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けにろんさんのコメント: 投票数順

★3死と処女〈おとめ〉(1995/米)圧政のトラウマを背景にした密室劇はポランスキーの根っ子を揺さぶる筈なのだが撮影・美術と名手を揃えて尚緩い。南米の多湿空気が怜悧な欧州体質の監督とミスマッチ。ウィーバーも当たり前だが好みの金髪美女ではない。遣る気がなくなったのだろう。[投票]
★3ゴールキーパーの不安(1971/独)現代人の不安と閉塞と絶望はアントニオーニと同工異曲かもしれないが、遙かに即物的で直裁的。風景描写とかに意味を見出そうとするお芸術志向でないぶんヴェンダースはケレンの欠片もなく人に寄り添い続ける。感情移入のとば口さえ見出せぬままに。[投票]
★3レイニング・ストーンズ(1993/英)リフ・ラフ』に比して腹の底から湧き出た何かを描くのでなく物語ることに囚われ作為的な感じだし、何処かで見たよな破滅型人間を描いて類型的。スタッフワークもゲリラ感が消失した分荒削りパワーが減衰した。釈然とせぬ展開も悲喜ベクトルを宙に浮かせる。[投票]
★2妹(1974/日)失踪というアントニオーニモチーフは日本風土で内田私世界に還元され藤田のモラトリアム価値観を乗され意味不明の混濁に至る。ベビーフェイスの巨乳が襖一枚隔てて今の世界は情緒を廃され風船は萎む。ファーストシーンからタイトルバックが良い。[投票]
★4リコシェ(1991/米)野郎同士のガチ対決な骨子がプリミティブに映画の強度を高める。内実を抑えて娯楽職人化したマルケイのフィルモグラフィのピークを為す1本。実力で自走する間尺に合った役者と直線的なストーリーを得て、そういう割切り資質が最もいい形で顕れた作品。[投票]
★4女人、四十。(1994/香港)老人問題の映画なのだが一方で女性の労働問題が並列の重さで描かれるというのが巧みで救いのないテーマの緩衝剤としてマッチング。亭主を含めた主人公の家族の描写がベタつかず良い。ただ、思うのは、こういう結末でしか物語は終われないのだろうかという事。[投票]
★3美しきセルジュ(1958/仏)嘗ては強烈な輝きで主人公を惹きつけたという設定のセルジュが丸投げにクスブった様しか見せないので主人公が何故にかくもその救済に拘るのかが伝わらない。正直イライラする。しかもラストで物語に決着もつけないではセルジュのみならず観る者も救われない。[投票]
★3日本侠花伝(1973/日)カラーシネスコ画面に加藤美学をぶち込みまくった画づらは決め決めショットのオンパレードなのだが思い入れが激しすぎて10分で疲れる。なのに、芯の通らぬ筋立てがグルグルと延々続いてとんでもなく長いのだ。又は狂道の人であり侠道は合わない。[投票]
★3実録・阿部定(1975/日)出るものが半透明になっても絞り尽くされるという或る意味で地獄を、『コリーダ』がまだしも持っていた時間空間的な延伸感が低予算の為ほとんど無い為に映画として高純度に濃縮されたとも言えるのだろうが矢張りしんどい。少ない外世界描写に心底救われる。[投票]
★3スウィート・ヒアアフター(1997/カナダ)町から子供たちが消えたという「ハーメルンの笛吹」モチーフが前半30分を異様なミステリームードで牽引するのだが、大人たちに内在する何某は暗喩めいたままで煮えきらない。イアン・ホルム弁護士の内省的主観描写も物語とリンクしないまま放逐される。[投票]
★4フロント・ページ(1974/米)終焉の気配が立ち込める夜間シーンの連続を蛍光灯等の画面内光源で処理した撮影が安くも味わい深く今更のスラプスティック風味のコマ落とし等も許せるのは、監督・主演の高齢トリオが醸す一種の翳りが愛しき侘しさとなり絶妙のコントラストを成すからだろう。[投票]
★3ネバーエンディング・ストーリー(1984/独)最後に開かれるとしても所詮は本の中の閉じた世界の物語というのがどうしようもない閉塞感を感じさせ息苦しく空虚である。ファンタージェンの世界造形が一貫した統一感を持つのは好ましいが西洋童話のクリーチャーたちがお子様向けに愛くるしいのも興を削ぐ。[投票]
★2アッシイたちの街(1981/日)中小企業を題材に虚々実々の親会社との攻防を描くのであれば、脇を固める山本ファミリーが俄然水を得たであろうに、工員バンド「アッシイ」が高らかに労働讃歌を歌うアナクロぶりが観客の心を絶対零度に凍てつかせてしまう。老左翼の共闘の果ての墓場。[投票]
★3J&S さすらいの逃亡者(1972/伊=スペイン=独)見かけはもとより遣ること為すことド汚なく且つええかげんな主人公の70年代マカロニ末期テイストの佳品。演出にはハッタリとケレンが垢抜けなくも窺え一応の訴求力はある。ひとことで言って変な映画だが例によってのんべんだらりとした展開が睡魔を誘う。[投票]
★4人間の運命(1959/露)故郷に残した妻子への思いと悔恨は巻き込まれた戦争の変転の中で瞬く間に後方に退くだろう。それを強いる過酷さと切り抜けた果ての圧倒的絶望と再びの希望は生きるってのは正にこういうもんだと思わせる。意外なまでの映像のシャープネスと役者の良さに驚く。[投票]
★2101(1996/米)擬人化された動物も漫画なら許容できても、実写となれば余りに胡散臭い。ブチ模様の犬を101匹も集めて人間の考えた話ににピースとして当てはめるのは奢りであろう。しかも救われんのが、そうまでされた犬達が余り可愛くないのだ。クローズがまあ見所。[投票]
★4アニー・ホール(1977/米)多くのトリッキーな手法が試されてるが、先行者の素描か或いはお試し感拭えず数打ちゃ当たる的場当たりに留まるのだが、コンプレックスを武装し捲くし立てる台詞が同期することで追憶の中で愛惜へと置換される。キートンの普遍キャラも世界を平準化した。[投票]
★3男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花(1980/日)寂れた風情がしっくり来る寅に常夏の沖縄が似合ず、シリーズのキモである孤独感は表出されずじまいだ。又、リリーと同居するという決定的な設定を否応なく組まざるを得なくなってもシリーズ存命の為に、肝心要なところに踏み込めない煮え切らなさがイラつく。[投票]
★3猫が行方不明(1996/仏)文字通りの老若男女が混在し疎遠でもなければ押し付けがましくもないコミュニティ。そういう疑似リアルな優しい世界の中で今一な彼女の孤独感ばかりが逆説的に先行し痛々しくコメディと言うなら笑えない。ラストのセンスの良さが辛うじて作品を引き締めた。[投票]
★3香華(前編・後編)(1964/日)徹底的ダメ母と腐れ縁で振り回され続ける娘との編年記なのだが、どうにも母親の乙羽が熱演するほどに皮相にも柄じゃない感が浮き出る。エロスが不足なのだ。同じ有吉紀ノ川』と比較してしまうのも痛く木下のビジュアルセンスの甘さが露呈する。[投票]