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shionoさんのコメント: 更新順

★3クローバーフィールド HAKAISHA(2008/米)素人ビデオを装っていながら、マスターショット一本の長回し移動撮影という技法は、カサヴェテスが撮ったパニック映画みたいでおもしろい。だがシナリオの弱さはいかんともしがたいところ。 [review][投票(12)]
★3守護神(2006/米)WOWOWで見たからということもあるが、暑苦しくなく、意外に楽しめた。『ダンス・ウィズ・ウルブス』のごとく、孤独な生き様と神秘主義の組み合わせが成功すると、コスナーはその本領を発揮する。師弟関係とトラウマはその見せ方がうまいし、カヤッカー救助のロケ撮影も迫力があった。世代交代の結末もさほど悪くない。[投票(1)]
★5ノーカントリー(2007/米)最高に面白い。コーエン兄弟は社会派ではないから、アントン・シガーの行動原則にキリスト教的原罪意識を絡ませたりしない。生粋のストーリーテラーというわけでもないので、物語を収束させることも嫌う。 [review][投票(22)]
★2マイ・ブルーベリー・ナイツ(2007/仏=中国=香港)アメリカで撮影してもアメリカ映画にはならないが、アメリカを選択した以上は、アメリカ映画(を咀嚼すること)を避けて通れないというのも事実。ウォン・カーウァイは植民地をやっている。大陸が描けていない。 [review][投票(8)]
★5グラインドハウス(2007/米)カルト的偏愛を装ったA級作品。かつて、映画が絵画や演劇からの影響を受けたように、ここには映画史直系のアイディアや興奮が詰まっている。オマージュの域を越え、これはこれでひとつの表現主義であり、映画的審美主義といっていいと思う。[投票]
★4天然コケッコー(2007/日)とりわけ前半部分にいいシーンが多い。初日下校時の移動ショットを始め、画面の手前と奥で同時進行する芝居のおもしろさ。魅力的な縦構図は橋、線路、トンネル以外にも随所に出てくる。 [review][投票(6)]
★2バンテージ・ポイント(2008/米)頭脳戦、心理劇を期待していた身には肩透かし。大統領視点の段階でご都合主義的展開に大きく失望し、残りを見るのが辛かった。上書きされていく「真実」とやらの意外性ひとつひとつに知性が感じられない。[投票(3)]
★54ヶ月、3週と2日(2007/ルーマニア)ヘヴィで緊張感溢れる体験型スリラー。描かれるのはとても個人的で短い時間の出来事であるが、ヒロインを中心として再構成されるその世界には、普遍的な人間の歴史が横たわっている。 [review][投票(9)]
★4奈緒子(2007/日)陸上部員役の新人俳優を始めとした魅力溢れるキャスト、ロケーション、撮影も申し分なく、あえて狙ったようなマンガチックな台詞の数々とのバランス感覚もまたおもしろい。 [review][投票(2)]
★5人のセックスを笑うな(2007/日)すべてのシーン、すべてのカットが映画的緊張感に溢れている。固定・引き・長回しカメラが全体の大部分を占め、その中で人物の動きのおもしろさを引き出していく人間観察の妙はさらに進化している。古典的映画技法は的確かつ厳密に実践してこそ意味があるし、またそのようにしてできた映画は、その脱力系のルックスとは別の次元で、実に力強く凛々しい。 [review][投票(9)]
★3やわらかい生活(2005/日)終盤、寺島が一人になってからの踏切でのショットなどはハッとさせられるし、ラストシーンの哀切も効いているのだが、喪失感の演出に必ずしも長尺が必要ではないだろう。寺島と豊川の二人のドラマを小さくまとめ、『ヴァイブレータ』姉妹編として成立させたらよかったのにと思う。[投票]
★3ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン(2005/米)伝記映画としてのスケールには乏しいが、演出家が役者の熱意を引き出していて、生きのいい若者の生態が描かれている。主人公寄りのパーソナルな物語を語るのがこの監督の持ち味だろう。一方、出来事の経緯を勝手に飛ばしてしまう傲慢さも見受けられる(特にテレンス・ハワード登場以降)。こういう省略の仕方は映画的ではなくテレビ的といえる。[投票]
★2フラガール(2006/日)郷土史から目を背けているから人間が空疎で、感動シーンで心が動かない。そういうつくりの映画だとしても、ストーリーテリングが適当すぎる。[投票(1)]
★4カンナさん大成功です!(2006/韓国)このプロットでこういう展開は韓国のオリジナリティといえる。個を主張しないヒロインの恋愛観と父親の存在は、保守的な国民性の現れであり、それがヒロインの肉体を借りて愛しいものとして昇華するクライマックスは、有無をいわせぬ泣かせどころだ。 [review][投票(3)]
★3アメリカン・ギャングスター(2007/米)アクションを抑えて人間関係で見せていく気概は買うし、終始退屈しない絵作りで満腹感もあるが、広げた枝葉を丹念に紡いでいく丁寧さに欠ける。 [review][投票(4)]
★3世界最速のインディアン(2005/米=ニュージーランド)方向性としてはファミリー向けのハートウォーミング路線で、序盤の奇人主人公の紹介エピソードは大甘だが、渡米してからは締まりが出る。旅先でのマイノリティとの交流を経て、ホプキンスのスピーチが乗ってくる後半は嫌味がなく素直に楽しめた。ソルトプレーンの景観も圧倒的だし、インディアン号もフォトジェニックなのだが、その撮り方はやや平凡。枯れたホプキンスのキャラクターも含め、中庸が魅力と言える良作だった。 [review][投票]
★528週後...(2007/英=スペイン)徹頭徹尾スリリングなアクション・ホラーにアドレナリン出っ放し。主要人物のヒロイックなキャラクターの、その感情の激しさに比例する壮絶な暴力描写に心がかき乱される。サバイバルアドベンチャーとして見ると距離的スケールの点でコンパクトであるが、随所に演出の工夫が施されていてテンションが減速しない。 [review][投票(4)]
★4ジェシー・ジェームズの暗殺(2007/米)同じ南北戦争後の時代を描いたフォードの『捜索者』などと比較すると、はるかに単純な語り口である。主要人物による会話劇と、シーン変わりに挿入される叙情的な風景ショット、要所に入るナレーションという構成で、とりわけ特殊効果による風景撮影はあざとくもあるのだが、なんといっても人物造形の豊かさ、濃密な芝居空間に漂う恐ろしいまでの緊張感は傑出している。すべてのキャストが非常に魅力的だ。[投票(3)]
★3それでもボクはやってない(2007/日)作り手の明確な目的意識が結実した作品として、その存在価値は大きい。広く世に問う告発目的というより、観客一人一人に感じて考えて欲しい、という監督の方向性が一貫して貫かれている。 [review][投票(1)]
★4魍魎の匣(2007/日)ビジネスモデルとしての「邦画」とは別の次元で創作された、映画人の気概を感じる良作。あらゆる部分に斬新さがあるが、最も成功しているのは人物造形だろう。俳優と配役が融合し、オリジナリティ溢れるキャラクターが生き生きと活動している。 [review][投票(1)]