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煽尼采さんのコメント: 投票数順

★3ハンニバル・ライジング(2007/仏=英=米)耽美的映像で綴られる濃厚かつ残酷な美食家の高貴さと、奇矯と思えた日本文化の挿入が意外に倒錯的な必然を帯びている点に惹かれた。『羊たちの沈黙』の不条理な恐ろしさと対照的な、全てが一対一対応の因果性を暗示しながら繰り広げられる整然とした殺戮劇。 [review][投票]
★2刑事グラハム 凍りついた欲望(1986/米)原作の美点を損ない俗化する単細胞的脚色。グレアム(ウィリアム・L・ピーターセン)が妙に熱い正義漢ぶりを見せて感情を露わにするのが鬱陶しい。彼を単純なマイホーム・パパに仕立てることで物語の安直化を図る根性が気に食わない。音楽が最低。 [review][投票]
★3しんぼる(2009/日)全く不条理ではない、明快な映画。松本人志演じる男と「しんぼる」との関わり方に、芸人としての松本の諧謔と欲望との混在した自画像を見てとることも可能かも知れないが、芸人としての彼について殆ど無知な僕には与り知らぬ所ではある。 [review][投票]
★1ラスト・ブラッド(2009/香港=仏=日=アルゼンチン)アクションは、どこかで観たようなシーンを些か安っぽく仕上げている程度とはいえ、頑張りは見える。尤も、そこにアリスとかいうバカ娘が喚きながら付きまとうせいで不快指数は上昇の一途。原作アニメのシンプルながらも厚みのある世界観の欠片も無い。 [review][投票]
★4小さな赤い花(2006/中国=伊)未だ一個の人として認められていない過渡期の存在として、小さな赤い花というノルマを課されて教育される子らは、人未満の奇妙な生き物のよう。夥しいベッドの並ぶ部屋をかなりの高所から捉えた俯瞰ショットの、「群れ」として蠢く幼児たち。 [review][投票]
★1蟹工船(2009/日)時代的制約を排そうとしたと思しきSF的な舞台設定ながらも、ロシアの極楽浄土的イメージは他の何かに置き換えることもない半端な作劇に萎える。寓話性や普遍性をいうのなら、古い時代が舞台でも構わない筈。半端な造形と脚色で全てが戯画と化した屑作品。 [review][投票]
★5ダーティハリー(1971/米)十字。銃。対象との「距離」と、それのゼロ化がもたらす倫理的緊張。 [review][投票]
★3死亡遊戯(1978/香港)ツギハギ編集で強引に死者を甦らそうとする、禁忌の人体練成の如きおぞましささえ漂う作品だが、メタ映画的仕掛けで自らを正当化させる工夫が面白い。リー自身が遺した格闘シーンへと観客を導く為の体裁を整えて曲がりなりにも完成させたこと自体は立派。 [review][投票]
★3アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン(2009/仏)画家フランシス・ベイコンへのオマージュを感じさせる映画。キリストの受難そのものに猟奇性を見るような倒錯した視点が面白い。が、テーマに対する切り込み方は物足りず、映像のインパクトのみで流され気味か。 [review][投票]
★2アルマズ・プロジェクト(2007/米)擬似ドキュメンタリーであることよりも、ノイズ混じりの映像の矢継ぎ早なカッティングで眩暈の感覚を演出することに傾きがちなPV的映像。曲がりなりにもプロットを追う箇所は物語的演出力の不足で退屈。そして人工重力という嘘くささ。[投票]
★3ゴダールのマリア(1984/英=スイス=仏)魂と肉体についての問答や、ゴダールらしい音の編集、どちらもこねくり回しているようでいてどこか単調。形而上的なテーマと日常性を容易く結合させてしまう手並みはさすがに鮮やか。 [review][投票]
★3県庁の星(2005/日)絶対二時間以内にまとめられる筈なのに、微妙に超過している不手際。無駄なカットが多い。ワンカットが無駄に長い。テレビドラマと違ってじっくり時間をかけられるのが嬉しかったのか何なのか。じっくり時間をかけて描くようなお話でもない。 [review][投票]
★3天国の日々(1978/米)台詞を排して画でドラマを描く演出が目立つ反面、やけに忙しなくカットが割られ、シーン間の時間の省略も頻繁。印象的なショットが幾つもあった筈なのだが、瞬間的な詩情以上のものには大して達しておらず、すぐさま記憶から蒸発する。 [review][投票]
★2リリイ・シュシュのすべて(2001/日)その曖昧さゆえに己が想いを投影し得るキーワード「エーテル」の海に漂う中二病的群像。「宇宙」とさえ等置される、妄想的信仰の空虚な中心としてのリリイ。 [review][投票]
★2プロデューサーズ(2005/米)脚本家、演出家、出演者、それぞれに最低な人材を集める過程は『七人の侍』風の「仲間集め」のワクワク感を醸し出すが、余分なシーンが多い反面、多様な最低人間の凝縮度が足りない。結果、肝心の「最低のミュージカル」の最低ぶりも半端なものに。 [review][投票]
★3ララピポ(2008/日)サイテーさがサイテーさとして昇華する映画。演出は戯画的だが、最も奇抜な、村上知子演じるキャラでさえも、普通に存在し得るような卑近さを有しているリアル。 [review][投票]
★3少年メリケンサック(2008/日)本作の宮崎あおいのキュートさは絶対的。彼女のキュートさのバリエーションを次々に見せていくのが映画の主眼のような状態。パンク映画という点では大して熱いモノを感じる話でもないが、少年的中年たちは、宮崎の少女的母性の触媒とはなっている。 [review][投票]
★4パリ、ジュテーム(2006/仏=独=リヒテンシュタイン=スイス)シャレた幻想空間としてのパリ。日常卑近の生活空間としてのパリ。どこにでもありそうな人生の断面がそこにもある場所としてのパリ。国籍不明な非現実的空間としてのパリ。観光地としての、皮肉なパリ。この多様性が見所。量が、多面体としての質をもたらす。 [review][投票]
★3ビューティフル・マインド(2001/米)精神の病を映画として描くことの有効性と困難。それは或る意味、映画的演出が上手くいっているが故のジレンマ。だが妻の存在が充分に演出されていたかといえば、これは普通に力不足。 [review][投票]
★3余命1ヶ月の花嫁(2009/日)比較的長尺なのは、ワンカットの長さによる。僅かな余命の一瞬一瞬を慈しむように持続するワンカット。発するべき言葉が出てこない時間や、ただ泣くことしか出来ない時間、そうした、効率的なカット割りなら切り捨てられるような時間を惜しむ編集。 [review][投票]