★4 | ふくろうの河(1962/仏) | 殊更目新しいアイデアでもないがモノクロ撮影で捉えられた森の光と影がもたらす全篇に漂う幻想味が秀逸。この世界は掛け替えのないもので充ちており、そのことに気づいたあとの喪失は1度目より苦渋は倍加する。身悶えする余りに儚いフラッシュバックの余韻。 | [投票] |
★3 | 新・兵隊やくざ 火線(1972/日) | 全くもっての在り来たり展開ではシリーズ末期的症状にいくらカラー化や増村再登板をもってしてもリストラクトは適わない。相変わらぬ勝新の暴れっ振りを見てるだけで退屈はしないとは言えホモセクシュアルを匂わす描写は覚悟がないならやらぬがまし。 | [投票] |
★3 | 男はつらいよ 寅次郎相合い傘(1975/日) | お嬢さん女優浅丘ルリ子の演じる裏街道ヒロイン「リリー」のキャラは評価が高いが何だか作り物めいて見える。コテコテすぎるのかも知れない。同じ道往く者同士の連帯愛はシリーズの決め事を破壊させかねない。そういう苦渋が終盤の定形的な展開に匂う。 | [投票] |
★3 | ファーゴ(1996/米) | 多義的状況を描くのでなく一応主人公と目されるメイシーが存在するというジレンマが解消されぬので茫漠。2人組の掛け違えた歯車が狂っていくのでなく根っこからゲスで狂ってるので単線的であるし女性署長の好人物は対置される世界が頓狂味では効かない。 | [投票] |
★2 | 仮面学園(2000/日) | 思い切った設定だし画的にも色々やれる題材と思う。仮面というモチーフを使うことで現代社会の病根やアイデンティティの喪失など踏み込む領域は幾らでもあったろう。しかし、物語はお決まりのクソつまらない殺人事件ごっこに矮小化。豚に真珠の題材であった。 | [投票] |
★3 | 西陣心中(1977/日) | 京都の土着的な陰々滅々たる世界に陰々滅々な人々が織り成す共感度ゼロの物語なのだが、楷書の様に完成されたとも言える高林自身の撮影と次々と出ては消える一癖ある役者の連続が一応飽きさせない。配役の妙が閉塞された世界観にすっぽり嵌っているのだ。 | [投票] |
★3 | ペリカン文書(1993/米) | 蛇の穴に手を突っ込んだ的な剣呑からは遠いし、手堅くはあるが最早意外性も皆無。しかし、キャリア序盤の美味しいさかりのトップスター2人を配した勢いはパクラを『推定無罪』の沈滞から辛うじて救う。踏み込んだ2人の絡みには未だ至らぬのだとしても。 | [投票] |
★2 | 蜘蛛の瞳(1997/日) | 念入りに構築された『蛇の道』の姉妹篇として何かを・乃至は何ものをも構築し切れない未達感が横溢する。挙句にお手盛りの「虚無感」を前面に出してみたもののダンカン・寺島を迎えてタッチまでも北野イズムめいたのがうそ寒い。弱点が露呈する。 | [投票] |
★3 | ミミックII(2001/米) | オリジナリティは殆ど無いにしてもこういうきっちり作られた地味暗ホラーは嫌いじゃない。主人公の女性昆虫学者の孤独感が彼女に対する怪物の想い(?)とシンクロナイズしていく展開が好み。デル・トロの1作目は未見だが後年このモチーフは反復される。 | [投票] |
★3 | 沈黙の戦艦(1992/米) | セガールの思わせぶりだが本質何も考えてない的キャラとジョーンズの屈託あり気だが確信犯キャラが絶妙な対置をもたらしてる。だが閉塞空間での1人きりでの抗戦という基本構図はどう見たって『ダイ・ハード』の2番煎じ。その烙印から逃れられない。 | [投票] |
★3 | 狐のくれた赤ん坊(1971/日) | 阪妻の愛すべきキャラクターを次世代で体現し得たのは豪放一筋の三船より愛嬌兼備の勝新であったと断言し得るほどのドハマリ役。オリジナルを超えるものも見当たらないが安定した三隅演出もあって水準以上のプログラムピクチャーになった。 | [投票] |
★2 | 生きてはみたけれど 小津安二郎伝(1983/日) | 名場面集などTVドキュメントで充分なのであり不要。思い込みや決め付けでもいいから客体をひっぺがす力業がないと意味が無い。俳優・監督・評論家たちの手垢ついた証言はコラージュでさえなく凡庸に並置されただけ。作品のフォルムや孤高への探求は皆無だ。 | [投票] |
★3 | その夜の妻(1930/日) | モノクロ無声の画面に緊張感はあるものの、この今一歩感は小津の志向がラング的なものよりスタンバーグ的なものにあるからだろう。造形的な面白味は希薄。寧ろ時を経て驚愕させられるのは岡田の圧倒的2枚目振り。神懸かりかとさえ思わせた。 | [投票] |
★2 | 童謡物語(1988/日) | 蜂業者の話が『童謡物語』と題されるあたりにジャンルを見透かすような製作の本意が見えて萎える。映画は生真面目に生真面目な物語を語っているが、さらりとしすぎて教育TVのドラマみたいで面白くも何ともない。炎天下での危機以外の更なるリアルが欲しい。 | [投票] |
★3 | ピクー(1981/インド=仏) | 劇的誇張が無い文字通りスケッチ的作品なのだが、茫洋とした中にも奇妙な緊張感が画面を横溢しているのが一筋縄ではない。しかし、死と孤独に縁取られた救済の無い物語からは老いた諦観しか感じられず、それで完結するのではあかんやろとも思わされるのだ。 | [投票] |
★3 | 遠い雷鳴(1973/インド) | 牧歌的光景の中で貧窮に陥っていく人々を淡々と描くことで完結しているので『遠い雷鳴』というタイトルから想起される史観で紐解く反戦メッセージが伝わって来ない。過酷な現実の中に一抹の希望を見出すより怒りこそが見たかった。レイの限界が露呈する。 | [投票] |
★2 | 新宿酔いどれ番地 人斬り鉄(1977/日) | 義理を通し苦渋噛む古典任侠道へのアンチテーゼとしての破滅型ヒーローなら飼犬たる己の飼主にこそ噛み付いてなんぼだろう。愚痴ってやるせんわと自己憐憫に浸る間があるなら徹底的に破壊しろってんだ。凡庸な演出とエッジの効かぬ役者陣で見どころなさ過ぎ。 | [投票] |
★2 | ロケーション(1984/日) | いい加減な話を成り行き任せで為すがままにやってたら、驚いたことに傑作が出来ちまったと映画内ではなってるのだが全然そう思えないのでド白けてしまう。貧乏なロケ隊の話が画面まで貧乏臭くて救われない。後半の展開は虚実の生半可な混濁について行けない。 | [投票] |
★3 | ロアン・リンユィ 阮玲玉(1991/香港) | 丁寧に撮られた力作だが実人物のインタビューや現存フィルムとの錯綜が虚構を顕在化させるだけに終わってるし、矢張りマギーは線が細く当初のアニタ・ムイで撮るべきだった。何より好いた惚れたの数多のバックステージものと変わらぬ内容がつまらん。 | [投票] |
★2 | 悪魔の教団 レッド・モンクス(1988/伊) | 不必要な残虐趣味は好みではないが、こうも何も無いと厳しいものがある。とにかく見せ場が無いうえに捏ねくり回した意味不明の展開でついていく気力も失せる。あとは、ひたすらにララ・ウェンデル嬢を見続けるしかない。まあまあ可愛いのが救いであった。 | [投票] |