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けにろんさんのコメント: 投票数順

★1英二(1999/日)TV「とんぼ」には垣間見えた寡黙な男の任侠美学の残照は映画前半ではまだしもあるかに見えた。しかし、終盤には驚天動地の次元に映画は突入する。それにしても凄い…凄すぎる。怒りを通り越し笑うしかないという境地に達せられる思いこみ野郎の大独演会。[投票]
★2共犯者(1999/日)題材と竹中主演でどうしたって石井隆映画の文脈延長上で見られる宿命に対して無自覚だと思う。エロティシズムを廃しバイオレンスに新境地を見出そうとしたが垢抜けしないこと甚だしい。唯一キョンキョンが勿体ないくらいの哀感を表出している。[投票]
★3影の軍隊(1969/仏)淡々と進む話の流れを断ち切ってでもいいから得意の陶酔型描写を見せて欲しかった。ムーディな叙情描写を旨とする人が見せた転向とも言える叙事的語り口を評価する向きがあったにせよ俺には平板としか感じられなかった。シニョレの圧巻の存在感は見物。[投票]
★4SF サムライ・フィクション(1998/日)媚びてるようでそういう感じがしないのは気取りの無い真摯な姿勢だと思うし、あざとさ満ち溢れてるようでそうは感じないのは予想外の本物志向の賜物だろう。布袋のロボットめいた無機質感は和製ターミネーターとしてのカリスマティックな域に到達してる。[投票]
★3魅せられて(1996/英=米=仏=伊)新人女優の一夏の経験ものという「角川的」典型ジャンル映画に対してのベルトルッチのそれなりに真面目な取り組みは好感を持つが、以上でもそれ以下でもない。硬質なコンジも悪くはないが、このイタリア田園風景はやはりストラーロで見たかった。[投票]
★4さすらいの二人(1975/仏=伊=スペイン)アントニオーニの又かの厭世感は今更とも思うのだが、米欧の主役2人が異郷北アフリカの砂漠に流れ行く様には刹那感も倍加される。そして、予想外に用意された終局驚愕の7分間。このハッタリを好きかどうかが加点の分かれ目。俺は心底打ちのめされた。[投票]
★3ドーベルマン(1997/仏)過剰でフリークなワイルドバンチ。導入の襲撃シークェンスは空間処理の不均衡も相まって期待も高まる。抗するカリョの狂気も必要充分であった。しかし、そこまで。過剰に突き抜けることもロマンティシズムに反転することもなく予定調和に失速する物語。[投票]
★4ロミオ&ジュリエット(1996/米)ビデオクリップめいた演出は多少鼻につくものの、今更の古典を再映画化するには、枠組みに対してこれ位壊滅的な破壊操作があった方がいい。一方で台詞の温存という自己制約を課したラーマンの矜持。躁状態下の青春劇という本質は正鵠を射ている。[投票]
★4マイケル(1996/米)オールドハリウッドから綿々と連なる過度な刺激には依存しないアメリカ映画の最良の部分。無垢な少年とは正反な胸毛と出っ腹とヤニと油まみれの加齢臭親爺をチャーミング体現したトラヴォルタに祝福あれ。世の審美基準の裏側をいく親爺とはかくも美しい。[投票]
★3蜂の旅人(1986/仏=伊=ギリシャ)冒頭の結婚式が深い色調を伴った圧倒的な長回しで結局は篇中最大の見せ場。あとは、もったいぶったアンゲロ調で描かれるものの、本質は『嘆きの天使』か『ロリータ』かといった感じで、なら正直になれよと言いたくなる。流石に舌足らずというしかない。[投票]
★4フェノミナン(1996/米)オールドハリウッド的理想主義と湾岸戦争勝利の反動がもたらした利他主義が同居し宗教臭が横溢してたとしてもケレンは無くストレート。そして、この映画でのトラボルタが醸すオーラは神話の域に到達したかにも思われた。裏目読みはこの際やめて浸りたい。[投票]
★3戦火の勇気(1996/米)それなりに真摯であるが、どうもメグは「湾岸」より「ベトナム」な感じで違和感を覚える上に、そもそも腰の据わった女兵士の虚無感には遠い。完全なミスキャストなうえ『プラトーン』風『羅生門』テイストな2番煎じ感がシラける。[投票]
★2ウェールズの山(1995/英)人と人とが信頼し合うのは美しいことだが、そんな当たり前のことを直球で言われても今更どうしようもない。それが失われたものという立脚点に立たねば通用しないのではないか。確信的なら工夫が足りないし素ならお目出度いとしか言えない。自然の景観も普通。[投票]
★1ジム・キャリーのエースにおまかせ!(1995/米)つまらない自己充足ギャグも見せ方次第で輝きを得ることを知ってはいるが、演出にそういう矜持は皆無でただ流されてるだけ。ジム・キャリーを好きでもないが才能はがあるのだろう。しかし、彼を出せば何とかなるみたいな甘えた作りは怠惰でしかない。[投票]
★4ユージュアル・サスペクツ(1995/米)蜃気楼のように揺らめく1つの固有名詞がエクトプラズムの如くに至近の実体として迫ってくる。その構成の揺るぎなさを貫徹し至高とも言える決め方で締め括られた。『レザボア』と併立した男たちの顔の映画でもある。それにしても「カイザー・ソゼ」いい語感。[投票]
★2栄光と狂気(1996/日=カナダ)真摯に題材に突き動かされ製作に至るのではなく、外国人を使って英語映画を撮るという過程が全てで、小賢しいまでに手慣れた原田の技法からは隠匿されたコンプレックスが匂い立つ。クソ面白くもなく、どういうマーケットを狙ったのか全く不可解な企画。[投票]
★5白い風船(1995/イラン)年の瀬に設定された映画内時制が焦燥感を煽るように見えても、予想外に大人の世界と五分に対峙する少女のしたたかさに悲壮感はさほと無い。そして、語られてきた取り巻く世界が一瞬転倒したかの如きラストの締めくくり方。クールすぎるまでのシニカルさだ。[投票]
★3麻花売りの女(1994/中国=香港)自我のある女を描いてそれなりには見せるものの、抑圧からの解放さるべく訴求されるのが大型テレビというのが如何にも陳腐であり、その為の拝金ストーリーも類型的だ。プライドを捻った『秋菊』以降の物語としては逆行の感は否めないが肯定的で気持ちいい。[投票]
★4サドン・デス(1995/米)撮影者ハイアムズが着目されることは少ないがこれは傑作の部類だろう。細緻な部分にまで拘りとにかく画面の抜けが抜群に良い。名匠の仕事の趣きさえある。ヴァン・ダムのどうしようもなく人の良い兄ちゃんキャラも遺憾なく発揮されたジャンルの好篇。[投票]
★2レッドチェリー(1995/中国)ナチスの非道と退廃を描いた映画は山ほどあるわけだが、刺激的なエッセンスをおっかなびっくり抽出してトレースしただけのもの。実話であるなら半端な扇情的描写は失礼というものだ。抑制はあるが自立的なものとも思えない。どっちに振れるか覚悟が足りない。[投票]