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DSCHさんのコメント: 更新順

★4ダージリン急行(2007/米)線路という定められた道がありながら迷子になる急行列車。すぐ迷う、すぐ止まる、降ろされる。狭くて逃げられない。しかし、脱落したとしても荷を捨てて全力で追いすがる者達には優しい速度。そして列車(人生)は確実に前に進んでいく。 [review][投票(2)]
★2鉄男 THE BULLET MAN(2009/日)鉄男』と『AKIRA』を足して2で割り、世紀末を経た21世紀初頭という今、実写版で(あわてて)リメイク・・・した感じ。 [review][投票(1)]
★4鉄男 TETSUO(1989/日)無機物のグロテスクな有機感(濡れた鋼)。呼応しあう鉄と肉の怒号と交歓。「都市への怒り」→「強くなりたい」→「鉄と肉の融合(媾合)」という 短絡性が確信に結びつくとき、馬鹿馬鹿しい程のエネルギーが生まれ、鉄は肉に、肉は鉄になる「新世界」へ。ある都市論の可視化が鉄肉愛憎表裏一体 のセックスと戦いに至ったという力業。ぐちゃぐちゃだが一貫してる。タイトルからしてエッチ。御苦労。 [review][投票(3)]
★2皇帝ペンギン(2005/仏)あたかもフードを目深に被り項垂れた僧侶や求道者のような後ろ姿。峻烈な自然と対峙するペンギン達の行進(巡礼)の切り取り方に身を乗り出すが、あまりにも無粋な劇伴とナレーションの前に、全てが灰塵に帰する。アンチマスコット映画志向のストイックな撮影も過剰な編集で台無し。あまりに不幸なギャップ。見る者の感性を全く信用していないようだ。 [review][投票]
★3河童のクゥと夏休み(2007/日)露悪が極まればこそ希望も輝いていた。しかし原恵一は真面目な分何をするかわからない。抜き身の匕首を前に防御態勢を立て直す機を逸した私は怯え続けた。怖かった。 [review][投票]
★5気狂いピエロ(1965/仏)最強のアイドル映画。 [review][投票(4)]
★3M★A★S★H(1970/米)弱い犬ほどよく吠える。現実から自衛するために装備する「狂気と無感覚」の矛先が向かうのは外か内か。いずれにしても現実(戦争)は非現実と化し、狂気によってもたらされる「正気」が錯覚的「現実」を危うい次元で繋留する。この「弱さの実験」は流石で、悪ふざけのインフレに差し挟まれる手術シーンの軽口が崖っぷちの爪先立ち感を現出するが、手の内が分かった後も終始同テンポでは息苦しく、必ずしも巧くないのが★残★念★。 [review][投票(3)]
★4ターミネーター(1984/米)シュワの大根演技(誉め言葉)が稚拙な「人間ぽさ」を醸す時に、簡単に機械に模倣され還元されてしまう人間存在の危うさを呟いた押井のボサボサ髪が頭をよぎる。しかしそんな思念を容易くぶっ飛ばすビーンのどこまでも人間らしい汗臭さのコントラストが今なお熱い(ビーン万歳)。鋼鉄製のストーカーと漢とイモ姉ちゃんのSF三角関係。発想と単純化と突き詰めの執拗な反復と円環。そして「体液の作家」の真骨頂(か?) [review][投票(4)]
★4機動警察パトレイバー 劇場版(1989/日)「空洞」の映画。「ゾンビ」としての「レイバー(容器)+HOS(共同幻想)」=「眠れる人間」。繕われ、「意図的」に忘れ去られる「過去」からの落とし前。さよなら、「空洞のにっぽん」。そして「空洞」を埋めるのは・・・なんと「知恵と勇気!」 [review][投票]
★3バベル(2006/仏=米=メキシコ)いかにも大上段に振りかぶった表題と「風が吹けば何とやら」的な筋に、「”関係性”の罪と罰と救いの映画だよな」と念じつつ一生懸命目を凝らすも、つながりが半端で、そりゃ何もかもつながってるのも変だしこれがリアル志向なのかしら、となお血走った目を凝らすも、妙に美しいブランシェットピットのアスリート走り、菊地のガッツ、よく分からん撮影、底の浅い「異邦人」感等あらゆる違和感に幻惑され脱落した。 [review][投票(2)]
