寒山拾得さんのコメント: 更新順
濡れた壺(1976/日) | 大量の女マネキン相手に個性を語る件はチェコアニメの奇怪、安ホテルのモルタルの窓から覗かれた情事は南新宿の奇怪。靖国参拝でエレクトする強姦親父は当時は稀だったろうがいまや珍しくもない。町ごと腐っていくのを映画は悦んでいるかのようだ。 [review] | [投票] | |
岸壁の母(1976/日) | キノシタ『陸軍』の変奏のような告発。このような70年代までのウエットを80年代はきれいに消し去ったのだが、あれは、電通の陰謀ではなかったのだろうか。林寛子は絶頂の可愛さ。 [review] | [投票] | |
あばよダチ公(1974/日) | 佐藤蛾次郎の発情描写の数々が激しすぎて弱ってしまう。「自由にヤレるのか」「貴方は自由をはき違えています」「ネエチャン何も穿いていないのか」何という対話だろう。腰振り続ける蛾次郎に雄の哀れを見よ(含『男はつらいよ望郷篇』のネタバレ)。 [review] | [投票(1)] | |
人斬り与太 狂犬三兄弟(1972/日) | 渚まゆみのラーメンにチャーシューのせる文太。これが彼がこの世でなした、たった一度の善行なのだ。「蜘蛛の糸」のカンダタが蜘蛛助けたみたいな。本作の暴力描写はいまだに本邦映画100年の頂点。 [review] | [投票(2)] | |
しびれくらげ(1970/日) | ドン底から叫ぶパッション。マスムラのいい処が出た佳作。ダイニチ映配の起き上がりタイトルはめっけもの感がありいつも心躍る。 [review] | [投票] | |
殿さま弥次喜多(1960/日) | えらく熱心に殿様に額づく町衆たちのコンサバ描写から、1960年の東映ファンは封建社会を待望していたのかと思わされる。なぜ貫地谷しほりが焼き芋の屋台曳いているのだろうとよく見たら丘さとみだった。悪老中の薄田研二は菅官房長官に激似。 [review] | [投票] | |
わが闘争(1968/日) | 手鎖振り回し蹴りを決めるパン助の佐久間良子by中村登。これぞ松竹ヌーヴェルヴァーグの最終形態。優生学系の時代錯誤が困りもので、松竹はフィルムに注釈を加えるべきだろう。それともこの褪色激しいフィルムはこのまま闇に葬られるのだろうか。 [review] | [投票] | |
喜劇 駅前開運(1968/日) | 煙突の天辺で野川由美子のズロースでつくった赤旗掲げてゴミ焼き場反対を叫ぶ森繁。都内の焼却場戦争を記録して大迫力の公害映画であり、若き黒柳徹子のコメディも拝める。 [review] | [投票] | |
ドレイ工場(1968/日) | この時期に至っても組合参加で即馘なのかと驚かされる鉄鋼所の組合創設話。ドギツいタイトルには明快な意図があり、いい気づきがあるのだが、なんか怖そうで損していると思う。 [review] | [投票] | |
酔いどれ博士(1966/日) | 勝新これはちょっと格好良すぎるだろう。子役時代の小林幸子はここでも抜群。 [review] | [投票] | |
あねといもうと(1965/日) | 佐多稲子のような左翼作家にとって困難な時代だったのだろうか。貧困とは家族で解決すべきこととなり、社会で解決しようという視点は消滅している。中村晃子が厭な役で気の毒。 [review] | [投票] | |
いろ(1965/日) | 東映期緑魔子の転落人生ものはどれもいいものだが、とてもいいラストを持つ本作が極めつけだろう。大原麗子との姉妹喧嘩も拝める。喧嘩を拝む必要もないが。 [review] | [投票] | |
結婚式・結婚式(1963/日) | 戦前親爺伊志井寛の新世代との衝突と理解の物語だが、私には重心が戦前にかかりすぎてバランスが悪いように見える。「多数決は民主主義の弊害の最たるものだ。国会を見なさい」。 [review] | [投票] | |
江戸っ子繁盛記(1961/日) | 夢に見た櫛を踏みつける、みたいな夢幻のタッチに溢れるマキノ演出が味わい深く、離れ目美人の長谷川裕見子も味わい深い。 [review] | [投票] | |
大出世物語(1960/日) | 小沢昭一主演の最初期作だろうか。当時の屑屋さんの生活の詳述がとても興味深く、吉永・浜田のカップルが脇役というのが芳しい。 [review] | [投票] | |
珍品堂主人(1960/日) | 骨董話と料理屋の経営話なのだが、このふたつが大して関連しない。老大家のノンシャランな随筆では両立するんだろうが、本作の気づきのドラマには馴染まなかったように見える。 [review] | [投票] | |
白い牙(1960/日) | 若い継母と不倫の三角関係がクダクダ語られる井上靖らしい通俗で、もっぱら牧紀子と桂木洋子の鑑賞用フィルム。五所は50年代は傑作連発だったがそろそろ還暦、本作以降はあんまり冴えなくなる印象。 [review] | [投票] | |
今日もまたかくてありなん(1959/日) | レフト寄りの作品が評価されたキノシタだが、旧軍人の心情に寄りそう作品は多く、本作はこれを主題においている。その想いは空回り気味で、ヒッチコックが憑依したような中村勘三郎は魅力に欠けるが、云いたいことは判る気がする。 [review] | [投票] | |
橋(1959/日) | 元提督笠智衆の戦後という主題は半端だが、資本家細川俊夫の造形が抜群。憎たらしくて腹立つけど腹立てちゃいけないと自制させられてしまうキャラなのだ。 [review] | [投票] | |
憲兵と幽霊(1958/日) | 序盤の天知茂には正に悪魔が乗り移っている。「女房と母親を共犯で逮捕したらどうだ。そして奴(犯人にでっち上げた中山)の前で拷問にかけるんだ」「そんなことをして、よろしいのでありますか」「ケケケケケ」狂っている。 [review] | [投票] |