寒山拾得さんのコメント: 投票数順
泣き濡れた春の女よ(1933/日) | 清水宏初のトーキーで、特徴的なあの、一聴素人臭い宙を飛び交うような会話がすでに展開されいる。この調子は『有りがたうさん』他で拡大され、オヅに多大な影響を与えることになるだろう。 [review] | [投票] | |
櫛(1991/英) | 黄ばんでひび割れ腐りかけたキューピー。ベケット風の労苦。胃もたれを誘う前衛音楽が格好いい。 [review] | [投票] | |
狂った夜(1959/伊) | 原題La Notte Bravaは「良い(ブラヴォーな)夜」でいいのだろうか、すごいイロニーだ。邦題はセンスがない。 [review] | [投票] | |
すみだ川(1942/日) | 伝説の井上金太郎作品、残念ながら見処は俳優単位に留まる。川崎弘子の凛とした造形が美しく、西村青児との対決が見せる。上原謙はやたら篠田三郎似。 [review] | [投票] | |
電光空手打ち(1956/日) | 優作そっくりの健さんは、本作がヒットしていたらブルース・リーになっていたのかも知れず。美点は占領中の沖縄に想いを馳せるセット。 [review] | [投票] | |
金環蝕(1934/日) | 五角六角関係と偶然の再会からなる久米正雄の「通俗」メロドラマで、清水の若干の映像のお遊び含め、後代がパロディにしたがるサイレントのロマンスの典型の趣。川崎弘子の眉毛がとても印象に残る。 [review] | [投票] | |
男の償い(前編・後編)(1937/日) | 吉屋信子怒涛のメロドラマ。この遺産の再生産で昼メロは何十年と生き長らえたが、やはりメロドラマは旧民法下の家制度でこそ殺伐感がリアル。総集編しか現存しない『愛染かつら』より松竹大船の実力をよりよく伝えているだろう。 [review] | [投票] | |
かくて神風は吹く(1944/日) | 史上最低のトンデモ映画。ネトウヨ連中にもさすがに評判悪く、カミカゼ吹かないと敗戦という論理が受けつけないようだが、皇国史観とは幕末の朱子学以来カミカゼと共にあるのだから仕方がないのではないだろうか。嵐寛寿郎の特攻自死が最悪。 [review] | [投票] | |
民衆の敵(1946/日) | 裏『一番美しく』。終戦直後の反戦映画は軍よりも財閥への批判が多い。この傾向はすぐ消えてなくなり軍批判ばかりになるのだが、これこそがGHQの差し金ではなかったのだろうか。 [review] | [投票] | |
踏みはずした春(1958/日) | 保護司を描いて寺田信義と左幸子は真面目で、清順はネタ扱いだっただろう。清順は恋愛を描いているが、左は保護司活動を讃えている。そういうすれ違いが見えてしまう処がある。 [review] | [投票] | |
最高殊勲夫人(1959/日) | 白坂の皮肉とはいつも通り反りが合わない。個人的な見処は美術とロケで、聖橋の下で市電と丸の内線が交差するなんて画はとてもいい。 [review] | [投票] | |
くたばれ愚連隊(1960/日) | 極東観光の「淡路島を東洋のモナコに」はカジノそのものだが、和田浩次のホテルも同じ穴の貉ではないのだろうか。細川ちか子出ずっぱりの活躍で後期の代表作だろう。 [review] | [投票] | |
赤い蕾と白い花(1962/日) | 恋愛に関する饒舌とおせっかいから成る石坂洋次郎の特殊世界。そこでは驚くべきことに浜田光夫には性欲というものがないのだ。 [review] | [投票] | |
いれずみ突撃隊(1964/日) | 鷹立『従軍慰安婦』の前哨戦。三原葉子の「戦友」が泣かせる。こんなにいい歌だとは知らなかった。この歌を初めて聴いたように感じた。 [review] | [投票] | |
悪太郎伝 悪い星の下でも(1965/日) | 和泉雅子と野川由美子で半分ずつという贅沢。話も色々突っ込んだもんだ。牛乳屋の顧客獲得合戦も面白く、詳述してほしかった。 [review] | [投票] | |
四畳半襖の裏張り(1973/日) | 後は何してもいいんだろと万歳事件まで語る神代に好感度大。このメディア利用はジョン・レノンと同時代のスタンスだ。 [review] | [投票] | |
告訴せず(1975/日) | 太占で小豆相場でモーテル買って左団扇という高度経済成長のコバン鮫商法の疑似体験 [review] | [投票] | |
鬼龍院花子の生涯(1981/日) | 梶芽衣子が増村監督、若山主演で東映に持ち込んで日下部五朗に盗まれた企画。あれこれ不足感漂うが仙道敦子が可愛いから全部許される。 [review] | [投票] | |
軽井沢夫人(1982/日) | 室外ショットが小沼らしく、鮮やかな緑と眩暈の表現に持ち味が出ている。高田美和は『少女地獄』風に奇怪。ガス人間土屋はもっと活躍してほしかった。 [review] | [投票] | |
曖・昧・Me(1990/日) | 処女が重荷な女子高生という主題は当時流行ったものだ。本作はラストだけがいいという珍しい映画。要はホンがよくて演出が駄目なんだろう。 [review] | [投票] |