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けにろんさんのコメント: 更新順

★3夕なぎ(1972/仏=伊)男2人の間で揺れ動く女心という骨子が3角関係の微妙な空気感に紛れていく。中年の地味な市井人の心の揺れ動きをハッタリズムを廃して叙情性を押し出し描くフランス映画の伝統的王道とも思わせる。煮え切らない主人公に感情移入は出来ないが、主題曲は良い。[投票]
★3鱒(1982/仏)女に翻弄され自壊する親爺の話が本筋のはずだが、ユペール東京不思議紀行が歪にオモロイのでカッセルモロー夫妻は味噌っかすで気の毒。終焉のあとの2人のリアリストの女に向ける視線のニヒリズムは詠嘆的だが何かが本当に語られたかは疑問だ。[投票]
★4ブラス・ターゲット(1978/米)大戦秘話として目新しいものではないが、ハフ演出が一貫してカットを細分化してテンポが抜群に良い。燻銀とも言えるカサベテスを主軸に添え、途中から絡んでくる殺し屋フォン・シドーも又拮抗し得る渋さ。スイスのシークェンスは篇中でも最高。[投票]
★4解放区(2014/日)引き籠りと西成がどう連関するのか進む方向暗中模索の挙句に転がっていく展開が予想外にゲスな自己を吐露していく自爆映画として虚実の狭間で揺蕩っている。ダメを演じてるのでなく本当にダメらしい奴がトランス状態で節理の境界を越える。兄弟はどこ行った?[投票(1)]
★2素晴らしき放浪者(1932/仏)片っ端から世の不文律を破壊し勝手気儘に物事を成せばアナーキーだとでも言うのだろうか。どれだけルノワール的な川と光で全篇が彩られていようとも、この親爺の生き様には快感も共感も得られない。何故なら破壊されるべき何物も呈示されていないから。[投票]
★3ゾンビ(1978/米=伊)扉が押しても引いても開かねーって屏風開きだったとかのSC各所の仕様取込みが脱マニュアルなリアルを付与。事態に対して何をどうすればという目処ない当て所なさが取り放題の刹那な悦びに紛れる。今いち怖くないゾンビの裏で人の悲しき業を描いてやまない。[投票(2)]
★2ザ・ロック(1996/米)ジャンル定形の要素を並べただけでオリジナリティゼロなのにしてやったりの大見得を切る。パターン化したマニュアル通りの作劇には心底ウンザリ。劣化AIが作った代物めいて馬鹿なりにでも破綻してみろと言いたくなる。役者も安牌が揃って何の面白味もない。[投票(1)]
★4スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け(2019/米)突出した見せ場に欠ける括る為の最終話だが、レイとレンの反目しながら同類相惹き合う嬉し恥ずかし要素が昇華形として顕現するライトセーバー転送の件は佳境。途絶えた血族の名前は外部の継承者によって伝承される。これはこれで夜明けに値する納得の結末だ。[投票(5)]
★2ペンデュラム 悪魔のふりこ(1990/米)完全無欠にB級映画な精神なのに中途半端に正統的美術とかがまともで演技もセーブしたりするもんだから戸惑う。もう少しはったりを効かせて欲しかった。制約下でまともに勝負しようとして塩垂れた押し花みたいな出来。肝心のギロチン振り子も大したことない。[投票]
★5殺さない彼と死なない彼女(2019/日)殺す死ぬを繰り返しつつ殺せない死ねない2人の内的宇宙に迫ったとは言えないが、それでも互いを希求する空気の醸成がハンパないので凄まじい至福感だ。並行する2挿話は可もなく不可もないレベルだが連関し急転する終盤の畳み掛けで巧緻な配置が明かされる。[投票(2)]
★4ファースト・ミッション(1985/香港)松竹新喜劇みたいなベタベタ展開がこの上なく泣かせる。そういう展開で溜めに溜めた挙げ句に炸裂するジャッキーのクンフー技がサモ・ハン演出の冴えもあり到達点とも言うべき切れの良さ。とにかく凄まじく速え!私的80年代ジャッキーの最高作。[投票]
★3怪盗ルパン(1957/仏)正体に感付く乃至は知っている女性たちに対し男たちは鈍感で、さすれば共有する秘事に対するトキメキが発生してもいいのに洒脱に欠けるラムールには荷が重い。後半で城内展開に終始するがエドワーズ的悪乗りもし損ねてキッチュな装置がスベっている。[投票]
★3リング0・バースデイ(2000/日)底知れぬ悪意の権化で何十年かに1度のジャパニーズホラー稀代のキャラ「貞子」の起源を安易な恋愛悲劇で絵解きされては困る。手堅い演出には好感を覚えるが、根っこでマーケットの希求と完全乖離してる。理に落ちる共感は真の恐怖を希釈し遠ざけてしまう。[投票]
★5マリッジ・ストーリー(2019/米)纏う体裁が裁判の交渉論理の前に崩れ落ち本音が露呈される。そこに至る過程が過去時制を極力廃し進行形事象で畳み込まれチャレンジング。内省的とも言える夫婦2人を外堀から埋める作り込みギリの弁護士2人も好コラボを形成。致命的じゃないのが余韻を残す。[投票(4)]
★3ホーム・アローン 2(1992/米)1作目未見なので比較しようがないが、舞台を家から都市に広げてグレードアップしたが創意は減衰したのだろう。手堅く出来た映画とは思う。しかし、小生意気なガキ俳優に大の大人がケチョンケチョンにやられる展開が虚実を超えて不快な本質を滲み出させる。[投票]
★3屍人荘の殺人(2019/日)学園ミステリーの緩い体裁を、あっち方向からの荒技で混濁するのだがジャンルに対する覚悟がないので舐めてる感しか残らない。それでも浜辺の悪球を好捕し続ける神木といった危うい均衡が映画を一応牽引。本線の学内ヒエラルキーネタはうんざりだ。[投票(3)]
★4砂の器(1974/日)ローカルネタを徹底解題する清張文脈を炎天下を背広を脱いで歩き回る刑事の汗と歩行のリアルで担保する橋本イズム。その若干のマンネリが大浪花節の一大ページェントに大梶を切る。すれすれ勝負だが年間を通したロケの厚みが半端なく無茶を押し通す。[投票(1)]
★4決算!忠臣蔵(2019/日)松の廊下も討ち入りも廃し起結を欠いた頼りなさだが疑心暗鬼のモヤモヤは放蕩し放題のバカが苦労人集団の勘定方を駆逐するの図に置換される。立ちキャラ満載でドライブがかかった流れは、しかし定められた終焉に向かうしかない。想外の運命の過酷が立ち昇る。[投票(2)]
★3二頭女 影の映画(1977/日)寺山の短篇中でも鈴木達夫撮影とJ・A・シーザー音楽が高度に補完し合った世界観が達成されたものだとは思うが、あまりに『田園に死す』的ラストを含め結局のところ自己模倣に捕らわれたものでしかない。コンセプトも解り良すぎでつまらない。[投票]
★3国家が破産する日(2018/韓国)意欲的な題材選択とは思うのだが、自主再建派とIMF介入を推す勢力の攻防が明から様な善悪論で処理され介入無くばの推察のない我田引水論を尤もらしく説かれてもと思う。滅びに賭け巨利を得る投機家のリアリズムも具体性を欠き町工場の挿話は情緒的過ぎる。[投票(1)]