コメンテータ
ランキング
HELP

disjunctiveさんのコメント: 投票数順

★3ブルックリン(2015/アイルランド=英=カナダ)女が男の選択に当たって甲乙つけ難い状況に至ったとき、それは成り行きで決まりかねない。女性心理を観察するこの物語はかかる事態を偶然の戦慄として捉える。 [review][投票(4)]
★3マジック・イン・ムーンライト(2014/米=英)エマ・ストーンのオッサン殺しが板についている。恋愛一般がそうであるように本音が見えない点が狂おしくさせる反面、あまりにもそれが見えないために、ようやく本音が出てもそれを本音だとは信用できない。 [review][投票(4)]
★4地獄でなぜ悪い(2013/日)現代邦画らしい、受け手のリテラシーをまるで信用しない回想説明の冗長さは、いつかしか、本来の目的とは逆行して、現実とマンガの境界を曖昧にする。つまり、これは、人が死ぬことができる世界なのか? 死の信憑性の薄さは、フィクションの非実用性を含意する。 [review][投票(4)]
★3ゼロ・ダーク・サーティ(2012/米)作戦を実行するのはDEVGRUのオッサンらである。その作戦の決行を判断するのもオッサンたちだ。これはマヤがいなくとも成立する話である。少なくともそう見せてしまう。そこに語り手が抱える人生の課題が痛切に表現されている。 [review][投票(4)]
★3ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012/日)冒頭の奪回戦では、受け手の感傷と劇中のアクションがリンクしない。劇中の人間には目的がある。わたしたちは、その目的やキャラの人間性に共感して初めて、活劇を自分のものとして把握できるのだが、この場面では、共感の手掛かりとなるような情報が開示されない。 [review][投票(4)]
★4ミッション:8ミニッツ(2011/米)ループを能動的に使っても問題は残る。トライ&エラーが人生の希少性を損ないかねないし、アクティビティが情報開示の過程を恣意的に見せてしまうかもしれない。つまり永遠そのものの圧迫が形を変えて現れる。 [review][投票(4)]
★4それでも恋するバルセロナ(2008/スペイン=米)忽然とするヨハンソンの顔芸に天然キャラへの嘲笑が含意されるかと思えば、やがて天然であるからこそ果たせる役割が見出される。こうした配慮がイヤミにならず、類型で受けを狙った個々の造形は生きた人間として語り直される。えらいものだと思う。[投票(4)]
★3ハート・ロッカー(2008/米)発汗とか唾液とか、体液への興味を充足させるアイテム(ストロー、カートリッジ)の強引な使い方がフェチを煽る所もあって、寄りがちな画面も生理的な興味と解せばCQBの誤魔化しとばかりは言えない。しかし雨樋を滴る水まで粘性を獲得するのは露悪的か。[投票(4)]
★4害虫(2002/日)おお、あおい。俺のあおい。宇宙でもっとも希少でねたましい生命体あおい。[投票(4)]
★4トキワ荘の青春(1996/日)独身男の几帳面な生活が四畳半を兵舎化して、キューブリック美術のように廊下が独房のシンメトリーとなる。 [review][投票(3)]
★4ヴァイブレータ(2003/日)顔だけを見ていれば、寺島の乱脈に大森は引いている。実際は彼の表情は感情に対応していない。能面のように受け手の心象を反映するにすぎない。 [review][投票(3)]
★4のぼる小寺さん(2020/日)工藤遥は個人主義のイデオローグであり、周囲が感化を受けて奮起するのは機序が少々怪しい。工藤自身は自分が頑張っているとは思わないから、終盤のユースは盛り上がらない。前段階たる卓球とネイルや工藤の個人主義を翻案する部活の先輩らに喚起の力がある。[投票(3)]
★437セカンズ(2019/日=米)紙媒体になぜこだわったのか。同人サイトを経由するのが普通だろう。雑誌がイベントの起点になるから前提の弱さが以降の尤もらしさを損なう。またヒロインには才能も度胸もあり最初から完成されている。自分の中には課題がないから自分探しは外へ向かう。 [review][投票(3)]
★4佐々木、イン、マイマイン(2020/日)佐々木が芸の肥やしにされた。この印象は視点整理の失敗に起因すると思う。佐々木が独りだけの場面が方々にあり、彼の内面が暴露している。これは話の趣意からすれば叙述エラーだろう。被害者面の競い合いになりかねないからだ。 [review][投票(3)]
★4ギャングース(2018/日)話がでかくなると序盤のタタキの精度を維持できなくなり、半グレの三下の情態を細密に叙述する演出家の資質は、階層を上るにつれて人物の細部を取りこぼし、マクロスケールの敵を見失う。が... [review][投票(3)]
★4リンダ リンダ リンダ(2005/日)青春の最大瞬間風速がゼロ年代の景物の中に呈示されるノスタルジーの混線。どこにもないこの世界の異様な文化的集積度が筋を郷愁の呪いから解放する。序盤で軽音部の部室として具現したそれは、前座の喜劇のような歌唱力へと飛躍し体育館を異空間とする。 [review][投票(3)]
★4冷たい熱帯魚(2010/日)人間解体の徒労感が、頑張りには内容が問われないと訴える。オスの成長という強迫観念にとって、内容や結果が問われないことは救いになるはずだが、一人前になった男が内容のなさに憑依されることで、物語は無内容を非難する。ところが、 [review][投票(3)]
★4女と男の観覧車(2017/米)場末が場末になりきれない極彩色の地獄が歪ませる空間感覚。緊張の幕間に火遊びをして釣りをやるオフビートで歪む時間感覚。時空からの疎外された人間の荒廃した境遇を作者は観察するだけだが、詠嘆が叙景で代替されるに及んで視点だけは50年代時空を回収。[投票(3)]
★4翔んだカップル(1980/日)同棲が終わっただけでは失恋にならない。裏切りから抽出された哀感が流用されて失恋の強烈な愁訴をもたらすのである。 [review][投票(3)]
★4ションベン・ライダー(1983/日)おそらく映像の文法と脚本にズレがある。台詞と挙措の長さがリンクしない。会話が終わっても挙措が完了せず無意味な間が出来かねない。間を持たせるために、つまり台詞と身振りを逢着させるべく、役者はキートン的スタントに没入する。 [review][投票(3)]