★4ミリオンダラー・ベイビー(2004/米)正しく教わり、正しく教える。正しく教え、正しく教わる。ただそれだけのことになぜこうも心を動かされるのか。今日その理由は明白。しかしその「正しさ」が一瞬揺らぐとき、全ての「正しさ」の意味が失われ、人は選択を迫られる。そして、これまでも「正しかった」のか。その「一瞬」のあまりの重さ。あまりに重くてゲンナリするが、覚悟の上で「真の正しさ」を追求するのが人生だとE親父に諭されたらグウの音も出ない。 [review][投票(4)]
★5機動警察パトレイバー2 the Movie(1993/日)「まどろみ」を越え、柘植の「テスト」を受けて立つ特車二課の闘い。文字通り理論ずくの「青」(蒼白=虚無=「睡魔」)から地下迷宮の戦闘シークエンスの「赤」に至る色調変化に固唾をのむ。そりゃもう素晴らしいです。 [review][投票(3)]
★5ライフ・アクアティック(2004/米)ウェス・アンダーソンの最も「個人的」な作品であり、それ故に2011年時点での最高傑作と評価していいだろう。「疑われた男」。血走った眼のズィスー(マーレイ)の拳銃が執念を貫くために火を吹く時、その顔がいくらトボけていようともその姿に監督が己を重ねていたとしても驚かない。そして、私はこの「照れまくる」男アンダーソンの「暴発」を最大限に支持する。「赤帽」のいかがわしさはかくして打ち砕かれる。 [review][投票(2)]
★3ワイルドバンチ(1969/米)正義も悪もなく埃と血と脂に塗れてのたうち回る無意味が今日的意味を失わず、むしろ輝いていることは言うまでもない。また、蠍と蟻の咬み合いの開幕に漂う只ならぬ禍々しさ、馬の転倒のスロー描写には涎が出るが、モノクロ静止カットの挿入のタイミングがグダグダになっていくのが象徴するように、演出も意外なほど失速している。「破滅の美学」に感心しない私には演出の焦点の定まらない様相は致命的。 [review][投票(1)]
★4チェンジリング(2008/米)世界よ。「当たり前」であれ。 [review][投票(2)]
★5羊たちの沈黙(1991/米)「視線」の物語。記憶の克服と絶対善へとクラリスをいざなう導師レクターの挑発的かつ透徹した眼差し。覚醒し人として存在意義を賭けて戦うクラリスの眼差し。それは「対決」ではない。「愛」の不可解な「共犯関係」。フジモトショアの職人仕事が低温かつ鋭い緊張感の屋台骨を支える。そして対置される「熱っぽい視線」。「熱」こそが人を動かす。それが善であるか悪であるかは問題ではなく。 [review][投票(5)]
★5ウエスタン(1969/米=伊)全てが是「演出」の映画。含意などほとんどどうでもいい。一つの頂点であることは間違いないだろう。圧倒的没入感。一種の自己陶酔映画の極致。これぞ娯楽映画。モリコーネの「演歌」は必聴。 [review][投票(7)]
★5ウォレスとグルミット、危機一髪!(1995/英)大逆転に次ぐ大逆転の鮮やかさ。ツッコミを許さない畳みかけるナンセンス。至上の音楽(シリーズ中で最も派手)。映画の歴史への敬意と批判精神。信じられないほどの完成度。作り手の「ウインク」の乱射に耐えきれず、心のハンカチがびしょ濡れです。必見。(reviewに再見して発見したネタについて追記。『ベーカリー街』まで観たコアファン向け。) [review][投票]
★5バッド・ルーテナント(2009/米)奇天烈極まりないケイジに対し、ある者は怪訝そうに曰く「何だお前?」。またある者は苦笑まじりに「面白え奴だな」。全くもって同感です。イグアナがチロチロと舌を出す感じで。終始そんな感じで。イタくて愉快な「人間失格」。 [review][投票(3)]
★4ミックマック(2009/仏)スクラップ製の悪戯で暴力をおちょくり倒すという心意気。ユーモアは世界を救う。「暴力はユーモアで軽く凌駕できる、むしろすべきだ、え?何かおかしい?」とでも言わんばかりの素朴な楽観的哲学を浅慮と見るか否かは自由。私はこの愛しき浅慮を肯定する。また、戦争被害を一言で「流れ弾」と示唆する導入が結構鋭い。「ジュネ主義的」なコミカル演出・撮影もクリーンヒット。世界観と矛盾しない。 [review][投票(3)]