★2 | 幕間(1924/仏) | 錚錚たる名前が連なるが所詮は内輪のお遊びでベクトルは外を向いていない。新しい玩具遊びに浮かれる前衛芸術家達のお気楽なお遊びに付き合うほど暇じゃない。クレールは何も提示してないし何も支配していない。船頭多くてとっ散らかった没テイクの集積。 | [投票] |
★3 | ウルガ(1991/仏) | 文明圏の視点での非文明圏賛歌的語りが既に胡散臭い…ことはミハルコフは承知の上だとしても、その異文化の邂逅はドラマトゥルギーを産み出すわけでもない。寧ろ、映画に描かれた以後の近代化の侵食がもたらしたものにこそ焦点があるはずだ。もどかしい。 | [投票] |
★1 | 激動の昭和史 軍閥(1970/日) | 「軍閥」と構えてみたものの大した力学的究明がある訳も無い。日中戦争から太平洋戦争まで総花的且つ駆け足で描こうとするから薄くなり、どこかで見たような配役、エピソードの羅列ばかり。尚且つ安易なニュースフィルムの使用や過去映画の使い廻しが多すぎ。 | [投票] |
★3 | ショーガール(1995/米) | それなりのバジェットであったろうにベガスエロショー世界を取り上げ品の欠片もなく描いているが品がないことに意識的でもないから物語・演技に諧謔を付与するような発想もない。バーホーベンはこの感性を普遍と信じてる。そういう意味での凄さはある。 | [投票] |
★1 | 極東黒社会(1993/日) | 香港映画ばりのごった煮な混沌を期待したがクソみたいな出来。脳内でっち上げのヤクザオリンピックは一応国旗の数を揃えてみたが、所詮一昔前の似非ギャング映画の愚昧な模倣。キャスティングも、一昔前のしなびた連中ばかりで、こんなんじゃ弾むわけがない。 | [投票] |
★4 | 哀しみのトリスターナ(1970/仏=伊=スペイン) | 2転3転する力関係の力学的帰結にブニュエルが興味ある訳なく因果応報の無限地獄の提示こそが旨なのだ。濡れた古都トレノの佇まいが叙情的で、ヒッチ垂涎のブロンド美女の「ああ…脚が…」といったサディスティックフェチはその背景でこそ際立つ。 | [投票] |
★3 | カットスロート・アイランド(1995/米) | 古き良き時代の海洋アドベンチャーを巨費で描くというのはいい。しかしシリアスでもコミカルでもない余りに中途半端な設定を火薬量で紛らわすかのような大味。悦に入って演じるジーナだけが喜んでいる感じで金持ち勘違い夫婦の道楽映画になってしまった。 | [投票] |
★2 | なんとなく、クリスタル(1981/日) | 浮気したけどバレなかったよーん的形骸化したものしか残っていないから耐え難い。時代を撃つなり身を委ねるなりをしなければ意味を成さない企画。アイデアも同時代感覚が欠如した松竹の老害体質の露呈。せめて東宝ならと思わせたが似たよなもんだったかもだ。 | [投票] |
★3 | アルジェの戦い(1965/伊=アルジェリア) | 散発する局地的テロが仏軍の本格介入により全面戦争に至る。カスバ市街が爆破されヘリが空中を舞い数千人規模のモブシーンが展開されるのは凄いとしてもドラマチックじゃないのでしんどい。ドキュメントフィルムの壮大な再現であり、それ以上のものではない。 | [投票] |
★4 | わらの犬(1971/米) | 主人公の衝動が暴発へ向かうトリガーは多分に言い訳がましいが、前段の妻を巡る執拗な確執があって違和感を減殺してる。ショットガンでの殺戮からラストまで正にペキンパーの独壇場だが、前半のフラッシュバック多用はくどい。英片田舎の傑出したムード。 | [投票] |
★5 | ゴッドファーザー(1972/米) | マフィアによる殺戮連鎖もファミリー結束への拘泥もシチリアでの刹那な愛もそのパッションはギリシャ悲劇めいた悲愴とロジックが上塗りする。しかし、その厳格な統御から突出するブランド・ウィリス・ロータの個人スキル。映画史上の奇跡的邂逅。 | [投票] |
★4 | 裸足の伯爵夫人(1954/米) | 成り上がって行くガードナーを常に醒めた視線で眺めるボギーがプロらしい冷徹さを演じて正にタイプキャストだが、つるむオブライエンともども根底には慈愛がある。救いがない顛末を語るに絶妙な距離と語り口。『イヴ』と好対を成す業界秘話講談。 | [投票] |
★3 | 咬みつきたい(1991/日) | 半チクな題材で、主役の3人にキレが無く、ホラーとしてもコメディとしても見所は無いが、家族を残して死んだ男の悲哀のようなものがそこはかとなく出ていて捨て難い。全ては『社葬』に続いて緒形と組んだ吉田日出子に負う。2人の相性が良いのだ。 | [投票] |
★3 | バーティカル・リミット(2000/米) | 『クリフハンガー』から数年で山岳アクションでのCG使いは凄まじく進化した。特に高低差を意識した演出にキャンベルは秀でており弩級の見せ場の連続。しかし、こいつが悪者なんだろうと思ってたら案の定そうなっちまうあたり展開はひねりもくそもない。 | [投票] |
★4 | 逃亡地帯(1966/米) | 前半のテネシー・ウィリアムス的な停滞し鬱屈した南部の退廃描写が些か古くかったるいのだが、アメリカ映画固有ジャンルである群集心理ものをヘルマンがこれでもかと煽る暴動シークェンスの鮮やかさ。良識代表のブランドの内在する剣呑も良い。 | [投票] |
★3 | ギフト(2000/米) | 『シンプル・プラン』にも通底する弱者への慈しみが基調にあり、ケイトの静謐なる佇まいと相まって哀しみに溢れた情感が全篇を覆う。それだけに、オカルティズムはドラマの根幹だとしても、そこに収斂させる作劇では底浅感を免れないしバランスを欠く。 | [投票] |
★2 | シャンハイ・ヌーン(2000/米) | 取り敢えずは孤軍奮闘で敵地に乗り込んだ『バトルクリーク』の闘いから20年。牙を抜かれ飼いならされた感が蔓延。撮影や装置はレベルアップしたがストーリーは緩みアクションはロクな見せ場を失った。プライドを棄て媚びて歩み寄る何かがそこにはあったか? | [投票] |
★3 | マーズ・アタック!(1996/米) | レトロチープなコンセプトはソリッドと対比されてこそ際立つのに、おバカ騒ぎで粉飾して意匠は後退した。バートンはミニマム世界の住人なのだろう。キューブリック並みの巨視的・俯瞰的な破壊のカタルシスは手に負えず矮小化された世界観が横溢する。 | [投票] |
★3 | スルー・ザ・ワイヤー(1987/フィンランド) | 気の利いたミュージック・クリップではあるが、逃亡する脱獄囚ってのが如何にもな設定で無常の中に有情を見出すカウリスマキの愛すべき資質が発揮されたとは言い難いだろう。ズレた諧謔は未だ見出せず流された感が払拭できず有体に言えば何の変哲もない。 | [投票] |
★3 | 楢山節考(1958/日) | 遣る瀬無い悲劇味を中和しようとして木下恵介が用いた底浅な様式性がどうにも中途半端で柄じゃない感が横溢している。何だか民芸の舞台でも見てるようで興醒めだ。平易なリアリズムで押した方が底知れぬ悲劇性はより屹立し絹代の決意も報われたろう。 | [投票] |