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DSCHさんのコメント: 更新順

★4仁義なき戦い 広島死闘編(1973/日)肉と酒とタバコしか喰らってないのだろうなあ、という男のギラつきが物凄く、画面のエネルギーは前作をも凌ぐが、テーマ性も前作があってこそ、本作ならではのものがある。文太が後景にいるのは、物足りなさではなく、こういう味わいと感じるべき。戦後のイエ的悲劇から個人主義へ。これも一つの日本。 [review][投票(5)]
★2武器人間(2013/オランダ=米=チェコ)コンセプト画に唆られて観てしまったが、悉く悪い方向に予想を超えていく。冗談が真理を超える瞬間はない。ファウンド・フッテージの技法は演出・撮影下手の言い訳に過ぎず、クリーチャーも含め、まともなアクション演出はおよそ存在しないものと言っていい。もとよりZ級なので人造人間の悲哀など望むべくもない。この意味で、「フランケンシュタイン」を排した邦題は正解かもしれない。「ポッドマン」は哀しくて少し笑える。[投票(1)]
★4帰ってきたヒトラー(2015/独)「ヒトラー」は既に身近だということよりも、SNS、YouTubeのメディア双方向性時代に、誰もが軽薄な「ゲッベルス」になり得るということの提示が、時勢を踏まえて優れているのではないか。 歴史的文脈も踏まえず「一理ある」とヒトラーに共鳴する悪意なき「発信者」の跳梁にゾッとさせられる。選んだ時にはもう遅い。歴史は既に死んだ、という暗い感慨が残る。 [review][投票(4)]
★4ハードコア(2015/露=米)主観とパルクールの身体感覚は「ミラーズ・エッジ」の延長線上にあり、人造兵士の無我の悲哀や超能力者の介入は小島秀夫の影響下にある。何よりこれは18禁スーパーマリオだ。私は何の話をしてるんだ・・・と取り乱す程度にはゲーマー向け。しかしそうやって片付けるには惜しいほど面白い。バイオレンスの過激が周回してギャグに至るユーモア感覚がスパイスになっている。そしてスタントさん万歳である。 [review][投票]
★3フリー・ファイヤー(2016/英=仏)何がどうしてこんな目に、という当惑と自嘲の中でダラダラ行われる否応無しの殺し合い(ヨタ起因)。しかも中々死ねない。コーエンタランティーノ両先生が撮れば文学もしくは超級エンタメのこの題材、しかしここでは何か微妙としか言いようがない。アブないユーモアが光るコプリーと生真面目なキリアンのバランスが絶妙なブラックコメディ感を醸すだけにに惜しい。スコセッシ製作総指揮の意図は正直謎。[投票]
★4SUPER 8 スーパーエイト(2011/米)クソな大人の世界に純情で風穴を開け、ひょんな事件の破壊を経て再生に至り、少年達は大人になる。そして、世界はそこまでクソでもない。正直粗いが、コートニー&エルの突出が決定的で、マニュアル感から脱却。吸血もいいがメイクシーンのトキメキが最高でキュンキュンする。しかしタイトルの掘り下げは浅い。そこが悪い意味でスピルバーグ的。[投票(2)]
★4電人ザボーガー(2011/日)鼻が詰まったような主役の発声など開幕は微妙に感じたが、意外や業が業を呼ぶ骨太展開と、まともにやれば『ブレードランナー』もかくやという生命SFのモチーフに驚き。そしてまともにやらないという驚き。それが原作通りである(らしい)という更なる驚き。しかもどれも本気らしく、確信に満ちたバカのキレが良い分、職安等でのセルフツッコミが惜しい。もっと脇目も振らず突っ走るべきだった。柄本大先生が素晴らし過ぎる。[投票(1)]
★2ジョン・ウィック:チャプター2(2017/米)誰か「お家に帰るまでが暗殺です」と諫めてあげる人はいないのですか。戦略性皆無ならそれをカバーする正面突破の説得力もない、機械的なモグラ叩き。因果の鎖の物語に、思慮も覚悟も、カケラもない。 [review][投票(1)]
★2ジョン・ウィック(2014/米=カナダ=中国)身の丈なりに生身で頑張るのが健気だが、物語が求める水準と乖離しており不憫。伝説などと大上段に振りかぶっているが「腕が落ちてね」なる台詞が笑えない冗談に。コレがレジェンドなら『ザ・レイド』の下っ端などは何と評されるべきか想像もつかない。機知も非情さも飢えも乏しく、デフォーすら盆暗に描く無礼と下着姿で狙われるキアヌ、字幕強調のセンスの悪さなど呆然ポイント多数。車を用いた「格闘戦」は若干新鮮。[投票(2)]
