[コメント] 万引き家族(2018/日)
それはまるで、子供同士の秘密クラブのような。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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祖母、父、母と子供たちのククリのみがあるこのコミュニティを見つめていると、そこに掟とかマナーとかがほぼ存在しないか、あるいは希薄過ぎるものでしかないようなものだと気づかされる。まるで、子供の遊び友達のつながりのようだ、この「万引き家族」は。
ひとりひとりに、権力なんてものはない。年長者は経験を通じて後輩に指図するが、それはただの生活の知恵かなにかであり、それにまつわる位階の差などはない。だから彼らのコミュニティは大人たちに責められる。そして責められても仕方がないと皆も判っている。全ての秘密がバレてしまったとき、父母は誘拐犯のようにくさされ、死体遺棄犯として攻撃されるが、そんな大人のことばに彼らは抗わず、おとなしく収監される。彼らは金銭を得るためでも性欲のためでもなく、ただ捨て犬のように「可哀想だったから」子供たちを仲間入りさせたのだから。まして正義のためでもなかったのだから、皆しくじったことを潔くあきらめて解散し、大人の見ていないところで再会するのだ。「また今度遊ぼうね」とでも言わんばかりに。
子供じみた大人たちの魅力もさることながら、本作では皆と遊ぶために大人びたオーラをまとう城桧吏の凛々しさは特筆すべきものとなった。背伸びする彼や佐々木みゆのつま先立ちは何より愛おしい。
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