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★3清作の妻(1965/日)これが「アダムとイヴ」の話であることは明らか。楽園から追放される二人。そこから始まる新しい歴史。増村は戦後の日本映画において稀有な個性の持ち主だった、と改めて思う― [review][投票(5)]
★3大魔神(1966/日)高度経済成長にあぶれた人々のルサンチマンをインテリとは真逆の地点から救済しようとすればこうなるのだろう。奥行と落差のあるセットや森の木漏れ日が素晴らしく、高田美和も可愛い。[投票(3)]
★3サンダーボルト(1974/米)眉をくいと上げて「まさかそんな話はなかろうぜ」てな顔をしつつ、ヌケヌケとお伽話(赤い内装のキャデラック!)を演じるイーストウッド。そのロマン主義はぶ厚いコンクリをも貫くのだ。[投票(3)]
★3キル・ビル(2003/米=日)頭の悪い中学生の描いたマンガのよう。これ見よがしの白痴的展開はイモなハリウッド大作への揶揄。B級ディレッタント趣味。耽美派ならぬ耽B派。幼稚だなあと思いつつ、結構楽しんだ。[投票(3)]
★3黄金の七人(1965/伊)「教授」の醒めた眼差しに宿る深い倦怠。スマートに、機知を利かせた強奪計画。音楽も、ヒロインも空疎でゴージャス。クソ真面目は避けなければならない。大事なのは「遊び」なのだ。[投票(3)]
★3悪い奴ほどよく眠る(1960/日)現代が舞台なのにまるで時代劇。増村保造のような、高度成長期の世相を善悪を超えた視点から描いた同時代の監督と比べれば、黒澤の勧善懲悪ドラマは上滑りと言うしかない。[投票(3)]
★3君の名は(1953/日)こんなものに熱狂していた昭和の女性はバカだったのかと怪しまれるが、意外におもしろくもあって困る。ぜんぜん周りが見えていない二人を軸に、ムチャクチャな展開の連続。嫁姑戦争も俗悪だとは思うが目を離せない。これでもかの被虐性が妙な快感をすら呼ぶ。[投票(2)]
★3ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023/米)もう千恵蔵・右太衛門みたいなものだろう。何をやってもなんか可笑しい。走っているだけで可笑しい。どこぞで見たような話で、大金をかけているとはいえプログラム・ピクチャーの類なのだが、やっぱり見せる。鉄道のシーンをはじめ「活動写真」の楽しさ満載。[投票(2)]
★3893愚連隊(1966/日)ふつうなら雑魚扱いの連中を主役にすえるのは、当時、一世を風靡した仁侠映画のヒロイズムへの拒絶・軽蔑なのだろう。そこは買いたいが、ケチくさいものはやっぱりケチくさいので困ってしまう。五条楽園をはじめ、場末の京都の60年代の姿を見られるのは貴重。[投票(2)]
★3シン・仮面ライダー(2023/日)格好いいのは着ているコートだけという困ったヒーローもの。虫になってしまったヘンな人たちがなんだか舞い踊っている、という印象をうける。「シン」と題うつほど突き付けてくるものも感じない。トンネルの場面は目玉しか見えず、ハエの観察をしている気分。[投票(2)]
★3ウディ・アレンの夢と犯罪(2007/米=英=仏)俗物老人アレンの全然身に沁みない教訓話、または中流階級のための見栄講座。車や服や恋人やらの如何にもな感じが嫌みでよい。兄弟を翻弄する金持ちの伯父が恐ろしくダサいのも意地悪。[投票(2)]
★3渚にて(1959/米)人類滅亡を描くには50年代ハリウッドは善良すぎる。誰もが紳士淑女の範疇に留まる中、ガードナーだけは翳りのある美しさが「悪」と「悔恨」を感じさせ、故にこれは彼女の映画となった。[投票(2)]
★3インビクタス 負けざる者たち(2009/米)過去の受難は遺跡と化し、奇跡と恩寵のみがある。イーストウッドは前作で堂々の殉教を遂げ、故にこの南アフリカは地上の国ではないのだ。…しかし天国とは意外に退屈な場所ではある。[投票(2)]
★3ラブホテル(1985/日)この映画の登場人物はみな病気である。故にゆきずりの形でしか繋がれない。行き場を失った情熱は超現実の吹雪となって爆発する。それは最も美しい「鬱」の描写ではなかろうか。[投票(2)]
★3バーン・アフター・リーディング(2008/米=英=仏)賢いCIA分析官のための5ヵ条>>1.裏の裏まで読め。その裏も読め。2.バカそうな奴ほど怪しい。しかし本物のバカかもしれぬ。3.女に気を許すな。4.酒は友達。5.意味など考えるな。[投票(2)]
★3ショーガール(1995/米)ヴァーホーヴェンは荒野をゆく。私達が純真を守るためには戦いが必須であるから。そして戦いとは常に下種なものなのだ。ゲロの街に掲げられた聖戦の旗。そこには染み一つ無い。[投票(2)]
★3楊貴妃(1955/日)アメリカ的グラマーではなく東洋的豊満。桃のように妖艶。それでいて侵し難い気品。出来が悪いのは、京マチ子の美しさにさすがの溝口も呑まれてしまったから、と解釈してあげたい。[投票(2)]
★3歌行燈(1943/日)鶴八鶴次郎』の闊達さは何処へやら。戦時だからなのか変に堅苦しい。それでも、障子の桟や二階の手摺の幾何学模様、松原の木洩れ陽のシュールさ、等など細部はさすがの美しさ。[投票(2)]
★3めし(1951/日)成瀬らしい憂鬱なホームドラマ。色でいえばグレーなのだが、不思議にカラフルな印象。様々なグレーの微妙な描き分けと、それらの巧みな組み合わせによる階調こそ、成瀬の魅力。[投票(2)]
★3馬(1941/日)カラーで観たかった(とくに初夏の野外ロケ)。ゆったりした低音部のある音楽を思わせる力強さ。藁と土のにおい。新旧入れ替わる命の厳粛。デコちゃんは野性味があっていいと思うが、真の主人公は東北の風土だろう。散見されるクドい演出に黒澤の影を感じた。[投票(1)]