煽尼采さんのコメント: 点数順
ザ・ビーチ(2000/米) | 海の香りと、マッキン・トッシュの匂いのする映画。 [review] | [投票(2)] | |
イノセンス(2004/日) | 人形と、犬。それは男が女性に求める幻想の、両極の謂いである。(前作『攻殻』のネタバレ含む→) [review] | [投票(2)] | |
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995/日) | 本作に至って、押井流の身体=都市論は、大きく「身体」の方へシフトする。 [review] | [投票(2)] | |
機動警察パトレイバー 劇場版(1989/日) | 恰も、既に街が水没した後の、虚ろな海に浮かぶかのような、方舟。(『攻殻』にも少し言及→) [review] | [投票(2)] | |
モダン・タイムス(1936/米) | この作品で描かれている状況は、ワーキング・プア時代のこの日本の現実でもある。チャップリンを巻き込んでいくあの巨大な歯車は、様々な事柄を内包したメタファーに思える。 [review] | [投票(2)] | |
生きない(1998/日) | 礼儀正しさの裏に暴力的な一途さを秘め隠したダンカンの不気味な存在感が、作品全体のトーンを決定づける。そんな彼が、大河内奈々子的陽性と徐々に対決を深めていくドラマ性。最後の落ちも僕は、些かの皮肉も込めずに肯定する。 [review] | [投票(1)] | |
お早よう(1959/日) | 「大人だって、余計なことを言ってるじゃないか」に続く台詞が殆ど小津映画への批判に聞こえて驚く(笑)。やんわりと自己弁護する場面も挿まれはするが、「テレビ」が象徴する新時代への推移を淡々と捉える脱構築的作品。おならの音にも諸行無常の響きあり。 [review] | [投票(1)] | |
サマーウォーズ(2009/日) | 都市が、町が機能停止状態となり混迷を深めるカタストロフと奇妙に同居する、それまでの日常と地続きの平穏さ。この描写は『機動警察パトレイバー2』に次ぐインパクト。村上隆のアート作品のようなサイバーワールドでの物量で押すスペクタクルも快感。 [review] | [投票(1)] | |
クローンは故郷をめざす(2008/日) | あぁ『2001年宇宙の旅』だ『惑星ソラリス』だと連想させる面は確かにあり、特に生と死の暗喩としての「水」、霧に霞む広原と、ポツンと立つ樹はタルコフスキー。「宇宙」はSFというよりスピリチュアルな装置として機能。 [review] | [投票(1)] | |
午後の遺言状(1995/日) | チャーミングな老人たちの、人生の穏やかな秋日和の中で展開する、予測不能な出来事の連続で綴られる前半こそが素晴らしい。だが、人生の先に待つ道筋をただなぞるような虚しさの漂う後半もまた、作品にとって欠かせない部分ではあったのだろう。 [review] | [投票(1)] | |
フィラデルフィア(1993/米) | 法廷闘争の映画という以上にこれは、法廷劇という体裁を通じての「対面」の映画。 [review] | [投票(1)] | |
アカルイミライ(2002/日) | 「明るい未来」という言葉の意味性を剥ぎ取った空疎な明瞭さとしての「アカルイミライ」。無意味に光り輝くことと、確かな未来としての死。 [review] | [投票(1)] | |
ラスト・ボーイスカウト(1991/米) | 火薬と拳でスパイスを効かせた会話劇。映画ネタも含む台詞の応酬が、全篇通して実に愉しい。台詞の大半に、怒り、嫌悪、軽蔑、といった感情が多少とも含まれているのもまたスパイスに。 [review] | [投票(1)] | |
赤い風船(1956/仏) | ブルーがかった町の風景に、風船の赤が映える。少年にとっての特別さが、視覚的に納得させられる。宙を気ままに散歩しているふうな風船の浮遊による空間性が面白い。 [review] | [投票(1)] | |
惑星ソラリス(1972/露) | ワンショットの重みとしての、人間と事物と大地の有する「存在」という重み、時間の重み。追憶の重み。物質と記憶。 [review] | [投票(1)] | |
マーニー(1964/米) | 脆い心を自ら必死で支えるヒロインをティッピ・ヘドレンが好演。ヒッチ作品にしては、全篇を通じて一個の女性の生を描いている点が新鮮。かつヒッチの簡潔で知性的な演出の枠に収められた完成度。謎の解明よりも、そこに至る過程を味わう作品。 [review] | [投票(1)] | |
砂の上の植物群(1964/日) | 不毛と空虚さの上の、儚い幻想のエロス。女の肉体は、極端なクローズアップによって、フェティシズムとはむしろ対照的な、生身の肉体が抽象化されることによるエロスが醸し出される。 [review] | [投票(1)] | |
スイートリトルライズ(2009/日) | 本来は江國香織の小説内でのみ不自然さを免れ得る台詞も、中谷美紀という稀有の存在によって、確かな身体性が与えられる。「死」のイメージの甘みや、夫婦の、互いを裏切る行為が却って、想いの重ね合いとも感じられる編集など、繊細な作品。 [review] | [投票(1)] | |
父親たちの星条旗(2006/米) | 戦場の閃光と、帰国した「英雄」に向けられた光。戦場が陰惨であればあるほど、その光景を見ぬ人々の様は、悲愴な戦場への陵辱という意味で、なおさら残酷にさえ思える。一枚の写真という、栄光と恥辱。 [review] | [投票(1)] | |
純喫茶磯辺(2008/日) | 台詞に頻出する「アレ」のわざとらしさが少し鼻につくが、この語にも漂う日常的な曖昧さ・微妙な齟齬が、全篇をとぼけたユーモアで包むのみならず、人生の綾まで描いて巧み。 [review] | [投票(1)] |