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DSCHさんのコメント: 更新順

★4人狼 JIN-ROH(1999/日)無為な内輪もめと策謀と自己陶酔に包囲され閉塞する心。低く昏い空。虚ろな時代の暗黒の迷宮=地下水道で「赤ずきん」が流す「それでも、だからこそ愛しか寄る辺はないのに」というやるせなく苦い涙。このウエットな演出と独特の台詞回しには心の予期しない部分を突かれた。押井脚本の能書の空虚さ(本作については敢えてこの表現を使おう)はかえってベタな情感の反作用としててきめんに効を奏したと評価したい。 [review][投票(1)]
★5ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001/米)異常なほど緻密な空間構成と、意外なほど危なっかしいカメラワークの使いこなしの両立はキューブリック先生の再来かとすら思ってしまう。突き崩された積み木の家を元通りにしようとしたら元通りにならずに歪んでいるが、みな何となく微笑んで、それぞれが別の方向を向いているけど心は一つ。辛辣だけど、本当に真摯で優しい人間でなければこういう物語は作れない。この愛の寓話を完全な技巧に乗せた全てに拍手。 [review][投票(4)]
★3アイアンマン(2008/米)いかがわしくも愛嬌がありそれを凌駕して男臭くまた翻っていかがわしくも愛嬌があり・・・というロバート・ダウニーの奇跡的複雑に恵まれた風貌と演技を純粋に愉しむ。コイツは確かにスタアだと思います。グウィネスもこんなにキレイだったっけか、という驚愕の映りの良さですが、だからこそ、このキャスティングを外したらどうなったかと考えると夜も眠れません。 [review][投票(5)]
★3デンデラ(2011/日)因習の業の果て、冷炎の地獄(現世)に燃え上がる最後の炎。裁かれる「ヒト」、裁く「神」。血も涙もないカタストロフか、深遠なる神殺しのいずれに振れるかと期待を高める前半の構成は中々。境界を超越して真の闘士となる浅丘ルリ子の凛々しさもよい。秩序=倍賞美津子、破壊=草笛光子の寓意に溢れた対比的配置も効果的だが、だからこそ修羅としてのヒトと審判者の激突が不完全燃焼。神の見せ方が大人しすぎる。 [review][投票(2)]
★4バーン・アフター・リーディング(2008/米=英=仏)レビューする中身がない、と高評価するのが正解・・・と書くだけのつもりだったにも関わらず、やっぱりダラダラ書いちゃった。 [review][投票(1)]
★5ノーカントリー(2007/米)死神(運命)の冷酷な精度。 [review][投票(6)]
★5第9地区(2009/米=ニュージーランド)シャルト・コプリーが汚物にまみれながら全力で連発する"Fuck!"を全力で支持する。アラはこの際関係ない。ところでコプリーの台詞がほとんどアドリブって本当なのか? [review][投票(2)]
★5バリー・リンドン(1975/米)流石ですね先生。本当に意地悪。意地悪だなあ。珍しくちょっと優しいけど。ナイス。 [review][投票(3)]
★1スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃(2002/米)★1。ジャッジ終了、これにて閉廷!(判決趣旨1行) [review][投票]
★3ファンボーイズ(2008/米)このドタバタの果てに得られる成果が「アレ」か、と思うと何とも言えない無常感、寂寥感が漂うが、何とラストシーンはそんな私の心情に見事に応えてくれたのだった・・・ファンに媚びた作りに見えるが、ラストで笑えるかどうかがおそらく「真のファン」かを試される正念場。合掌。アンチな皆さんも騙されたと思って観てみて、観てみて! [review][投票]
★1スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス(1999/米)今更のようですが叩きます。20世紀末に生まれた「映画の不幸」の集大成。多分どなたかのレビューと被っていると思いますが、備忘録的に。ファン厳禁。※ 私はEP3とEP5(EP4は「心情的にはOK」)だけ好きという外道です・・・ってそれは普通の感覚なのかな? [review][投票(3)]
