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煽尼采さんのコメント: 点数順

★3地球が静止する日(2008/米)人間的な幸不幸を超越した存在によって与えられる運命。霧と光に漂白された空間へ歩み入る人間。同監督の『エミリー・ローズ』と通底する作品。だが序盤の形而上的なスペクタクル性にひき込まれかけた頃に登場した‘奴’の造形の、無言のバカ映画宣言。 [review][投票(7)]
★3パラサイト 半地下の家族(2019/韓国)パラサイトする過程が流麗とも呼べるほどで楽しめるのだが、それを可能にする半地下一家の連携の見事さは、合理性に徹しており、全篇通して、どこか疑似家族的に見えるのは意図的なのか何なのか。そして「計画」の後は失速。 [review][投票(6)]
★3カメラを止めるな!(2017/日)この作品、絶対に1mmも内容を漏らしてはならないという強烈なコードがかかっているようで、忖度してコメント欄では何も言いません(笑)。ただ、そんな悪い作品とは言わないけれど、これが社会現象化したという現実が憂鬱。なぜならこれは、 [review][投票(6)]
★3ディストラクション・ベイビーズ(2016/日)獲物を物色しながら徘徊を続け、いったん殴り合ったら勝つまで執拗に挑み続ける柳楽優弥は、だが、一方的な狩猟者ではない。カメラは、返り討ちに遭った彼の、血塗れの顔に浮かぶ充実感を捉える。 [review][投票(6)]
★3冷たい雨に撃て、約束の銃弾を(2009/香港=仏)実に明快な作品。顔を確認するという行為で繋がれる絆と記憶。顔を見合って食卓を囲むこと。この二つの反復が情動をかき立てる。 [review][投票(6)]
★3砂の器(1974/日)夏の暑さにうんざり顔ながらも丹波哲郎の旅はどこか愉しげにも見え、俳句を詠んだり、ぶらり旅気分な情緒が地味に面白い。だが終盤に至って、丹波のこの悠々とした旅情緒は致命的な演出ミスだったと思い知る。 [review][投票(6)]
★3ザ・フライ(1986/米)物質転送と、異生物との融合。「距離」の超克がもたらす悲喜劇。 [review][投票(6)]
★3シェーン(1953/米)昼は乳白色がかったパステル調の色彩。夜はモノクロ映画かと思えるほどに抑制された色調。統一性のある画面は美しい反面、やや単調。少年は「純朴さ」を示す記号のようにしか思えず、あまり情動をかき立てられる映画ではない。だが、意外な厳しさの漂う作風。 [review][投票(6)]
★3パンズ・ラビリンス(2006/メキシコ=スペイン)感動的なのは、少女の空想とも、実在の地下世界ともつかぬ異界が、単に過酷な現実からの逃避先として描かれてはおらず、むしろ現実社会に於いては「子供」は免除されている闘いを、異界に於いては少女自らが主体となって行なっているところにある。 [review][投票(6)]
★3しあわせのかおり 幸福的馨香(2008/日)この平凡さこそ愛すべきもの。貴子の台詞、「ワンさんの味は、飽きがこないのよ」の通り、この映画も上品、丁寧、奇を衒わない、万人向けのもの。地味で手堅い職人技が好ましい。だが調理シーンは、意外にも映画的なスペクタクル。 [review][投票(6)]
★3そして父になる(2013/日)是枝裕和が『奇跡』撮影時、一ヵ月半ほど家を空けたら娘と距離ができ、仕事に出るとき「また来てね」と言われた体験から生まれた本作。実は「取り替え子」は主題ではない。だが真の主題「時間」は、仕事=稼ぎ、格差問題へと奇妙にずらされる。 [review][投票(5)]
★3ハンコック(2008/米)英和辞典によると「John Hancock」は、アメリカ独立宣言に最初に署名した人物であり、その名は「自筆の署名」の代名詞となったらしい。つまりこれはアメリカという国家の物語であり、匿名のアメリカ人の物語でもある訳だ。 [review][投票(5)]
★3スペースバンパイア(1985/英)これはSF的要素を利用したダーク・ファンタジーなのだから、その悪夢的な造形美に魅せられるままに、科学性皆無の不条理なプロットへの無粋な文句は控えたい。だが恐怖物としては、マチルダ・メイの乳が映るたびに緊張感が弛むのが悩ましい。 [review][投票(5)]
★3天井桟敷の人々(1945/仏)冒頭の幕開きで、街頭劇の観衆の後ろ姿から始まるこの映画、劇場の内と外を経回りつつの幻想とリアリズムの融合ぶりには魅せられるが、詩の一節か箴言か、と思える台詞が優雅に舞い踊る演劇調の完成された美しさが「映画」を抑圧している。 [review][投票(5)]
★3ゆれる(2006/日)脚本や編集は細部に至るまで「巧いな」と感じた。出演者の一挙手一投足に「熱演だな」と感じた。つまり、全てが作為的に思えた。この映画に「リアル」な人間が描かれていたなどとは思えない。 [review][投票(5)]
★3アイ・アム・レジェンド(2007/米)無人島的状況に陥った男の、ナルシシズム的倒錯を描いた映画、という角度でも観られる。有るべき心理描写が無く、意味不明に見える言動が有る点は、この角度から見れば一応は納得の範囲内、かなと。 [review][投票(5)]
★3生きる(1952/日)まるで絶望の暗い沼から顔を覗かせる巨大魚のような志村の眼差し。死の予兆に喉を絞められているような声が、聞いているだけでしんどい…。名作と言えば名作だけど、違和感を覚えた点も。 [review][投票(5)]
★317歳のカルテ(1999/米)正常/異常の境界線と、手の暗喩。 [review][投票(5)]
★3未知との遭遇(1977/米)宇宙戦争』と比較すると見えてくる、未だ「青年」であったスピルバーグの、未だ無垢な、未知への憧憬。 [review][投票(5)]
★3ジョーカー(2019/米)白塗りしてもアングラ演劇の役者にしか見えない顔面のホアキン・フェニックスが、人々に笑いと幸せを届けるピエロを夢見る、という無理が作品の駆動力。自身が幸せと無縁な彼の痙攣的な笑いは、人々の怒りや憎悪としか合致し得ない。 [review][投票(4)]