[コメント] 万引き家族(2018/日)
時折、目にする不可解というか「えっ、どういうこと?」というニュースの現実とはどういうものか、想像力を働かせて考えてみたことがありますか、と是枝監督から問いかけられたような気がする。
題名に「家族」とあるように、家族のつながり或いは人と人とのつながり、絆とかがテーマかもしれないのだが、私は本作を見て以前観たアメリカ映画『扉をたたく人』が思い浮かんだ。その映画は、911以降のアメリカで他国出身の滞在者が疎外される様子を描いたものだ。
忘れ去られたような境遇であっても、そこに暮らしがあれば、人としての色んな事情があるだろう。そういう様々な事情がある、ということを我々は想像するようにしているだろうか。
何ごとも自己責任が強調され、すべてが「自分のせいだろ」で片付けられるような社会に今の日本がなってしまっている。けれども本当にそうですか?そして仮にそうだったとしてもだからどうだと言うんですか?、そんな問いかけを是枝裕和監督からされているように感じてしまった。
唐突なラストや、あまり事情がわからない部分も残された本作だが、その足りない部分はみなさんがそれぞれ想像してみてはどうですか?人にはいろんな事情も、そして思いも、喜びも悲しみも苦しみも切なさも、楽しさもやるせなさもみじめさも、あるんじゃないですか。そういう人間らしさって大切なものだと思いませんか。
そんなことを言われて、考えさせるような映画だったと思う。
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