★4スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け(2019/米)「俺たちの方が速い」「行くぜ、チューイ!ハッハッハァ!」・・・何という至福。もう色々どうでもよくなりました。これはたぶん志の低い映画です。うるさ方には噴飯モノでしょう。しかしそれでいいのだと思います。チューイが共にあらんことを。全ての亡き者たちのために。 [review][投票(7)]
★4イット・フォローズ(2014/米)子どもの頃、廊下の隅や電灯の付いていない部屋、鏡の奥が怖かった。多くの子どもが感じるだろうこの漠然とした、まだ何とも説明出来ないが、そこに在ることだけはわかる、死や闇に対する原初的で潜在的な恐怖。ナニとも説明されない「アレ」の象徴性の器を介して、これが呼び覚まされた。笑って観るつもりだったのに思いのほか怖くて狼狽した。トイレ怖くて行けない、、、 [review][投票(2)]
★3ドクター・スリープ(2019/米)あの禍々しい妖気が、邪気が視えないのだ。私の「輝き」が足りないからか?それとも、足りないのは・・・まさか、フォース? [review][投票(5)]
★4フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017/米)塗りたくられたペンキや建物の装飾、ジャム、シロップ、スプライト・・・これらが象徴する「甘さ」が、希望を偽装している。希望は嘘をつくことがあるが、絶望は嘘をつかない。でも、やはり嘘に縋らざるを得ないではないか。世界は偉人の水準で生きるわけにはいかないから(押井守)。 [review][投票(2)]
★4タクシードライバー(1976/米)「あなたは歩く矛盾ね」。きれいはきたない、きたないはきれい・・・矛盾を平然と同居させるトラヴィスのグロテスクな「正義」。ネオンの色のように、内実をよそに、その評価は移り変わる。昼と夜、陰と陽、聖と邪、善と悪、いずれもどちらが「裏」でも「表」でもなく、不眠症の熱で潤んだ瞳の中で、ぐちゃぐちゃに混濁していく。その混沌は「街そのもの」でもある。 [review][投票(6)]
★4万引き家族(2018/日)血縁という呪い、あるいは祝福。狭間を垣間見た佐々木みゆの眼差しの果てに何を見出すか。そのことに思いを馳せられるかが重要。 [review][投票(3)]
★2ターミネーター4(2009/米)「機械がプログラムで規定出来ない「エラー」としての人間性で逆襲する」あるいは「人間性とは何か」という、「らしい」熱さが意識はされるのだが、過程がすっ飛ばされ、アクションと感情がまるで噛み合わず、思い出したように説明するだけの寝惚けた作り。要するにエモくない。この時代設定で見たいのはこれではないという個人的思いもあり残念。鉄。鉄!鉄!!なビジュアルは良いが、アクションは貧しさの粉飾に終始する。 [review][投票]
★5ジョーカー(2019/米)徹底的に、執拗に繰り返される問い。Why are you so serious? あるいはWhat is so funny?「笑い」は混沌に突き落とされ、相対化され、脱構築される。彼を狂っていると言えるのか。なあ?笑えるだろ?「笑えよ。」 [review][投票(7)]
★3アイアムアヒーロー(2015/日)「一生に一度でも、誰かにとってのヒーローになりたい」というのも日本的病(やまい)である。日本ならではの『ゾンビ』をやる、という本家への批評、脱構築精神が意識的でないことが歯痒い(「嗤い」が足りない)。しかし、つべこべ言わずに病を所与のものとして、旧世界の死屍累々を踏みつけて押し切る清々しさも。大泉におんぶに抱っこだし、落し物も多すぎるのだが。[投票(1)]
★5ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019/米)たかが映画(嘘)、されど映画(嘘)。虚構の限界よりも、虚構への全幅の信頼。紛れも無い稀代の嘘つきらしい作品だが、タランティーノ先生も、今回は随分センチメンタル。年取ったのかな。 [review][投票(5)]
★4スリー・ビルボード(2017/米=英)世界には不条理と怒りが溢れている。その己の中の「怒り」を、ないことにするでもなく、捻じ曲げるでもなく、忘却するでもなく、あるがままに、飲み込み、「付き合っていく」。どんなに苦しく滑稽なあがきでも、望んだ結果を得られなくとも、そう生きていくほかない、ということか。 真摯な達観に至るロックウェルの表情が絶妙。 [review][投票(6)]