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[コメント] 狂った夜(1959/伊)

原題La Notte Bravaは「良い(ブラヴォーな)夜」でいいのだろうか、すごいイロニーだ。邦題はセンスがない。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







特段の事件もない、若者の風俗を綴ったアンチロマン風の作品。ブルジョア家庭潜入などの冒険は『カビリアの夜』(57)など想起されるが、あのような抑揚ある物語は展開されない。これを取り除くのが主張なんだろう。ローラン・テルズィエフ(『銀河』の兄ちゃんだ)があぶく銭使いはたしてきっちり終わる一夜。ラストショットがOPに戻る構成は永遠の反復を想わせる。

ローマの風景が印象に残る。中心部はあまり撮られないが、周辺部(「ローマから20キロ」とも語られる)の田舎の光景は、東京と同じくもう今では失われたものなんだろう。銃の取引相手が住んでいる、舗装が途中で途切れるバラックのある荒地。巨大な散水機能のある畑。とりわけ荒地の砂山のうえで少年たちが軍用機の折れた翼を運ぶ件が印象的。金属屑売買はいつの世も儲かるものだ。遠景に立ちあがった翼が異様にうごめくショットに視覚的な異物感があった。

(評価:★3)

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