けにろんさんのコメント: 更新順
恋愛適齢期(2003/米) | 良く出来た老人版ラブコメという以上に、主演2人の第一線を張り続けた30年に及ぶキャリアのもたらす映画的記憶がキャラの設定に絶妙にリンクし心からしみじみ感じ入ってしまった。顔の皺や体の弛みまでも、しみじみ良い。こういう年寄りになりたい。 | [投票(8)] | |
フィールド・オブ・ドリームス(1989/米) | ベースボールカードの収集が子供にとってのファンダメンタルなホビーである国じゃないと解らないんじゃないかって思ったりもする。同工異曲で同時期に公開された『異人たちとの夏』の方がしっくりきた。俺は日本人だから…。 | [投票(1)] | |
エレファント(2003/米) | 背景音と等価に置かれた無味なダイアローグの羅列や単に歩く人物を背後から追い続ける長回しによって浮き上がる等身大の日常。降りかかる凶事に対し善悪論や運命論は全く無意味で恣意性のみに支配される。確かにそんなもんだろうとは思う。 | [投票(8)] | |
炎のランナー(1981/英) | 仰々しいお洒落な音楽に乗って、とんでもなく在り来たりなスローモーションで疾走する選手達。コマーシャリズムの極北とは言え露骨過ぎ。より速く走る肉体という原初的テーゼは懐古趣味でピューリタニズムな形骸に囚われ陳腐なる醜態を晒す。 | [投票(1)] | |
グッバイ、レーニン!(2003/独) | 東独近代史に於ける劇的なターニングポイントが国民にもたらしたものが、パノラミカルなスケールではなく、後半では1人の女性に仮託され、シテュエーションコメディの定型に沿ってのドタバタに終始するのが全くつまらないし、何かにつけ詰めが甘い。 | [投票(2)] | |
レイジング・ブル(1980/米) | スコセッシの褪色への、デ・ニーロの外形変化への、チャップマンのオリジナルなファイトシーンへのといった偏執的な拘りが偏執的な男の物語を加速させる。息苦し過ぎな男達の妄執の錯綜を18歳のモリアーティが一瞬にして風穴を開ける。 | [投票(3)] | |
蔵の中(1981/日) | 普通の人が変態だったら面白いが変態が変態してもつまらん。近親相姦や盗視だけでも充分倒錯的であるのに、配役に奇手を凝らし過ぎて相殺し合った感もある。技法や趣向に溺れすぎるから、もったいぶってるだけで全然面白くない。 | [投票(3)] | |
大いなる幻影(1937/仏) | 敵味方が同じ貴族であることをもって、お互いを理解し合うというのが如何にも太平楽であり、あんまり琴線には響かなかった。ただ、脱走後に庶民であるギャバンが一時の平穏を得る山間部の描写は輝いている。 | [投票(2)] | |
ゴシカ(2003/米) | 『the Eye』という映画に展開が少し似てるのがつまらんし、ネタが割れたみたら、おかしいと思う点も少なからずある。そもそも合理的に理屈づけてしまう姿勢もつまらんのだが、全編出ずっぱりのハル・ベリーを心ゆくまで堪能できる。それで充分満足。 | [投票(1)] | |
ファイト・クラブ(1999/米) | 聞いたこともない殴り合いによるセラピーとは斬新で全く読めない展開に期待が膨らみ続けたが終盤ネタが割れた途端に一気に退いてしまった。破壊すべきは虚構ではなくリアルな何かであるべき。脳内世界に収斂される物語はうんざりだ。 | [投票(3)] | |
ライムライト(1952/米) | 『黄金狂時代』から『モダン・タイムス』までの4作品で映画という空間芸術の粋を極めたチャップリンが老いてロンドンの無名時代のバーレスクに回帰したのは矢張り老残だと思う。年寄りの理想郷願望に付き合うのは疲れる。 | [投票(1)] | |
キル・ビル Vol.2(2004/米) | 正直、前作での「日本映画」もどきでは勘違いとしか感じられなかったリスペクトという熱い代物が「マカロニ」・「香港映画」に対してはド真ん中から俺を射た。模倣の域を超えた室内格闘演出の巧さで沸点到達した後ではヘタレや緩さまでもが愛おしく思える。 | [投票(5)] | |
欲望の翼(1990/香港) | 隔絶された虚空間で、或いは夜の静寂で決してクロスしない5人の男女の想い。登場人物たちの息詰まりそうな閉塞感を亜熱帯林に舞台を移して解放するかに見えた語り部の視座が突如、神の視座に飛躍するかのようなラスト。1回限りの手法にしても鮮やかすぎる。 | [投票(2)] | |
荒野の渡世人(1968/日) | 大真面目に西部劇を作ろうとし、わざわざ「日本語版」などとクレジットしても「英語版」なんてあるのかと侘びしさを倍加させる。似合わぬジーンズの健さんが何だか情けなくもあり、どうせなら大西部で着流し長ドスで暴れ回って欲しかった。 | [投票(2)] | |
郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942/伊) | 冷血なアメリカン・ハードボイルドを情のイタリアン・ネオリアリズモに置き換えても、必要以上にベタつきもしないのはヴィスコンティの破滅志向が根底にあるからだろう。絶妙のバランス感覚に立った処女作。カラマイがいい。 | [投票(1)] | |
恋人はスナイパー 劇場版(2004/日) | ウッチャンのマジかシャレかで戸惑うキャラは一応は了承したが、空中での1アクションで左右の蹴りを同時に入れるカットだけが唯一では水野美紀の使い方として宝の持ち腐れとしか言えない。一刻も早く香港ででも代表作を撮って欲しい。 | [投票(2)] | |
季節の中で(1999/米=ベトナム) | 流行監督的物真似が無いだけましだがオリジナリティも感じられない。一見、心を打ちそうな物語が連ねられてはいるが、新奇さも無く表層的な感じが拭えない。大体カイテルを出したこと自体が相当に胡散臭い。 | [投票(2)] | |
赤目四十八瀧心中未遂(2003/日) | 無骨とも言える骨太な話法に惹かれる。文学崩れの青年の厭世観がそのフィルターを通して構築された異世界「尼」から拒絶される前半は痛い位に納得性があるが、寺島しのぶに絞っていく後半ではそのフィルターが邪魔。取っ払ってのめり込んで欲しかった。 | [投票(4)] | |
戦争と人間 第3部・完結編(1973/日) | 三部作の中では一応見所が多い。ノモンハン事件の再現は必要だったのだろうし、当時の日活が成し得る最大限のスケールであったのだろうにしても、つまらない。終末へ向かっての激動の中、夏純子扮する中国人少女の生命力が一縷の希望と映った。 | [投票(1)] | |
ディボース・ショウ(2003/米) | 木乃伊盗りが木乃伊にと言うだけならコーエンにしては当たり前であり、ブレイク・エドワーズだと言うなら尻尾を切って徹するべきだ。どっちつかずで、自己陶酔したクルーニーにおんぶにだっこじゃ締まらない。 | [投票(2)] |