★2 | 硫黄島からの手紙(2006/米) | 絶望的敗走劇の中から絞り出される何ものかは遂に無く、紙芝居のようなステロタイプの日本兵が今風の役者演技でトレースされただけ。未だしも戦争の2重構造に言及した『星条旗』に比して余りに単視眼的で遠慮がち。狂気の果ての真実をこそ知りたいのだ。 | [投票(10)] |
★3 | ROCKERS(2003/日) | 映画を撮るのに何をしたいか明確に解ってることは強みであり、ただただ仲間への思いを刻んでおきたかったということなのだろう。そこに懺悔も禍根も無く真摯なリスペクトだけがあるらしいのが一本気で気持ちいい。陣内が良い人らしいことは判る。 | [投票(10)] |
★2 | バトル・ロワイアルII 鎮魂歌〈レクイエム〉(2003/日) | 家畜小屋の革命思想の浅薄さが薄ら寒い。中途半端な反米論はファションなのか?某映画を真似した弾着を用いぬCG処理の軽さや自己模倣を繰り返すたけしをまんまトレースした力には脱力。とっとと親爺の名をクレジットから外すのが供養であろう。 | [投票(10)] |
★3 | 少林サッカー(2001/香港) | スーパーマンとか超人が正規ルールのサッカーで普通人に勝っても、やったー!とは思えない。ギャグは真摯なドラマに拮抗する形で極まり、パロディは物語の形成と不可分で意味を為し、CGはアナログと融合して輝く。この映画はそれらの点が少しずつ足りない。 | [投票(10)] |
★3 | TENET テネット(2020/米) | ブラナーが逆行をどう利してるのか不明で、主演コンビがやってることが自作自演の絵解きにしか見えない。ノーランはリアルな世界の軸が見えてないのでスパイ映画ってもガキのお遊びになる。そんなに逆回しがオモロイのか、よかったねとしか言えない。 | [投票(9)] |
★5 | そこのみにて光輝く(2013/日) | 人は救い難い状況の人たちに接することはあっても寄り添い続けることはできない。綾野のトラウマは方便としの機能しか為さぬがそれでもいいのだ。一方で姉弟の映画として一切の直載な会話を廃し尚切ないまでの想いが迸っている。空気まで演出し得ている。 | [投票(9)] |
★3 | エクスペンダブルズ(2010/米) | 前半は暑苦しい親爺どもの幼児会話の応酬に苦笑交じりの声援を送りつつ、スタ・ステコンビの連携も冴えアクションも堪能できるのだが、終盤はもう何がどうなってるのかさっぱりな体たらく。それでも皆でガハハと能天気に笑われりゃ憎めないのだがね。 | [投票(9)] |
★4 | フローズン・リバー(2008/米) | 主人公の入墨やピアスや下着の趣味や銃捌きの躊躇無さが語る語られざる来歴。映画だけが駆使し得る話法を知悉し使いこなす妙。そして、当たり前の母性が当然のようにある世界では社会も当然優しいという絶対的確信。この作者の平衡感覚に打たれた。 | [投票(9)] |
★2 | サマーウォーズ(2009/日) | 誇大妄想狂の戯れ言みたいでかなり気色悪い。肉を切られ血の海でのたうつことでしか暴走するシステムという今更設定にはケリをつけてほしくない。お茶の間のキーボード早打ちで鼻血ブー如き生温さが世界を救うだと?勝手にほざいとれ。 | [投票(9)] |
★5 | ウルトラミラクルラブストーリー(2009/日) | 冥界とシンクロする町で優しき人々に見守られつつ主人公は彼岸と此岸を往還する。そして、死者と生者が招き寄せられ始まる物語は他者を礎に人が再生することの肯定に行き着く。何という前向きな人生観。寺山・相米的80年代邦画の良質な復刻。 | [投票(9)] |
★4 | スラムドッグ$ミリオネア(2008/英) | よく考えりゃ嘘やろと思う展開の大甘さであるが、ボイル演出の迷いの無い闊達さに乗せられる。殆どメロウな大嘘付きなのだが、1割は本質を突いてみせる。インドの劇的な変容の巨視観とアップ使いの強烈な微視観の往還。その辺には惚れ惚れしました。 | [投票(9)] |
★2 | THE 有頂天ホテル(2005/日) | 笑いも泣かせも底が浅すぎて観客を嘗めてるのかとさえ思うし、ロビーのセットと他のロケシーンの繋ぎに違和感があり過ぎる。どんな規模とグレードのホテルやねん。美術設計をしてないんちゃうかと思う。ただ、こういうジャンルに挑戦する気概は買う。 | [投票(9)] |
★5 | ALWAYS 三丁目の夕日(2005/日) | ここ迄来たかのCGへの感嘆と予想外の守旧的カット繋ぎがもたらす映画的ダイナミズムが同居し小憎らしいまでに巧い。同時代的回顧イズムと「今」をを問う意味付けも勿論考えたが、突き抜けたのは疾走感の表現。疾走こそ映画だ。 | [投票(9)] |
★4 | シン・シティ(2005/米) | 徹底してマッチョな騎士道精神を描くことで一貫しており、容赦のない絶対悪を設定してのサディスティック・バイオレンスに呵責が無いことも一貫している。漫画的幼児性も漫画なのだから納得させられロドリゲスの様式演出が又いちいち漫画的に決まってる。 | [投票(9)] |
★4 | パッチギ!(2004/日) | 『ガキ帝国』『岸和田』の男子祭り系譜と『のど自慢』『ゲロッパ!』の歌謡映画系譜を巧みにミックスさせた集大成と言えばそうだが加減が程良すぎる一方なおざりな感じもした。「朝鮮人になれる?」の真摯な問いへの落とし前位はつけるべき。 | [投票(9)] |
★5 | めぐりあう時間たち(2002/米) | 「痛み」を伴う「生」を描くのに絶妙な間を意識した演出。それが最高ランクの女優と噛み合うと、これほど濃密な空間を産み出せるのであろうか。主演3人とも良いがストリープのリアクション芝居には今更だが舌を巻く。 | [投票(9)] |
★3 | 柳生一族の陰謀(1978/日) | 普通の芝居をする人達の中で1人大芝居を貫く錦之介に拮抗し得るのはバカ熱い千葉のみで、この父子の相克に収斂するラストは正に傑作。時代劇であろうがナレーションとスチルで相変わらずの『仁義なき』演出を展開する深作節も愛おしい。 | [投票(9)] |
★4 | 拝啓天皇陛下様(1963/日) | 映画では地獄みたいな軍隊ばかり描かれるが、良き上官と良き戦友に恵まれ、案外このヤマショーみたいのが実感の人も多かったかも。やがて、大陸で殺戮マシーンと化して行くとしても…なんて考え出すと楽しめないからやめといた。 | [投票(9)] |
★3 | トップガン マーヴェリック(2022/米) | そうせざるを得ない遂行方途を馬鹿にする無能上司に抗い俺について来いの還暦親爺の若者掌握が凡庸なベタに留まり反転昇華しない。普通すぎる。世界のリアルから遊離したプラスティックな原子炉爆破ミッションはまんま『スター・ウォーズ』のデススター攻撃。 | [投票(8)] |
★3 | ジョーカー(2019/米) | 社会との関係の中で悪は形成されるとすれば彼は断ち切られたところで足掻いてるだけだし、根源悪だったとすれば描かれた被虐は何だとなる。抑圧が弾け沸騰するゴッサムでの少年ブルースと対峙といった大構えなクロニクル味が取ってつけた風になりつまらない。 | [投票(8)] |