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煽尼采さんのコメント: 投票数順

★3砂の器(1974/日)夏の暑さにうんざり顔ながらも丹波哲郎の旅はどこか愉しげにも見え、俳句を詠んだり、ぶらり旅気分な情緒が地味に面白い。だが終盤に至って、丹波のこの悠々とした旅情緒は致命的な演出ミスだったと思い知る。 [review][投票(6)]
★3ザ・フライ(1986/米)物質転送と、異生物との融合。「距離」の超克がもたらす悲喜劇。 [review][投票(6)]
★3シェーン(1953/米)昼は乳白色がかったパステル調の色彩。夜はモノクロ映画かと思えるほどに抑制された色調。統一性のある画面は美しい反面、やや単調。少年は「純朴さ」を示す記号のようにしか思えず、あまり情動をかき立てられる映画ではない。だが、意外な厳しさの漂う作風。 [review][投票(6)]
★4タクシードライバー(1976/米)魔物のように登場するタクシー。その怪物じみた迫力とは裏腹に、それは飽く迄もただのタクシーにすぎない。この、一歩退いて見れば滑稽にも思える、狂気の画面。或いはこの映画そのものが、一つの皮肉なジョークなのか。 [review][投票(6)]
★3パンズ・ラビリンス(2006/メキシコ=スペイン)感動的なのは、少女の空想とも、実在の地下世界ともつかぬ異界が、単に過酷な現実からの逃避先として描かれてはおらず、むしろ現実社会に於いては「子供」は免除されている闘いを、異界に於いては少女自らが主体となって行なっているところにある。 [review][投票(6)]
★5幸福〈しあわせ〉(1965/仏)モーツァルトの音楽のように完璧な幸福の光景が、微かな亀裂によって、恐るべき光景へと変じていくこと。素晴らしい色彩設計、フォーカスやカット割りの実験性にも関らず、ミニマルな演出による最大限の効果をもあげていることの驚き。 [review][投票(6)]
★4復讐するは我にあり(1979/日)罪も無い筈の人々を次々と殺しまくる無軌道な男の物語なのに、全編から漂うニヒルなバイタリティ(ちょっと矛盾したような言い方だが)には妙に元気すら湧きたたせられてしまうことに、やや困惑させられる。 [review][投票(6)]
★3しあわせのかおり 幸福的馨香(2008/日)この平凡さこそ愛すべきもの。貴子の台詞、「ワンさんの味は、飽きがこないのよ」の通り、この映画も上品、丁寧、奇を衒わない、万人向けのもの。地味で手堅い職人技が好ましい。だが調理シーンは、意外にも映画的なスペクタクル。 [review][投票(6)]
★4東京暮色(1957/日)最後の黒。小津的構成美と、黒の作劇術。 [review][投票(6)]
★2ジャガーノート(1974/英)複雑怪奇な極小空間に於ける、針の穴に糸を通すような、目と指先だけの冒険。コードと金属部品を通しての、犯人との虚々実々。この爆破装置処理の場面だけは4点に値するが、それ以外は眠たすぎる。犯人捜査のサスペンスも船上の人間ドラマも何とも中途半端。 [review][投票(6)]
★5七人の侍(1954/日)七人の侍、というより、『米と刀』。まさにザ・日本映画。今だ先端的でありまた、偉大なるオーソドクシー。 [review][投票(6)]
★4バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3(1990/米)あたかもモーリス・ラヴェルの“ボレロ”の如き、反復と発展。或いは、吉本新喜劇的な、時空を越えた「お約束」。シリーズ物である事と、タイムトラベルという題材の、幸福な結婚が生んだ笑いと感動。 [review][投票(6)]
★4ゾンビ(1978/米=伊)資本主義は、低温火傷的な周到さで人々の脳を焼き尽くすのか?ほら、あなたの顔も、もう青黒い。 [review][投票(6)]
★4男と女(1966/仏)美しい天然色の広がる世界、それは、愛する人と繋がり合い、共に視線を交わす事の出来る世界。 [review][投票(6)]
★5ドッグヴィル(2003/デンマーク=スウェーデン=仏=ノルウェー=オランダ=フィンランド=独=伊=日=米)舞台劇のような形式だけど、舞台から一定の距離を保つ客席からでなく、舞台の中で動き回るカメラを通して見る事で、その形式=約束事の奇妙さが覗けて見えるのがミソ。 [review][投票(6)]
★2シェイプ・オブ・ウォーター(2017/米)パンズ・ラビリンス』のような妖しく美しい暗黒幻想譚かと思いきや、嫌いなジャン・ピエール・ジュネ風の幼稚で狭苦しい箱庭映画に失望。本筋は粗雑で凡庸なメロドラマに過ぎず、むしろ主役はマイケル・シャノンと思いたい。 [review][投票(5)]
★3そして父になる(2013/日)是枝裕和が『奇跡』撮影時、一ヵ月半ほど家を空けたら娘と距離ができ、仕事に出るとき「また来てね」と言われた体験から生まれた本作。実は「取り替え子」は主題ではない。だが真の主題「時間」は、仕事=稼ぎ、格差問題へと奇妙にずらされる。 [review][投票(5)]
★4スプライス(2009/カナダ=仏)異なるものの「Splice(結合)」がもたらす、ヒトの在り方を脅かすSpliceな感情。僕らの知っている世界が微妙にずらされることで未知の感情へと導かれる、このスプライスでサプライズな新鮮さはまさに、映画という体験に求めていたものだ。 [review][投票(5)]
★4空気人形(2009/日)ペ・ドゥナ演じる空気人形が、生まれたての赤ん坊のように捉える世界。彼女の身体性がリー・ピンビンの撮影と相俟って醸し出す「空気」。空虚かつ充満した、透明なものとしての心。 [review][投票(5)]
★4となりのトトロ(1988/日)和風な国のアリス。子ども目線の陰影礼賛。五感で味わう世界。魅惑としての異界、喪失の不安としての死という、二つの彼岸。 [review][投票(5)]