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けにろんさんのコメント: 更新順

★3ブロンディー 女銀行強盗(1993/米)アベレージヒッターマルケイの90年代前半の水準作の中でも緩い方の作品。ストーリーも肝心の金庫破り描写も特筆点無しの中キム・ベイシンガーの魅力だけが興味を牽引する。ただ、そういう映画も悪いもんじゃない。[投票(1)]
★5イン・ザ・カット(2003/豪=米=英)孤独な魂が場末の男達のスペルマの臭いの中で彷徨い続けた『タクシー・ドライバー』から30年後、言葉とリアリズムの狭間でのたうつ女の孤独は血と汗とヴァギナの匂いの中で反転し愛に到達する。真フェミニズム映画。それがメグだからこそ価値がある。[投票(2)]
★4事件(1978/日)どこにでもありそうな地方都市での痴情事件をメカニカルな法廷ものとして組立て、尚且つ、事件の中から一種神話的な人間の根元性を抽出し得たと思う。新藤兼人脚本の良さもあるが松坂の情念と永島の生硬さの組み合わせの妙。助演も全て圧倒的。[投票(8)]
★4イノセンス(2004/日)高踏的な屁理屈は形を潜め「ハードボイルド」な日常描写も「古典SF」的な終盤のネタ割れもオーソドックス。閉じてしまった世界で、環境描写とポイントごとに配置されたアクションに粋の限りを尽くす。堪能すると同時に、これでいいのかとも思う。[投票(1)]
★4リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1986/米)ヘタをすれば途轍もない予定調和に陥ったかも知れないのに色彩や装置の美術や音楽や演技や等の要素を僅かずつ過剰にすることにより全体では突き抜けてしまった。ケバい狂騒の過剰さの中でもスティーブ・マーティンの歯科医は白眉。[投票(2)]
★4タンポポ(1985/日)主線のラーメン屋立て直し物語を伊丹は信じてるフリして全く信じられず誇張と諧謔でデコレートしても尚未だ不安で逸脱へと逃避したらブニュエルみたいになった。この後、信じ切れない物語を紡ぎ続けて終わってしまったのが不憫だ。[投票(2)]
★2ねらわれた学園(1981/日)多くの前兆や予感をはらんだ前半が良かったのに後半は崩壊してしまった。まあ、大林としては確信的だったのだろうが、壊し方の好みの問題だと思う。役者手塚真のアナーキーなセンス等見所も少なくはなかった。[投票(2)]
★4きょうのできごと(2003/日)魅力的な構成だが神の視座を謳うのであれば挿話がもう幾つか欲しかった。断罪も救済もしない田中麗奈の主人公に対する作り手のスタンスを図りかねるので肝心の鯨が浮いた。しかし、ダラな1夜の顛末の空気には痛いくらいの既視感を覚える。[投票(4)]
★3仁義なき戦い 広島死闘編(1973/日)騙し騙されの狂騒の中を全力で駆け抜ける疾走感がシリーズの肝だと感じているので、番外篇的に鉄砲玉の人生に焦点を絞った本作には余り魅力を感じない。しかし、火傷しそうな千葉のオーラと対称的な成田の冷気。傍系人物は役者が揃っている。[投票(1)]
★4炎のごとく(1981/日)雌伏を強いられた加藤泰の精魂を込めたかのようなショットが連発され、シーンごとの造形力は素晴らしいの一語。総決算と言うに相応しい。しかし、話がメリハリ無さ過ぎでダラダラ長いのも又らしいと言えばらし過ぎる遺作。[投票(3)]
★3救命士(1999/米)主人公の安らぐ間もない日常と憔悴、その合間に訪れる過去の幻影。2重構造の表と裏が不可分に作用反作用をもたらしクライマックスへと…という『タクシー・ドライバー』的破壊のカタルシスは無く一種の諦念が横溢する。多分に形式的。[投票(1)]
★3花と蛇(2003/日)密室相対型のSMをオープンな円形劇場に開放してしまったことで本来の隠微さからは遠ざかり替わりに導入されたのが恒例のバイオレンスと純愛。役名「名美」でも違和感ない強引な石井世界への引き寄せは好悪半ばか…。ピエロ伊藤が突出して良い。[投票(1)]
★4逃亡者(1993/米)何か新味を加えようとか奇手を用いてハッタリをかまそうとかの作家的自己主張が全くない。しかし、真面目に真摯に取り組まれたものは見ていて気持ちいい。その正義が信じられた時代の往年の正統アメリカ娯楽映画的風味に一種の懐かしさのようなものを覚える。[投票(2)]
★3突貫小僧(1929/日)映画表現として殊更何かがあるわけではない。ただ、天衣無縫なツッコミを連発する突貫小僧と阿吽の呼吸で受ける斎藤達雄が居ればいい。カメラ脇の小津が眺めた1幕ものの漫才劇が数年後の世紀の傑作へ昇華するのだし…。[投票(2)]
★3暴力金脈(1975/日)企業と暴力団の癒着という未開領域に挑む…なんていう気は無いのは端から解ってはいるが惜しい題材であった。結局は個の対決に収斂してしまうのがトホホである。小沢大滝の半端な投入が山本熊井との比較感を呼び起こし侘びしい。[投票(2)]
★3帰らざる河(1954/米)色気に頼らぬストレートなヒロインを演じるモンローのミスマッチぶりが微笑ましくもあるが、矢張り何と言っても冒頭の紫煙たなびく酒場での「ノーリターン」。空前絶後のオーラを発しまくるワンシーンのみで本作は永久不滅に映画史に刻印される。[投票(1)]
★4ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(2003/米=ニュージーランド)信義故に己を見捨てし者の為に起つ王と失意の底から勇気を汲み出した王女。その親子愛が対照する王子の一方通行な父への愛。陸空のパノラミカルな大攻防戦の中で凝結したインサイドストーリーがシリーズで初めて琴線に触れた。フロドはどうでもいい。[投票(1)]
★1ポルターガイスト 2(1986/米)ブライアン・ギブソントビー・フーパーに比して殊更凡庸と言う訳でもなさそうなのに、これ程つまらない代物になったのは、在り来たりの怪異譚をとことんグレードアップ出来るスピルバーグの欠落。過信と奢りの産物。[投票(1)]
★3逃がれの街(1983/日)平素な日常も板子一枚下は地獄という話は魅力的。警察の職務に徹したプロ意識もやくざの徹底した非情さも申し分ない。ただ、脚本が不出来で転調する前後半のジャンクションが欠落してるので印象が散漫。[投票(1)]
★4ドッペルゲンガー(2003/日)ダークサイドの二重身と言うより抑圧から解放された者こそが生き延びると言うならばテーマとしては安直で、『回路』と同様に稚拙さを感じる。が、油断のならない男達が醸す緊張感にコメディエッセンスが絶妙に調和して黒沢の新生面を感じさせたのも事実。[投票(2)]