★5ほえる犬は噛まない(2000/韓国)団地という魔宮でしょうもなくも愛しい奴らが繰り広げる、ささいなようでそうでもない大冒険。ポン・ジュノは映画界屈指のいたずらっ子だ。『殺人の追憶』以降の暗澹たる「大上段」もいいが、天才的いたずらっ子の「原点」がここにある。「必殺ショット」の連打。「面」じゃなくて「小手」の連打。ペ・ドゥナの仏頂面とラストショットで失神寸前。『キル・ビル』のトラックスーツより断然私はイエローパーカを支持する! [review][投票(4)]
★4スター・ウォーズ 帝国の逆襲(1980/米)R2を狙えば銀河は征服出来る、というお話はさておき、人の生死に「痛み」と「血のにおい」を感じるのは以降エピソード3を待たなければならない。この一方でロボット漫才にシリーズ中最もキレがあり、アクションシーンも適度なスピード、質量感。ハリウッドらしい娯楽精神と適度な真摯さが同居して、嫌みなく安心して観ることができる。ヨーダ愛爆発。 [review][投票(1)]
★3子猫をお願い(2001/韓国)結局予定調和に着地する凡庸が、「自分探し」や「幸福」、「上昇」といった呪符とも呼ぶべき幻想に沈む青春の残酷を示すようで、どうにもひりひりと痛すぎる。下手に「幸せになろうぜ!」とか叫ばれるよりよっぽど真摯で好感が持てるが、こう客観的に思うのは私が当事者でなくなってしまった証でもあるようで、それがまた痛い・・・ [review][投票(2)]
★4好きだ、(2005/日)もどかしい想いが空に、風に、水に、夜に、吸い込まれる。それでも吸い込まれまいとするささやかな抗いがどうしようもなく優しくも切ない空気を生む。その「空気」が主役の映画。拡散する想いを一手に集めるろうそくの灯りが美しい。空気を醸し、捉える制作陣と役者に拍手。宮崎永作の必殺タッグに鼻血・・・ [review][投票(1)]
★5母なる証明(2009/韓国)ポン・ジュノはブレない。信念(母性)を嘲笑う息子(運命)。「笑い」について。『殺人の追憶』、『グエムル』を経て続く無常的運命論第3章。(左記二作とレビュー内容が一部重複し、重大なネタバレを含みます) [review][投票(3)]
★5殺人の追憶(2003/韓国)ポン・ジュノのテーマは明確だ。信念と怒りが別の不条理(時代や怪物)に阻まれて思い描いた威力を持って届かない悲劇や、あるいは結果や信念自体が変質してしまうといった「運命の不条理」と、抵抗の人間臭いもがきの力強さ、そして滑稽さだ。 [review][投票(5)]
★3レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―(2009/中国)猛将の大見得から国を挙げての玉砕模様に軸足をシフト。嘘臭さを肯定して出発した前編を何故か相対化する中途半端なシリアスがこれまた滑る。一貫せい。それでも決死戦の業火に挿入されるリー・チーリンの涙のおかげで冷酷な点数をつけられない・・・ [review][投票]
★3レッドクリフ PartI(2008/中国=香港=日=韓国=台湾)三國演義は魅力的な嘘臭さと単位の水増し感が肝なので、ワイヤーアクションなどのトンデモアクションとヒーロー乱舞は否定しない。しかし中華版スターウォーズとも呼ぶべき勧善懲悪と簡略に堕としたことで「正義」を相対化する今日的価値を喪失した。さらにエンタメの癖に曹魏陣営に魅力ゼロという不可解な凡ミスが重なる。さらに頭に来るのは・・・ [review][投票(1)]
★3パプリカ(2006/日)自己投影を自在に操り目まぐるしく変化する当事者のビジュアル、コケティッシュでレトロなバプリカの造詣と奇妙な恋、良心的範囲のエログロ描写、「たわごと」の筒井的ナンセンスの再現など、どこまでもそつなく成功しているが、まさにその八方美人的そつのなさがイメージを狭め、大傑作として昇華しない。微妙にショボい音楽と、アニメの威力を誇示するオモチャの乱舞のリピートがかえって邪魔をする。映画って難しい。 [review][投票]