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煽尼采さんのコメント: 投票数順

★2Laundry〈ランドリー〉(2001/日)ぬるい。結構退屈。窪塚演じる純朴青年はいいとして、小雪演じる女も或る意味、彼と同じくらいに単純素朴なせいで、劇的な緊張感があまりに希薄。いかにも「書きました」といった調子の台詞に作為性が感じられるのも嫌。 [review][投票]
★2KIDS(2007/日)「マスク姿の栗山千明」――これは「ご飯にカレー」や「パンに餡子」などに匹敵する発明。その美貌の三大要素の内、大きく切れ長の目だけ残し、高い鼻梁と厚い唇が隠される事での、妙な魅力。映画自体は、オープニングから既に駄目。(原作にも言及→) [review][投票]
★4彼女を見ればわかること(2000/米)彼女を見れば――。赤いドレスと、赤い口紅。「見られる」事への願いとしての、赤。映画にとってもまた、赤はやはり特別な色だ。複数の物語であり、一つの物語。 [review][投票]
★4ウール100%(2005/日)時の編み直しじゃ。赤い毛糸もいつしか何か、血管でも編み上げているように見えてくる。少女が最初から始めようとする時間と、老姉妹が、文字通りに積み重ねてきた時間。 [review][投票]
★4昼下りの情事(1957/米)全篇に渡る、隙のない演出。太い眉毛や痩せぎすな体、吊りあがった目さえ妖精的なオードリーの愛らしさ。魅惑的な照明と、何より音楽の巧みな使い方!台詞なき脇役の、子犬や音楽隊も愉しい存在。 [review][投票]
★3フランケンシュタイン(1994/英=米)狙って撮ったのが見え見えな演出の生硬さや、逆に、もっと巧く撮るべき箇所の凡庸さが気になる。必要以上にやけに回転するカメラワークは何か面白い。凧も機械装置も大回転。クリーチャーの特殊メイクはそれ自体がなかなかに雄弁な表現。 [review][投票]
★4ブラッドシンプル(1985/米)99年の再編集版『ブラッドシンプル ザ・スリラー』で鑑賞。淫する、と言えるほどの、影と照明への意識性。筋立てとしては「齟齬と誤解による、交代と交換の劇」とか何とか言えばいいのだろうが、面白さはそこではなく、ただもう、光と影、光と影、光と影。[投票]
★3ブルース・リー 死亡の塔(1980/香港)逆に面白い。ブルース・リーの映画というよりは、「ブルース・リーの映画(笑)」という観。殆ど衝撃的なまでのツッコミ所の連続に、何か前衛性とすら錯覚しかける。 [review][投票]
★3ジキル&ハイド(1996/米)血、霧、悲鳴。研究室の、舞台美術風な造形。主演二人の、感情を封殺しようとするその、表情豊かな無表情の演技。役者は揃った、舞台は整った、だが演出にはもう一工夫欲しい。カラーで『ガス燈』をやれる天才がそう簡単にいる訳がないのは分かるが。 [review][投票]
★2変身(2005/日)爽やかである筈の場面にすら、不穏で薄気味悪い質感が。その上、三文芝居以下の幼稚な台詞の連続のせいで、役者の熱演も空しい。話自体は良い素材を持っているだけに、惜しまれる。 [review][投票]
★3ファクトリー・ガール(2006/米)無軌道さを軽薄に楽しみながら、中身の無い煌びやかさに耽溺していく連中のアーティストごっこが延々と続く前半に「クソ映画か?」と思いかけるが、徐々にその空虚さそのものが、一つのウォーホル論、映像論に結実していく展開に、納得。 [review][投票]
★3ジョシュア 悪を呼ぶ少年(2007/米)一つ屋根の下に暮らす事の恐ろしさを、かなりの程度、現実的に描いた、日常性ホラーの秀作。不協和音を響かせるピアノの音が、少年ジョシュアの神経質で気難しく、頭脳的な反面、衝動的でもある性格の暗喩として機能している。音と映像の編集も巧みなもの。 [review][投票]
★3フリーダムランド(2006/米)誘拐事件と人種問題が同時進行で描かれる事で、恰も左右の視差によって眼前の対象が立体視されるようにして、「他人から虐げられ、無視された者」の哀しみという主題が見えてくる。ブレンダの息子と同様に、ロレンゾが喘息持ちであるのも、その為だ。 [review][投票]
★3夏の嵐(1954/伊)暑苦しいまでの極彩色と、激しくも空虚な熱情。徹底的に背を向けるその背後から圧し掛かる、政治/歴史/社会。 [review][投票]
★2サウスバウンド(2007/日)侘び寂びテイストでアナーキー。反文部省推薦映画的、日教組推薦映画的。愉快そうに「ナンセンス!」と指を突き出す豊川悦司と、淡白で澱んだ演出の齟齬が醸す雰囲気が面白いと言えば面白いが、全篇退屈せずに観るにはショットの力が弱すぎる。 [review][投票]
★3ヒトラーの贋札(2007/オーストリア=独)夥しい靴音、犬の吠える声、工場の作業音、等々の騒々しさと、一瞬一瞬の出来事を追って動き回るカメラワーク。紙幣偽造の技術的な細部より、運不運が突然に一転するユダヤ人の運命の混沌ぶりに、観客の目と耳を呑み込むパワフルな演出が主眼の作品。 [review][投票]
★4わが幼少時代のポルト(2001/仏=ポルトガル)暗闇から指揮者のように記憶とイメージを誘導するオリヴェイラ。だがその肉声による語りは、記憶というものが、ただ私的な心象としてしか保存され得ない事、フィルムの到達し得ない彼岸の存在を示す。イメージの断片の再構成という、回想と創造の表裏一体性。 [review][投票]
★3ガンジー(1982/英=インド)挑発的で、戦略的で、ユーモリストで、融和的かつ、従順ならざる人、ガンジー。この人物が実在した事の驚異と、ベン・キングスレーの憑依的な演技だけで長丁場を持たせている映画。演出的には、致命的な過失を犯してはいないだけで、消極的かつ凡庸以下。 [review][投票]
★3スルース(2007/米)原作から、洒脱な遣り取りも、屋敷の豪奢さも、焦らすような緻密な頭脳戦も削ぎ落とし、二人の男の相乗的な情動の加速を抽出。ハロルド・ピンターらしい、解体構築的な脚色。(『探偵<スルース>』にも言及⇒) [review][投票]
★542丁目のワーニャ(1994/米)失意と倦怠の物語、『ワーニャ伯父さん』。それを活気ある現在進行形に転換する、ルイ・マル最後の力業。うち棄てられた劇場という、過去へ向かいつつある場所と、劇の準備という、不確定の未来へ向かう行為。対照的な時間の出逢いそのものがドラマだ。 [review][投票]