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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★4裸の島(1960/日)乙羽信子の給水スリラーを成り立たせるのは、期間工のような挙動で畑に注水する殿山の生産性パラノイアである。 [review][投票(2)]
★4スパイナルタップ(1984/米)状況の裏付けのなさに由来する笑いが、迷路のようなバックステージをさまよううちに、80年代を文化的閉塞物として捕捉する。批評精神の発揮は、終わろうとする幼年期の古典的な辛みによって状況を迂遠に裏付け、 [review][投票]
★4セイント・フランシス(2019/米)同情と共感に誘導する技法は共通の敵を次々と投入し好悪の間合いを操作する。外敵は常にマウントや政治を抑えきれない類型的な姿で襲いかかる。観念に対抗し和解を促すのは、尿漏れや生理といった器質の圧である。 [review][投票]
★4破れ太鼓(1949/日)経済の利害は時代を越えるために、阪妻の辛みだけが伝わってくる。彼の人生に話が帰着するに及んで、辛みは逆流して阪妻は昭和のモラルを越えていく。彼は女中の病気に偏見を持たないのだ。 [review][投票]
★4恋は光(2022/日)男の幸せを願う女は文系の邪念から男を救うのだが、自分は恋と憐憫の区別をつけられなくなる。そこに端を発する恋の光が見えない問題を物語自体は把握していない。 [review][投票]
★4波止場(1954/米)パンチドランクによって言語化できなくなったストレスとは何か。牧師たちの尽力で発見された去勢された男の失意は克服されるどころか、波止場の男たちに遍く感染し、リー・J・コッブすら荷主に頭が上がらなくなる。食物連鎖の非情な構造が辛みを汎化する。[投票(1)]
★4ブルー・バイユー(2020/米)犯罪に飛躍しても大して重大視されない時点で社会小説として終わっている。出生の起源に向かう高揚や元夫の変貌を軸としたオッサンたちの連帯といった劇画ならではの展開は、娘を男たちの世界への闖入者に見せてしまい、社会批評とは真っ向から対立する。 [review][投票]
★4陽のあたる坂道(1958/日)千田是也一家の気持ちの悪さが一個の怪物を育んだ。これに自覚的な物語は、クズ情報の開示が始まれば、小高雄二の長い顎に難なくサイコ的風采を付与する。サイコとの遭遇という受け手にも共有できるリスクが三角関係のハラハラを充実させる。[投票]
★4カインド・ハート(1949/英)ことごとく後継者が資質を欠くとなれば、デニス・プライスの性能ならば企みを画さなくとも自ずと機は熟したと思われる。後継者たちの個性を誇張する苛烈なメリトクラシーは、能力を当人から自律させ発揮させずにはいられない。 [review][投票]
★4ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023/米)全編に立ちこめる霧のような感傷はドニーの扮装に由来するノスタルジーにすぎないのか。体のキレが人々から貫録を奪い続け、氷結した時空に成熟を見失った男たちは大階段を上っては転げ落ちる。 [review][投票]
★4さがす(2022/日)犯罪扶助の動機には佐藤二朗と清水尋也の両者に一定の合理性はある。にもかかわらず、残る違和感は何なのか。伊東蒼と清水の遭遇は偶然ではなかったのだが、偶然の印象は去りそうもない。 [review][投票(2)]
★4煙突の見える場所(1953/日)時折爆発するホームドラマには場違いなレイアウト主義の冷たさは関千恵子や田中春男ら境界人を容赦なく怪物にする。劇画化は育児ストレスとの混線に過ぎないにしても、赤ん坊は淡々と大人たちの愛欲を交通整理し高峰と芥川比呂志をラヴコメになだれ込ませる[投票]
★4カモン カモン(2021/米)ホアキンの取り組む課題が甥のやや特異な性格に根差すのなら状況を普遍化できないが、作中で最も予後の不安な健康問題が発火するのは意外な場所である。 [review][投票]
★4THE FIRST SLAM DUNK(2022/日)微細な日常芝居をやると、レタッチという名の人力シェーディングの質感がリアリズムのモーションと相容れなくなる。アニメ屋はリソースに不足してモーションに支配を及ぼせず、 [review][投票]
★4怪物(2023/日)大人たちのストレスを捕捉し、モブの女子児童にことごとく成熟した挙措を取らせるのは、それ自体がすでに安藤の家族観に汚染されている類型的な価値観である。 [review][投票(1)]
★3リボルバー・リリー(2023/日)演者の性質に品質を左右される叙体の素直さが、古川琴音に少年が絡むと性欲の悩ましさを的確に抽出し、この感性こそ亡夫を筋の支点に据えるのだが、彼の正体はトヨエツなのである。 [review][投票(1)]
★3一度も撃ってません(2019/日)立場上、常に筋の発火点となる岸部の周りにイベントが堆積するばかりで、石橋は岸部と実際にリスクを負う妻夫木に寄生しその間で埋没している。 [review][投票(1)]
★4アンドレイ・ルブリョフ(1967/露)技術職の生来的な劣等感が社会的敗戦によって励起した。ストレスとは絶縁した意識のない動物たちとニコニコなタタールらがストレスを鋳造する鋳型となり、管理職の修羅場をエスカレーションさせる。 [review][投票]
★3太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男(2011/日)収容所と自在に内通する段階に至っては竹野内豊は目的を見失っている。当人に考えがないから米側は尻尾をつかめなくなる。異質の叙体を統合するディレクションの不在はこの失調の原因なのか結果なのか。 [review][投票]
★3ガンパウダー・ミルクシェイク(2021/仏=独=米)女権に下駄を履かせる便利図書館と非武装ダイナーは集団的母性で子どもたちを拘引する。3世代に渡る犯罪者の再生産は孤立する父権による相対化を一蹴して児相案件の範疇を越えていく[投票(2)]