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[コメント] 珍品堂主人(1960/日)

骨董話と料理屋の経営話なのだが、このふたつが大して関連しない。老大家のノンシャランな随筆では両立するんだろうが、本作の気づきのドラマには馴染まなかったように見える。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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骨董の真偽はかかって自分のなかにある、という収束なんだろうか。淡島に預けた偽物の人形かっぱらって逃げる森繁。しかしどうもしっくりこない。その認識に至ったのは、自分が見初めた灯篭が文化財に指定されていたのを発見したためだった。すると、あの偽物の人形も本物と確信したということなんだろうか。よく判らなかった。

印象に残ったのは、お客に触られたときのかわし方に係る淡島の中居への講習。すでに森繁と実地で披露してからこの講習になるのに笑いがある。しかし本作の淡島は立ち位置が不明確でぎこちない。

料理屋のストライキはストさせる淡島の作戦で、高島忠夫のサンディカリズムの反省とともにあっさり終わる。この掌返しの終結、翌日にはみんないつも通り働いていましたという処に驚きがあるのだが、やっぱりもうひとつ突っ込み不足で煮え切らない。

乙羽信子の妻は森繁に都合がよ過ぎるだろう。淡路恵子は半端だが面白い。柳永二郎に貰った反物を店先に転がしてしまうショットが本作の私的ベスト。森繁が路上で泥撥ねられるラストショットも豊田らしくて好きだが。こういうショットがあるから観て損した気はしない。東京映画。

(評価:★3)

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