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寒山拾得さんのコメント: 更新順

★4新宿♀日記 迷い猫(1998/日)長曽我部蓉子の告白は矛盾し続けるが、矛盾するからこそ告白なのだと徐々に判明する『女と男のいる舗道』のバリエーション。とてもいいホンだった。 [review][投票]
★3大怪獣東京に現わる(1998/日)当たるを幸い全てを笑い飛ばす80年代のノリの軽薄は嫌いじゃないのだけど、あんまり面白くなかった。漠然としているが反原発映画で、もう吉本興業はこの手のものは作らないだろう。舞台は三国でリアルな福井弁が愉しい。 [review][投票]
★3月光の囁き(1999/日)SMにはルールがあり、鞭打ちの回数など人によって決まっており、指定九回のところを十回叩くとMが怒り出すらしい。そういう穿った描写に欠けるのが本作の不満、これではMはいずれ死ぬしかないだろうに。 [review][投票]
★2親分はイエス様(2001/日=韓国)いい話なんだろうが説得力もコメディセンスも全く不足しており善意が空回りしているのだけが認められる類。実話という以外に何もでてこないし、二時間ドラマみたいな劇伴が映画を二時間ドラマにしており、これが晩年の斎藤耕一かあという詠嘆だけが残る。 [review][投票]
★2陽はまた昇る(2002/日)この合理化のなかの現場任せのワーカホリック物語は『一番美しく』と余りにも似ている。本邦企業が戦後、戦時体制そのままで成長したという説を裏書きするもので、こんなこと繰り返していて、日本経済の陽はまた昇るのだろうかと疑わされる。ビデオの統一規格無視の生臭い企業競争を感動物語で正当化するのも無理筋。 [review][投票]
★2阿修羅のごとく(2003/日)何のタメもないクライマックスが延々連発されるダイジェスト版で、女優陣が肩怒らせて演技し続ける様は殆どバラエティショー。たぶんコメディなんだろうが客席は笑いもなく2時間凍りついていた。 [review][投票]
★2聯合艦隊司令長官 山本五十六(2011/日)軍隊にも慎重派がいましたという逸話は頼もしいものだろうが、いくら何でも事後的な知識でもって山本五十六ひとりを美化し過ぎだし、進行中の日中戦争を殆ど無視する本邦太平洋戦争ものの定跡踏襲も相変わらず貧しい。日米同盟強化のための反省文の趣。 [review][投票]
★3空飛ぶタイヤ(2018/日)TVの映画化にせよ企業告発映画の伝統が続いているのは頼もしいことだが、この山ほど湧いてくるイヤミ君たちは何なのだろう。悪役は底無しに悪役に仕立てていいという文法が今世紀の邦画には蔓延している。本作は典型的でいかにもやり過ぎ。 [review][投票]
★3教誨師(2018/日)ときどき面白い件もあるが、総体に机上で作った感がそこここに顔を出してリアリティが薄いし、キリスト教と正面から向かい合わないスタンスがなまくらに見える。演劇的な作劇で美術に得るものがないのも不満。マイナー邦画は貧乏だ。 [review][投票]
★4風の電話(2020/日)点でしか存在しないいろんな社会的不幸を虚構で繋げて見せ、それこそが必要なことなのだと呟く森崎東の方法論。カウリスマキやハネケとも通底する主題だが剥き出しの率直さで語り切るのが好感。 [review][投票(1)]
★5ナタリー・グランジェ(女の館)(1972/仏)実に奇怪なタッチで謎かけが解かれぬまま淡々と進行、『マリエンバート』とも共鳴する物語抜きのアルトマン『三人の女』の趣。音楽は『未知との遭遇』の元ネタに違いなくさらに奇怪。 [review][投票]
★4うなぎとり(1957/日)うなぎとりに夢中になる子供たち、贅沢なひと夏の経験。望月優子さんが稀なことに終始白い歯を見せ続ける、多幸感溢れる教育映画。農村の光景がとても美しい。 [review][投票]
★2荒い海(1969/日)余りにもかいつまんだ薄味の群像劇で、クライマックスを科白で済ますなど演出放棄としか云いようがない。短縮版しか残存しないので仕方ないのかも知れないが。克明な当時の捕鯨方法の記録だけは見処。 [review][投票]
★5少女暴行事件 赤い靴(1983/日)自分を律する術を知りようもない80年代の青春とも云えないような青春が、遠点からハードボイルドかつ慈しみを持って眺められる。方法論にブレがなく淡々と衝撃に向かい、撮影も撮りたい画があって撮っているのが伝わってくる充実作。 [review][投票(1)]
★3河内のオッサンの唄(1976/日)出鱈目な川谷拓三に尽くす夏純子みたいな昔の人情喜劇は本作辺りで終点、時代は寅さんに移行したのだろう。私的ベストショットは酔っ払って路上で三輪車に跨るミヤコ蝶々。間違えて再見。 [review][投票]
★4花ちりぬ(1938/日)蛤御門の変を扱う。キャメラはお茶屋を一歩も出ず登場するのは女優だけという作劇だがトリッキーさはなく、女たちの戦争を演劇的に丁寧に描いている。流麗でしっとりした好篇。振袖で嬌声あげて踊り笑う可憐な舞妓たちが儚くその後が気になる。 [review][投票]
★4わが青春に悔なし(1946/日)転向を強いられた久板の後悔の産物なのだろう。「配慮」を欠いた農村描写が強烈。学生時代の理想を再発見する不毛な社会人人生という切り口に、時代を越えた普遍性がある。 [review][投票(2)]
★4深夜の告白(1949/日)中川信夫版。企業人の戦争責任を問うシリアスな物語のなか、作劇のバランス上登場するのか躁状態の月丘千秋がものすごく、狂った時代をさらに狂ったものにしている。石段スキップは素敵な名シーン。 [review][投票]
★3港へ来た男(1952/日)海の男のいい加減な三角関係ものでいかにも拙い作劇だが、端役の左卜全だけは忘れ難い印象を残す。港町にはこんな人もいたのだろう。彼を主役にしてほしかった。鮎川港の近海捕鯨の記録。 [review][投票]
★4ハワイの夜(1953/日)ハワイ日系人の受難を扱う真面目な作品。甘いロマンスの歌謡映画も意欲的に撮られており、クライマックスは名作『婦系図』の変奏で渋い。マキノは戦後、キリスト教主題を多く撮っている。 [review][投票]