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けにろんさんのコメント: 投票数順

★2エレクトラ(1962/ギリシャ)荒涼そのものの風景の中で展開する本家本流ギリシャ悲劇はゴテゴテと修飾された現代演劇を太古の起源に遡るプリミティヴさで、それだけに、物語のパッションを共有できないならば只管に苦役とも思える忍従の時間を強いられる。屋外演劇めいたそれは正直退屈。[投票]
★3破戒(1962/日)冒頭の屠殺場面で感じたの才走り感が何となく邪魔。物語の本質を外しているわけではないが、微妙に根幹に訴求し切れてこない。ひとつの題材として完璧に料理しましただけでは喰い足りない。端正なモノクロの粋とも言える宮川撮影も同根に思える。[投票]
★4田園に死す(1974/日)故郷を棄て母を棄てた思いが、自責や懐旧のセンチメンタリズムではなく分析的且つ冷徹な視線で語られる。一方、イメージは超絶に土着的で猥雑であるが又過剰に絢爛で豊穣なのだ。そのアンビバレンツを逆しまに嘲笑するJ・A・シーザーの音楽も肝。[投票]
★5タクシードライバー(1976/米)深夜の妄想を彩る増感光量の粗粒子で映されるポン引き・少女娼婦・タクシー仲間・買春宿の親爺ら住人たちが都会の孤独地獄を弥増させる。バロックなハーマンの完璧なフィットを得てスコセッシヒッチ趣味を隠し味に深層で蠢く胎動を叩きつける。[投票]
★4ワイルドバンチ(1969/米)砂塵と血糊と汗と唾液と酒と精液にまみれた西部にモンタージュされた高速度撮影による野郎どもの連帯の機微と愛惜。静と動を頻繁に往還する構成は螺旋状に濃度を高め破壊的クライマックスに至る。時代に置き去りにされた物語に役者陣容も高度に適格だった。[投票]
★3俺たちに明日はない(1967/米)南部の倦怠とドン詰まり感。行き場のない連中が吹き溜まりに寄せ集められたワイルドバンチの痛々しいカラ騒ぎは祝祭的に描かれる余り胸に迫らない。終盤の非情への一気の転調が揺らめき交錯する視線の刹那に結実する。そこだけは確かに永久保存の価値がある。[投票]
★5フェリーニのアマルコルド(1974/仏=伊)朝靄の中の巨船も雪の中の孔雀も木の上の叔父貴もフェリーニ的なはったりではあるのだが、挑発は影を潜め郷愁に塗り込められる。共同脚本に内実にまだしも重きを置くグエッラが参加したのが大きい。集大成とも言えるし転換点とも言える最後の傑作。[投票]