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[コメント] ゴジラ FINAL WARS(2004/日)

ゴジラが出てきてからちょっとテンション下がったね、このドン・フライ映画。
Myurakz

 最初にお詫びさせてください。そもそも僕なんか、堂々とゴジラについて語れるような知識や経験など、何も持ち合わせておりません。子供の頃にそれなりに楽しみ、それなりに通過してきたって程度の男です。ただですね、僕はこの映画の主人公、ドン・フライに関してはガッチリと語ることができるのですよ。そしてこの作品は、それほどまでにドン・フライの漢汁(おとこじる)満タンの映画だったのです。

 そもそもこのフライという男はですね、あのアントニオ猪木の引退試合の相手を務めているのです。時は平成10年4月4日、東京ドームでのことですよ。猪木の引退試合の相手を決めるトーナメントがありまして、優勝者はその日のメインイベントで猪木と戦えることになっていたわけです。強者どもが群れなす中、優勝の本命は猪木の愛弟子小川直也。観客は当然の如く小川が優勝して、メインで師匠越えを果たすものと期待をしていたのです。「猪木の介錯をしてやってくれ!」「あぁ、でも猪木には最後まで強いままでいて欲しい」。

 そんな小川との決勝戦でですね、このドン・フライはレフェリーに隠れた反則ファイトでKO勝利してしまったのです。公式発表7万の観衆が全員揃って大ブーイング。それに一向に怯むことなく、むしろ悪態をつくフライ。場内の憎しみは一挙に彼に注がれます。そこへ猪木の登場ですよ。7万の観客が全員揃って「イーノーキ!イーノーキ!」ですよ。しかしフライは引きません。何と猪木に向かっても尚反則ファイトを繰り広げたのです!何て奴だ!逆上してフライを叩きのめす猪木。ここで初めて逃げまどうフライ。大観衆の熱狂と陶酔。東京ドームは「ドン・フライvs猪木+観衆」という異常な興奮状態から、遂には「猪木激勝」という全員一致のハッピーエンドを迎えるに至ったのです。

 つまりこのフライという男は、既に今から6年も前に「1対70,001(内1人猪木)」というあり得ないハンディキャップ・マッチを戦っていたのです。いや、自らその空間を背負って立っていたのです。怪獣?恐るるに足らん!むしろフライの方が怪獣として魅力的だったと言えましょう。

 というわけで、そんなフライが漢汁をまき散らしながら突き進む前半は、★5と言ってもよいほど色気溢れるお話だったと思います。それに比べると後半はちょっとトーンダウンしちゃいましたね。何故かってドン・フライの出番が少ないから。

 とこのまま終わるのは余りに何なんで、もうちょっと映画の話を。あの北村一輝の面白演技、僕は大好きなんですけど、それにしてもちょっと回数が多すぎた気がします。少なくともクライマックスの格闘シーンにまで入れる必要はない。あれによって後半の空気がダレ、ひいては後ろで戦ってるゴジラの格闘シーンまで緊張感が削がれた気がしました。要は全体に「斜に構え過ぎ」なんじゃないかと。斜に構えること自体は悪いことではないですが、それも芯がしっかりしていてこその話。そして監督の気持ちが過多に「人間」に向いてしまっている以上、「怪獣」という芯が揺らいでしまうのもしょうがない話なんでしょう。まぁフライじゃ気持ちが向いちゃうのもわかるけどな。

 あ、あとミニラは何年経っても好きになれない。

(評価:★4)

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