寒山拾得さんのコメント: 更新順
素晴らしい哉人生(1924/米) | ポーランド人はなんて苦労したのだろう。この苦労は、ドイツ人は忘れてもポーランド人は絶対忘れないのだろう。映画はそんななか、小さな幸せを綴ってIsn’t Life Wonderful?と呼びかける。肉屋の行列の件がすごい。 [review] | [投票] | |
巨人ゴーレム(1920/独) | 黒魔術の存在が肯定されるユダヤ人ゲットーの物語。センシティブな話で暗喩は難しく、どう観ていいのか戸惑わされる。カフカ以降の映画なのだからなおさらだ。自己批評を批評する権利があるのは当事者だけなのだろう。 [review] | [投票] | |
太陽の蓋(2016/日) | 菅当時首相側からの福島原発事故対応への弁明とテンコ盛りの東電批判。主張において『Fukushima 50』と一対なんだろうが、あなたメジャー館封切こなたマイナーという配置自体が現在の政治状況のトレースという感想。 [review] | [投票(1)] | |
i-新聞記者ドキュメント-(2019/日) | こういう文屋の反骨の成果がテレビでは殆ど流れなくなった現在、映画は記録する価値がある。社会部記者のドン・キホーテのような突撃取材は、政治部記者の大半のサラリーマン化と好一対を成している。 [review] | [投票] | |
この道(2019/日) | 北原白秋は「万歳ヒットラー・ユーゲント」(!)も作詞した戦争協力者。しかし本作は彼が国家主義に傾倒した期間をまるで検閲に引っかかったかのようにすっぽり省略し、しかし無視する訳ではなく周辺人物に嘆かせる。この珍しい作劇は何なのだろう。 [review] | [投票] | |
MINAMATA -ミナマタ-(2020/米=英) | 天才の優れた晩年の処し方と公害事件の典型を描いて堂々の出来。フォーエバー・ヤングが泣かせる。 [review] | [投票(1)] | |
太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男(2011/日) | 戦陣訓を相対化する籠城兵を描いて興味深いが、痒い所に手が届かず竹野内豊の格好いい大尉の話になっちゃった。日米軍事同盟の長期勤続表彰みたいでもある。狐と呼ばれては本人も形無しだろう。 [review] | [投票] | |
CURE/キュア(1997/日) | 当時の脳科学ブームからネタ拾ってきたのだろうが、リアルな症例より当然印象薄くなる。何十年にもわたってテレビでじゃんじゃん取り上げられているのだから、オカルトが「権力の弾圧受けた」なんてポーズも芳しくないだろう。 [review] | [投票(1)] | |
プライド・運命の瞬間〈とき〉(1998/日) | 『主戦場』で有名な加瀬英明が製作委員会代表の、基本は日本会議系列の生臭さ映画だが、東條が私は(米英には犯罪者ではないが)日本人には犯罪者と告白し、昭和天皇批判まで始まるのは驚き。1点加点。 [review] | [投票] | |
ホタル(2001/日) | 韓国との対話を模索した立派な作品。私はバイデンが大統領就任直後に戦中の日系人隔離について謝罪したとき、理性に寄り添う立派な人だと思った。本作の健さんもそうだ。謝罪は信頼に繋がる。田中裕子の可愛いお婆ちゃんがいい。 [review] | [投票] | |
スパイ・ゾルゲ(2003/日) | 意味が判らないのでこの監督のエッセイを読んだのだが、衒学的なだけで纏まりのない脱線連発でさらに混乱した。作風はもう映画もエッセイも区別ないのだろう。俺は色んなこと知っているんだと自慢するだけの床屋談義。 [review] | [投票(1)] | |
蕨野行〈わらびのこう〉(2003/日) | 姥捨てを個人的な感傷と感慨でだけ捉えており、それを被害と感ずる他者の存在など顧みない映画。一緒になって感動するのは難しい(含「イヴァン・イリイチの死」のネタバレ)。 [review] | [投票] | |
笑の大学(2004/日) | いい話だがパワー不足。役所広司は変わった検閲官でフツーはこんなに巧いこといかないヨという感想が沸いて仕方なかった。 [review] | [投票] | |
出口のない海(2006/日) | 過去の回天映画のパターンが踏襲され演出は淡泊だが、穿った描写もあり後発でも撮った意味はあるんだろう。「あゝ紅の血は燃ゆる」唄う上野樹里という倒錯感が記憶に残る。 [review] | [投票] | |
バルトの楽園〈がくえん〉(2006/日) | 良心的な映画で、『大いなる幻影』観て映画を志した世代はこういうの作りたかったのだろう。しかし昨今の「教科書に書かれていない」「いいこともした日本人」の文脈にすっぽり収まるキナ臭さは如何ともし難く。 [review] | [投票] | |
海賊とよばれた男(2016/日) | 小説からして史実とは相当違うらしく、それをあたかも史実のような話法で綴られると、映画はそれ相応に退屈になる。綴られるのは作者の非現実的な願望に過ぎないように見えてきてシラケるのだ。 [review] | [投票(1)] | |
・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・ JUST TWO OF US(1988/日) | バブルはバブルなりに人は苦労していたものだ。懐かしい古村比呂の似合わないキャリアウーマンがかわった味。話は平凡だけどちょっと好きな作品。 [review] | [投票] | |
式部物語(1990/日) | 教義ではなく性愛を求める奥田英二に仏教の顕教と密教を見ようとする新興宗教のカリカルチャーで、腑には落ちるが理に落ちた感もあり、やせ細った印象。豊穣さを批評したのだからそうなる道理で無い物ねだりかも知れないけど。 [review] | [投票] | |
ガラスのうさぎ(1979/日) | 有名な原作からの取捨選択がたぶんギコチないせいで、物語はゴツゴツした抑揚があるのだが、かえってそれが面白い。そして何度も機微に触れる描写が現れる。原作も読んでみたくなった。主演の娘蝦名由紀子が嵌り役で素晴らしい。 [review] | [投票] | |
恋する女たち(1986/日) | ツンケン尖んがったアイドル映画角川系。全員片想いの少女漫画らしい条件闘争で平凡な時間帯が長すぎるが、明るいレズビアンの小林聡美の件だけは突出していい。彼女に1点加点。 [review] | [投票(1)] |