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けにろんさんのコメント: 投票数順

★3ザ・プレイヤー(1992/米)技法への拘泥や豪華ゲストが喧伝され、ミステリーとしての本質が呼び込むダイナミズムが消失。コーエンポランスキー向きの題材をアルトマンが悪方向に捻じ曲げてしまった。長廻しは弛緩し、カメオは所詮カメオで得意の群像劇の本質から遠い。[投票]
★3死刑台のエレベーター(1957/仏)撮影と音楽の先鋭に加え時間芸術たる映画の本質にも肉薄するその天才が或る意味完璧過ぎて寧ろ嫌らしい。ロネモローの能面演技の深層に虚飾の下のパッションが焔の如く垣間見える瞬間は終ぞ無い。無軌道カップルにも結界を解く役は振られないのだ。[投票]
★2オレンジロード急行(1978/日)モラトリアムが意味を失った時代にファッションとしてそれを仮装するダメさを。或いは苛烈な旅路の果てに迎えた老境をコンテンポラリーな可愛い年寄り像へと封殺する愚を。大森は無邪気に過ぎたし平板な画面は破綻の欠片もなく総じて温いことこの上ない。[投票]
★3コミック雑誌なんかいらない!(1985/日)裕也自身のアイデアは最高だが、それでも神代若松レベルの剛腕でないと当時の彼を使いこなせなかった。演出がお追従の域を出ず殆どの挿話が本人を出しただけに安住しており批評も無く皮肉さえも感じられない。たけしのシーンだけが突出。[投票]
★3ゲット・ショーティ(1995/米)筋を本気で語る気が無いレナードのグダグダ展開をシークェンスは演出できてもプロットを再構築できないソネンフェルドが実直に演出しまんまグダグダ。キャスティングが良くて飽きないが、展開がどっちサイドに流れるのか終始読めず身が入る隙がない。[投票]
★3ロング・グッドバイ(1973/米)チャンドラーアルトマンの喰い合わせが問題。雰囲気身上の足し算の結果ミステリーとしてのロジックは消失。何がどうなってるのかの人間関係がさっぱり。撮影がズームと移動を使いまくりで微妙なニュアンスを形成し棄て難い茫洋感があるにはある。[投票]
★4エクスカリバー(1981/米)紙芝居で講談を語られるが如く流れていく伝説総集編。エモーションは必然的に薄味になるのだが、カッティングがもたらす速度感が飽きさせない。夜間の馬の吐息の白さや陽光下の甲冑武具のメタリックな光沢。そういうビジュアル面での格好良さが満載している。[投票]
★5鏡(1975/露)怒涛のように錯綜する個人史と国家・世界史の断片だが内省的な静謐と超現実の戦慄が交錯。母の洗髪場面の幻想味も相当なのだが何気ない草原が風でそよぐだけで内包した何かが醸し出される。タルコフスキーの到達点。以降の3作はこのイメージの使い廻し。[投票]
★3プロゴルファー織部金次郎(1993/日)好きこそものの上手なれの鉄矢メソッドが基底で好悪2極分化を誘発するのだが、そのエネルギーは尊重されてもいい。微温的な出演者たちによって演じられる微温的なストーリー。そういう意味で松竹プログラムピクチャーの正統的後継者だったかも知れない。[投票]
★4レクイエム・フォー・ドリーム(2000/米)夾雑物ゼロの堕ちてく話を批評性ゼロで語る絶対性。ビデオクリップ的に注入シーンを記号化したアイデアの小賢しさも幾つかの戦慄的な冴えが相殺。終盤でバーステインが屋外に出て以降はオーソドックスな4エピソードのカットバックが音楽効果も良く劇的。[投票]
★3ペーパー・ムーン(1973/米)グッドオールドデイズ的話芸がシネフィル的に嫌らしくも巧過ぎて見とれるのだが、如何にもな大人こどものテイタムには今いち馴染めない。コヴァックスのモノクロ撮影が時に水墨画のように素晴らしく、フォードなアングルで撮られた空なんて粋。[投票]
★4銀馬将軍は来なかった(1991/韓国)自分と子供達が生きて行く為にゃあ、どう言われようがこうするしかない…っつうボーダーを越える女の開き直りの図太さが素晴らしく今村的。余りにストレートな表現に序盤は臭みを感じたが中盤以降はずるずる引き込まれた。主演のイ・ヘースクが良い。[投票]
★5ベイブ(1995/豪)豚もさることながら犬・家鴨・羊など全て良い。アニメで描かれても今更な擬人化動物たちが語り合う様は、程好き抑制が効き最高ランクのファルスとして澱むところ無い。屠蓄され屠蓄する両者の共棲世界は際どく偽善を廃されミラー的ニヒリズムが効いてる。[投票]
★4女優霊(1996/日)すべてに於いて古式床しいオーソドックス風味が貫徹されているのが大器の片鱗を伺わせた。凄まじい悪意を持った得体の知れない何かが映るというモチーフは、『リング』にてバージョンアップし延伸される。タイトルバックにあった俯瞰ショットが良い感じだ。[投票]
★1ロス市警特捜刑事 惨劇のX’masイヴ(1987/米)鮮烈なデビューを果たした男が全然鮮烈じゃなくなり、後に輝く女は一向に光らず、七光りの娘は何がしたくて監督にまでしゃしゃりでたのやら全くわからない。素晴らしいまでのクスブり集合体だが、本人たちに自覚がなく自虐の欠片も感じられぬでは救われない。[投票]
★3エアフォース・ワン(1997/米)闘う大統領というアイドル願望は不倫クリントンを退け駄犬ブッシュを登場させる素地になったにせよ、ピ−クアウト直後の主役2人の熟成加減とペーターゼンの大味ばかりとも言えぬ安定が使い古しのプロットの再生に成功しハリウッドの底力を堪能させる。[投票]
★2ホワット・ライズ・ビニース(2000/米)最後の最後まで2兎を追う展開でどっちつかずなこと甚だしく全くもってすっきりしない中途半端さ。残念ながらゼメキスは既存話法を使いまわす特上の料理人かもしれぬが、新たな仕組みを見いだせる才は無いのだ。この破綻した物語にはそれが要件だった。[投票]
★2コン・エアー(1997/米)戦略的采配がミエミエ過ぎる上に手垢感も半端ないという代物である。トレースは上手でも創造力皆無な面子が揃い踏み。この時代のニコラス・ケイジ主演アクションでロクなものは無い。『ザ・ロック』と『フェイス/オフ』を合わせ白痴的大作3部作を形成。[投票]
★20課の女 赤い手錠(1974/日)戦略的にエクスプロイテーションなわけでなく根っから品性が腐った感があるのは素晴らしいとも言えるのだが、所詮は野田幸男に気の利いた演出を望むべくもなく、その天然ぶりにシラけた笑いさえも消え入る。そういう意味では一種の極北とも言うべき出来。[投票]
★2幕間(1924/仏)錚錚たる名前が連なるが所詮は内輪のお遊びでベクトルは外を向いていない。新しい玩具遊びに浮かれる前衛芸術家達のお気楽なお遊びに付き合うほど暇じゃない。クレールは何も提示してないし何も支配していない。船頭多くてとっ散らかった没テイクの集積。[投票]