落語「芝浜」と「番長皿屋敷」が元ネタとのこと。お前さんは浜へなんぞ行かなかったのさ、財布拾ったのを覚えていないという酔っ払いの冗談が「芝浜」で、錦之助の唖然とした顔とともに、笑いよりも不思議の感触が大きい。

妹の小林千登勢の「番長皿屋敷」、将軍家の皿割る陰謀は三種の神器のナンセンスと連関するだろう。錦之助二役は大人の事情だろうが気にならない。簾の向こうに必ず座る幽霊の小林が決まっており、喧嘩はさすがに愉しく撮れていて、宴席の華やかな色合いははっとさせられる。坂本武が当たり前のようにいいし、高橋とよの怪演も愉しい。