等)に見られる青を強めにした色で、昔のジャッキー映画を見ていたものにとっては戸惑いを感じさせるものがあるかもしれない。口の悪い人なら「今じゃ流石にジャッキー単体じゃ 興業的に辛いから人気若手を前に出して、自分は演技派への転身を図ろうとしたんだろ」位のことは言うかもしれないが、そんなことは決して無いと思う。

ジャッキーは敢えて若手との共演を望んだのだ。だってあれだけのアクションが出来るんだよ。演技にしたってアクションが神がかっていたから表に出ないだけで昔から上手かったよ。むしろ演技が上手いからアクションがあれだけ輝いていたんだよ。この作品をはじめて見た人が、過去のジャッキー映画にさかのぼると違和感は感じるかもしれないけれど。それでも彼の演技・アクションについては文句の付け所はないと思う。「これだけのことをしてきたから、こんな映画をまた世に送り出す事が出来たんだ」と思ってもらえるんじゃないだろうか。

〜ここからガンオタの暴走が始まりますが、言ってることはビタ一文間違ってない!〜

ラストシーン、ジャッキーは序盤に一度破れた銃組み立て競争に勝利する。これは最初と違ってパニクってないから勝てたということもあるのだろうけれど、注目すべきは銃の組み立て方(弾丸の詰め方)である。

そもそもあの勝負は、弾丸を撃てる状態にどちらが先に出来るか=先に相手を殺せるかという半端ないガチンコの勝負なのである。犯人たちはそれをゲームにしていた訳であるが、実際に弾丸を使っていた訳だから相手に銃を構えた状態で引き鉄を引けば相手は死ぬ事になる。

ここで、若造の方は最初も最後も弾丸をマガジンに詰めて組み立てていた。これは正しい。マガジンとは銃弾を詰めておく格納庫の部分。そこから薬室(チャンバー)と言われる部分に最初は弾を手動で1発送り込み、引き鉄を引けばその弾丸が発射される訳だ。したがって完成までの手順は

1・銃身部分をスプリングと共に本体上部に入れる。

2・弾丸をマガジンに1発詰める。

3・本体上部と本体下部を合体させて銃本体を完成させる。

4・マガジンを本体下部から銃に差し込む。

5・弾を本体内薬室に送り込み(映画でもよく見る本体上部をスライドさせるアレ)発射準備完了。

6・相手に向ける。

の6手順を踏むことになる。繰り返すがこの手順は全くもって正しい。若造の方は2回ともこの手順に忠実に、それもかなりの手馴れたスピードで刑事であるジャッキーよりも手早くこなしていた。ジャッキーも1回目は同様の手順を踏んで負けている。では何故2回目は勝てたのか?それはジャッキーがイリーガルというか実戦的というか、ちょっと違った方法を用いているからなのだ。実は2回目のジャッキーは組み立ての際、弾丸をマガジンに入れずに直接薬室にぶち込んでいるのである。

薬室とは銃身後部に位置しており、映画の中の拳銃は構造上分解すると薬室がまる見えになっている。従って組み立て最中にそこに弾丸を直接入れてしまえば、本体が組みあがった時点で弾丸は発射可能な状態になるわけである。つまり上記手順の2・4・5を省けるのだ。勿論手順2の代わりに「薬室に弾を入れる」という手順が増えるのだが、マガジンに弾を入れるのには若干の力と手間がかかる(マガジンには弾止めのかぎ状のものがついているのでそこに弾をはめこまねばならず、少々力が要る)のに対して薬室に弾を入れるのは文字通りそこに置けばいいだけなので時間としても断然後者の方が早い。だからジャッキーは勝利できたのである。

こんな作業をジャッキーが刑事であるとは言え日常的にしているとは到底思えない(弾丸1発早詰めなんてどう考えても現場では役に立たないしそんなシチュエーションあるはずがない)のだがそれでも普段銃に命を預け、だからこそ丁寧に分解整備及び銃の構造を把握していないと咄嗟に出来る筈のない方法であり、このシーンからでもジャッキーと若造の生きる世界のシビアさの違いが明確に見て取れるのだ。こんなシーンを大事な場面に持ってきている映画は、オレにとってはジャッキー映画でなくても★4はカタイ。このシーンだけみてもこの映画がただのドンパチ映画じゃないってのはわかるってもんだ。

それをジャッキーがやってるんだよ。★5以外の点数があるなら教えて欲しいくらいです。

(評価:★5)

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