★4 | ハンターキラー 潜航せよ(2018/英=中国=米) | 潜水艦とシールズを合体した手垢塗れのジャンル混合物だが、背骨に現場主義的ノンキャリ魂が図太く通ってベタを押し通す。この男たちは命を賭すことを厭わないだけでなく互いをとことん信じるし決して裏切らない。プロとは何かのアナログな回答が気持ちいい。 | [投票(3)] |
★3 | 美しき諍い女(1991/仏) | 一陣の風と共に登壇するベアールの映画的ケレンは事が始まると消失するのだが、只管続く素描接写と筆音がポージングをめぐる2人の軋轢と相関し何時しか快楽リズムが到来。そして、とどのつまりでドハッタリの煙に巻く。隠し味のバーキンが効いてる。 | [投票] |
★4 | ザ・バニシング 消失(1988/仏=オランダ) | 些細な日常の間断ない断片の隙間に挟まれる凶事と、ナンパが下手な快楽殺人者に訪れる一瞬の僥倖が明度の高いクリアな陽光下でシンクロする。往還する時制は鮮やかな一方で対峙のときは唐突に来る衒いない無骨。ただ正直この選択の顛末は無理筋ちゃうやろか。 | [投票(2)] |
★4 | 花と蛇(1974/日) | 監禁・調教といったこの種の題材には同期しかねるのだが、時代性ゆえに何だか笑える位にホノボノしてる。深みある色調で統御されたカメラをはじめ日活ロマンポルノ初期の技術水準の高さは瞠目せざるを得ない。そして何より谷ナオミの白きたおやかな豊満。 | [投票] |
★3 | 麻雀放浪記2020(2019/日) | 大して意味無さげな時制の往還は廉価な作りを曝け出し工の熱々しゃぶしゃぶ&目玉焼き素手喰いを激しく空転させる。そして又かのゲームと地下アイドルの矮小化された世界に収斂・閉塞される芸の無さ。安手のコピーに終始する演者の中ももだけは買い。 | [投票(1)] |
★2 | シャドー・フューリー(2001/日=米) | 戦争後遺症の冴えない野郎を主役にしちまったので、ただでさえ冴えない話が益々しみったれてしまった。船木のアクションは亜流の域を出ていず、下手なワイヤープレイに至っては最早ギャグ。カサンドラ嬢の侘びしき乳ピアスの哀感だけが心に沁みた。 | [投票] |
★5 | ROMA/ローマ(2018/メキシコ=米) | 映画のフォルムや時代設定に連関するギミックを縦横に駆使して厭らしいくらいに行き届いた60年代イタリア映画的な芳香。階級崩壊の予兆とノスタルジアは立ち位置の微妙を糊塗する。終盤の2つの顛末描写の圧倒的力業と女性賛歌の前に我々は平伏すしかない。 | [投票(2)] |
★4 | サマー・ナイト(1982/米) | どうでもいいよな1夜の狂騒を6人の登場人物で描くさして笑えぬアレン流艶笑劇シェイクピア風味。しかしウィリスのフィルターワークが完璧で黄金色の光に縁取られた真夏の避暑地が統御された世界を産み出している。とにもかくにも世界は全うされた。 | [投票] |
★2 | サンセット(2018/ハンガリー=仏) | 迷宮を創出すべくして捻り出された世界は内実を伴わないので、主人公が関わる外界は人も状況も返信不能の幻にすぎない。そういった形骸の物語をカメラの粘着的な追尾移動に託すのは、最悪の喰い合わせだ。時空を跳躍するラストのギミックは泥縄めいている。 | [投票] |
★4 | 座頭市物語(1962/日) | 歴史の伝承の片隅に記されただけの傑物たちのひとときの相克と共振。後のアクロバティックな市の居合いはまだ無く地味なリアリズムが全編に漂う虚無感を全うさせている。それを一方で負って立つ天知茂の傍流的な役者としての立ち位置がまた絶妙なのだ。 | [投票(2)] |
