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[コメント] 鳥(1963/米)

「そんなバカな」を映画にする勇気と力量
ペンクロフ

まず、こんなアホな話で映画をホントに作ってしまうヒッチコックの勇気を絶賛したい。鳥が人を襲う! 理由は知らない! ・・・そんなものが映画になりうるなんて、当時誰も思っていなかったはずだ。「今度のオレの映画さー、突然鳥が人を襲いはじめるんだよ。怖いだろ?」「なんで鳥が人を襲うんだ?」「・・・さあ・・・」という会話を、いったいヒッチコックは何度繰り返したのだろう? いきなり鳥が人間を襲いはじめる理由を映画の中で語らないことは、当時としては画期的であり前衛的であり、有体に言えば正気の沙汰ではなかったはずだ。しかしこの映画は無数の追随者を生み、結果「動物パニック」は数多くの傑作と駄作を生み出す巨大ジャンルになった。

そして、こんなアホな話で本当に本当に怖い怖い映画を作り上げたヒッチコックの力量が凄い。いちいちそのスゴ腕ぶりを書いていたら、キリがないほどだ。晶文社が出してる「ヒッチコック/トリュフォー 映画術」という、晩年のヒッチコックと若きトリュフォーが面白トークをくりひろげる有名な本があります。この本の中で、ヒッチコックがその「ものの見せ方の技術」を語っています。面白さは保証しますから、興味のある方は是非読んでください。『』をはじめ様々な映画において、彼がいかに抜かりなく周到に観客の心理を誘導しているか、よくわかりますよ。

(評価:★5)

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