★4 | 悲しみは女だけに(1958/日) | 戦後の困窮時代とピカ残滓ある場所で家族は崩壊しつつある。差し込まれた異物絹代はギャグ寸前のズレを発散しつつ見守る立場なのだが、非難や嫌悪や傲慢の欠片もない菩薩のような慈愛を静かに発散し一家は軌道に戻る。新藤の理想化された姉への憧憬。 | [投票(1)] |
★3 | 悪魔の美しさ(1949/仏=伊) | 所詮は魔法によって得られた若さってのがどっかで引っ掛かる。主人公が自力で獲得したわけでない幸福は間抜けな悪魔のおかげで永続する。それでもミシェル・シモンの愛らしい因業親爺演技の素晴らしさは満喫できるし、終盤の畳み掛けはさすがに闊達だ。 | [投票(1)] |
★3 | 記者たち 衝撃と畏怖の真実(2017/米) | その事実を如何に流布させ暴虐を喰い止めるかが肝であるのに気づいてただけで安住する作りはオナニーにすぎない。ネオコンの我田引水は悪逆だが扇動された大衆も撃たれて然るべき。そのスタンスは及び腰。描くべきはその悔恨が現在のSNS隆盛に繋がる帰結。 | [投票(1)] |
★3 | 男たちの挽歌(1986/香港) | 信頼と裏切りや忍耐とブチ切れや落魄と成り上がりなど余りに単線メロウな展開が今ひとつクールじゃないしアクション編集も後のジョン・ウー作品の緻密と比べると未だ雑い。とっぽいユンファの煙草とグラサンが漸く板につく終盤の殴り込みこそ佳境だ。 | [投票] |
★4 | 月夜釜合戦(2017/日) | 街娼を描いて濡れ場がなくアングラ資本の介入に対し暴動もない。ただ、体裁に留まる釜争奪の合間を縫って行き遅れた街並みの寂寥が夏の夕暮れの淡い日差しのように滲み出す。16ミリのフィルム即物的な手触りの行間から細部が自走して空気が醸されるのだ。 | [投票] |
★3 | PiCNiC(1995/日) | 片隅で唱える終末の孤絶した世界観は蠱惑的ではあるが抽象化というかシンボライズが昇華し切れてなく青くて生硬。しかし、それを補って余りあるCHARAのラジオ音声めいた声と巻き舌喋りが鬱陶しい反面心地よくもあるという不可思議なアンビバレンツ。 | [投票] |
★3 | バンブルビー(2018/米) | 記憶障害で幼児退行したビーちゃんが記憶を取り戻すことが前戦への戦士としての復帰につながるジレンマは全くスルーされる無自覚の一方でフレモンのヘイリーキャラ付けはセンシティブ。であるならば黒人彼氏の恋人未満扱いこそ突き抜けて欲しかった。 | [投票] |
★3 | ギャンブル・プレイ(2003/英=仏=カナダ=アイルランド) | 骸骨めいたノルティと髪型不似合いのカリョの『ルパン三世』的共感は類型的だが、少なくとも前半に関しては『クライング・ゲーム』的裏街道ムードも多少は感じられた。しかし、うっちゃられたような最後はカタルシスの欠片も無く徒労感だけが残った。 | [投票] |
★5 | グリーンブック(2018/米) | 繭を出て辛苦の南部演奏を決意した彼の思いをとき解す旅路であり、その思いを知った男も変わる。『夜の大捜査線』の巧まざるリライトであるし上級のXマスムービー。演奏拒否の決断は酒場のセッション、雪夜のドライブを経てラスト彼女の至福の言葉に繋がる。 | [投票(4)] |
★4 | 1941(1979/米) | 本土襲撃の予兆に怯えるマスヒステリーが個々の挿話や人物群の連関の末大崩壊に至る構築になってないのでカタルシスがない。にしても分断された章内ではどえらい熱量を発散。ロス市内を戦車や戦闘機が縦走し観覧車は海に転がるイメージと我関せずの馬鹿踊り。 | [投票] |